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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
3章 名前を呼んでほしい
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7 自身の喪失

 エイジがカナメを連れて基地に入ると、入り口ではヒビキが待っていた。

 ちらりとカナメを見たが、すぐにエイジのほうへ視線を向ける。


「エイジさん、すぐに来てください」

「わかった。カナメも付いてこい」


 カナメは頷くと歩いていく二人の後を追った。


「エイジさん。あなたに聞かなければならないことがある」

「俺もだ。お前に聞きたいことがある」

「あなたの父親はなにをしていましたか?」

「エッジの毒はまだあるのか?」


 二人して質問をぶつけるはいいが、それでは話が進むわけもない。

 ヒビキはまずエイジの話を聞くことにした。


「まだあります――が、いったい何に」

「いま俺たちには羽が必要だ。誰かが、進化を受け入れなくては」

「……正気ですか?」


 ヒビキはエイジの言っていることをすぐに理解した。


「Eはガラス人間にガラス人間の肉を与えた。そして、羽を手に入れた。あの時、扉を破壊して入ってきたあいつは、意識というものがあった。いま必要なのはあれだ。いや、もし、お前が隠し続けているDにもう一つの答えがあるなら話は変わってくるが」

「Dは……」

「人間の肉を与えたガラス人間のことだ」


 エイジはすでに、そのことを把握していた。

 実験結果までは予測できないが。


「あなたも隠しているじゃないですか。わざわざ遠回しに、私になにを言いたいんですか」

「隠していたのはお前だろ」

「ええ、私は隠していました。でも、あなたもだと言っているんです。あなたの父親ですよ! いまのこの、絶望の時代を招いたのは!」


 エイジは言い返そうと口を開いて、ヒビキの言葉に息を詰まらせた。

 ヒビキがなにを言っているのかわからなかった。

 自分の父親――名前も思い出せないその存在は、いったいだれなのだろう。

 なにをしていた人なのだろう。


「大門瑛士。いえ、これはきっとあなたの名前じゃないんでしょう。だとすれば、あなたを責めるのは間違っているのかもしれない。あなたはいったい誰なんですか、エイジさん」


 俺はだれなんだ。

 エイジに次々と襲いかかってくる疑問。

 ずっとひっかかっていた何かからは、もう目をそらせない。


「この写真をみてください。これがあなたです。隣にいるのがだれかわかりますか?」


 四人の子供が並んでうつっている。


「奈々……嘉……」


 自信はなかった。

 ただ、だれよりも大切だと思っていただけだ。

 だとすれば、それは奈々嘉なはずである。

 エイジはその笑顔と、頭にあるリボンを見つめる。

 そのリボンは、だれがプレゼントしたのだろうか。


「違う。俺が、要に頼んで、渡してもらったんだ……」

 

 じゃあ、彼女は――。


 見えている世界が、全て偽物のように見えた。

 記憶の海を巡る。

 どこかに答えがあるのかもしれない。

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