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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
7章 そして少年は這い上がる
121/147

13

 腹が減ったわけではないが。


 うまそうなものだと思った。


 それは、すごくうまそうなものだった。


 まんまるとしている。


 それはいい香りがする。



「――――――」



 歯ごたえは悪くない。


 咀嚼する。


 咀嚼する。


 咀嚼する。






「…………」


 





 大事に抱えていたものを手放す。


 口に入ったものは、どこへいくのだろうか。 


 鉄格子の奥で、誰かが泣いて笑っている――。

 

 この丸いものは、知っているものか?


 この味は知っていいものか?


 咀嚼する。


 咀嚼する。


 咀嚼――――。


「おかえりなさい」


 誰かが、泣いている。


 僕が――――――――。

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