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大陸の覇者  作者: 熱悟
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第一章:都への旅立ち



「ふぁ〜〜」


今となんらかわらない平凡なあくびをする非凡な少年・シン。

昨日15歳の誕生日を迎えた。

つまり、シンの誕生日に母は殺されたのだ。残酷な話である。


「おおーいシン! 起きろ〜〜」


また今日もバンバンとやかましい窓を叩く音が間近に聞こえてくる。

シンもまた同じように寝返りをうつ。だが、次の一言でシンはバッと飛び起きた。


「お前、今日からライルに行くんだろ!?」


まずシンのまぶたがピクッと動く。そしてすぐに立ち上がった。

シンは慌てて厚めの皮の服に着替え、部屋の隅に立ててあった大槍をその太い腕で掴み、

背負う。ベットの隣の棚の上に昨日から置いてあった巾着袋を腰にしっかりとつけて、

ドアから外に飛び出した。


「はっはっは。慌てんな。飯ぐらい食ってけ、息子!」

「ああ、いただきます!」


そうとっさに言い返すとシンは、父の持っていた何だか正体もわからない獣の肉を一口で

口に頬張り、「じゃあな!」と言って走り去っていった。

まあ、時間も大分予定より遅れてたからしょうがない。


シンは雪道を真っ直ぐ走り続け、雪がもうあまり積もっていない下の林に駆け下り、

そしてまた元気に駆け抜ける。途中にいた動物たちもビックリのスピードだ。

坂道を下り林を抜けて、まだ田舎だが、いくらか建物のある場所に出る。まあ、

全部木の小屋だが……それでも、中に人が住む立派な家だ。


「さぁてと」


シンは疲れた様子もなく、両手を振り回しながら、止まる。


「まだ朝だし、今日中にライルにつくかな……」


独り言をボヤきながら歩くシンの目に、一つの大きな小屋がとまる。

いや、大きな小屋じゃあ矛盾している。なんというか、まあ、他の小屋4つ分ぐらいある

大きい建物だ。


その建物は妙に目立つ。入り口には鹿の毛皮を丸ごと使って大きな看板。

なんかボロボロでよくわからない文字が書いてある。しかも看板の上には鹿の頭の骨が

ドッシリと飾られている。多分、この飾りだけで鹿を一匹そのまま使っているだろう。

両端に、鹿の手足の骨まである。全部鹿だ。


気になったシンは窓から中を覗いてみた。中は暗い。ここでシンは好奇心に負けた。

完全敗北だ。真っ暗な建物の中に、コッソリ忍び込んでしまった。


シンの胸がドキドキと高鳴り、わくわくしてくる。中には武器とか、酒とか、高価な物とか

沢山あっておもしろそうだったからだ。そのとき、暗闇の奥から、声が聞こえた。


「貴様、何をやっている」


その声に驚き、ハッと振り向いたシンの眼の先には、体の大きい、短髪の男が居た。

身長はまあ、シンより少し大きい程度だが……。


「わっ! だ、誰だお前!」

「こっちの台詞だ。こんなところで何をしているんだ」


出てきた建物の主とおぼしき男より驚いてしまったシンだが、すぐに落ち着く。


「いや、なんか気になったからさ……」


すると男は、静かに、冷静に言う。


「用がないなら早く出て行け。早くしないと大変なことに……」


言いかけたときだった。入り口の方から、声がしたのは…………。



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