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奈々嘉 エピローグ
「生きることに、繋ぐことに意味があるんです」
なにかが目の前を通り過ぎる。
降り積もっていた雪が、ふわりと浮き上がった。
「こいつらは人間と同じように、心臓を潰すか、息を止めるか――簡単なのは頭部を破壊すれば活動を停止します。ええ、例えばこんな風に」
そして、風のように現れた少女は、片手で持ち上げたガラス人間の頭部を、握りつぶした。
「奈々嘉……」
「ん? どうしてあたしの名前を?」
わからなかった。
どうして、忘れようとしていた名前が浮かんできたのかが。
ただ、懐かしさがあった。
失ったものが、帰って来たような錯覚を覚えた。
「たしかに、あたしの名前はナナカですが。あなたは?」
「俺は――――――――」
エイジは失っていたものを思い出す。
奈々嘉との思い出を。
自分にあった出来事を。
その少女は継ぎ接ぎのカラフルなマフラーを風に揺らした。
ところどころに直したあとがある、ずいぶん年季の入ったものだ。
エイジは、自分の首にぶら下がっているペンダントを握った。




