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Ice A GE(アイスエイジ)  作者: 重山ローマ
7章 そして少年は這い上がる
113/147

 

「なあノゾム。俺とお前どこが違う?」


 ヤマキの突然の問いかけに驚きつつ、その意味について考える。

 違いなんてわからない。

 ノゾムが思いつくこととすれば、体温の違いと、力の違い。あと


「生まれるところから全部違うもんな」


「ああ、だから、お前がわざわざこちら側にくる必要はないんじゃないか?」


 ヤマキに頼んだことは、そのことだった。

 戦える力がほしいと、そう頼んだのである。

 何か知っていることがあればというお願いだったが、ヤマキにはもちろんそんなことわかるはずもない。

 だからこうして二人で外に出て、ヤマキが唯一思いついた場所に向かっている。


「軍の基地になにかあればいいけど」


「力になるものはなくても、情報はあるだろうよ。場所は知ってても、行こうなんておもったことがなかった」


 情報もおそらく、十分な武器になる。

 もうそこにはだれもいないと、そんなことを決めつけて二人は基地にたどり着く。

 ヤマキの後に続いて、ノゾムも中に入る。


「……」


 と、その異常に気がついた。

 人の気配がする。

 使われていた形跡がある。

 いや、使われている形跡があるのだ。


「人間か?」


「まだ生きてる人間なんて、お前くらいじゃねえの?」


 まるで馬鹿にするような言い方だったが、確かに、生きている人間がまだいるとは思えなかった。

 軍は実はまだ潰れていなかったのかと考えたが、しかしそれはありえない。

 警備が甘すぎる。

 だれかがここを住処にしているだけだと考えるのが普通だろう。

 多人数の可能性は消していいだろう、とノゾムは辺りを見渡した。

 多人数ならば出入り口を見張る人間がいるはずだが、見当たらない。

 監視カメラがどうやら機能していないのは、電力の問題なのかどうかはノゾムにはわからなかったが、氷ついて動いていないのを見るとそれ以前の問題なのだろう。


「俺が先を歩く」


 ヤマキを追いかけて奥に進んでいく。

 想像もつかない基地の奥、何があるのか、何を探せばいいのかもわからないまま、二人は歩み続ける――。


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