第七話
評価とか感想とか嬉しかったので、調子に乗りました。
アリーに師事してもらい、魔法の練習を始めた俺だったが――
「ぜんっぜん成功しない....」
そう、まったく成功しないのだ。というか言ってることが感覚的すぎてなに言ってるか分からない。だいたい「体の中のもわっとしたやつを外にあるぶわっとしたやつにくっつけてできたふやっとしたやつを爆発させる感じ」ってどんな感じだよっ!?擬音が多すぎるわっ
「も~、何でできないんですかね~」
この幼女は、所謂天才型、感覚派なのだろう。もしくはものすっごい説明が下手なだけか。せめてもうちょっと理解しやすいように説明してもらわないと、分かるものも分かりませんぜ奥さん。
「いや、もうちょっと分かりやすく説明してくれよ....」
「そんな事言われても....、いつもやってる通りに教えてるのに.....何でできないんですか!」
えぇ~....。なんか切れられたんですけど。これはひどい。
「いや、そんな事言われても――」
「言い訳無用!」
「スイマセン」
あれ?何で俺が謝ってるんだ?なんか口車に乗せられた感が半端じゃないんだが。だが、腰に手を当て機嫌良さそうに「よろしい」といっているアリーを見ていると何もいえなくなる。仕方が無い、と頭をかき、アリー曰く『体の中のもわっとしたやつ』をどうにか探ろうとする。しかしなにもわからない。
「もっと集中して!」
もっと集中する。
「もっと!」
もはや周りの音すらも聞こえないほどに集中する。目を瞑り、体の中のもわっとしたやつを探る。すると、一瞬、かすかにだが確かにもわっとしたやつを感じることができた。いや、これはもわっとと言うよりもふぁっとって感じだ。しかしこのもふぁっとを感じた瞬間、集中が切れてしまい、何も感じなくなった。
「なんかもふぁっとしたやつがあったぞ」
「おお、感じたんですね!」
そう言って喜ぶアリー。そんなアリーを見ていると、こちらまで暖かい気持ちになってくる気がする。
「じゃ、次はそれを動かしてください」
一度感じれば次からは難しくなかった。さほど集中せず、もふぁを探り当てる。それを指先球状に集め、外に出す。すると、発行する球体が指先に現れた。
「おおう」
「それを水にする感覚です!」
その球体が水になるイメージをする。しかし何も起こらない。もう一度する。しかし何も起こらない。もう一度(以下略
「できねー!」
「何ででしょうね....。やはり属性でしょうか」
「属性?」
「はい、属性によってイメージが違うんです。でもユニークだとどんなイメージをするか分からないから発動させるまでの修行が大変なんです」
「あ~、そういうことか」
なんとなく判った気がする。俺の属性は『粒子』。効果は粒子を操る、だ。俺はもう一度もふぁを指先に集め、指先に光る球体を作る。そしてそこに、水の粒子を集めるイメージをする。すると、ただの光る球体だったものが澄んだ水に変わる。
「おお!できましたね!」
アリーが喜んでいるが、集中を切らさない為に無視する。指先にあるこぶし大の水をできる限り速い速度で飛ばす。俺のイメージどおりに凄いスピードで飛んでいった。それは近くにある木の幹に当たるとはじけとんだ。水があたった木は少しへこんでいる。
「よっしゃ!」
「おめでとうございます!」
その後、俺はぶっ倒れるまで水球を乱射しまくった。
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「やりすぎです」
「すんません」
あの後、魔力切れで気絶した俺は身体能力強化をかけたアリーに家まで運んでもらったらしい。そしてはっちゃけすぎだとアリーに怒られている。
「あんまり魔力を使いすぎると死ぬんですよ!?」
どうやらあれは魔力らしい。いやうすうす感づいていたけどね。薄暗い家の中で怒る幼女には迫力はまったく無く、逆にほんわかしてくる。
「え~まじっすか」
「はぁ、もういいです。とにかく、今日はもう休んでてください」
あきれたように言ったアリーに従い、俺はゆっくり休むことにした。それを見て満足したアリーが、「食料調達に行ってくる」と言ってどこかへ行ったのを確認すると、水球を五個ぐらい出して頭の上をぐるぐる回し、遊ぶ。暇つぶしにもなるし訓練にもなる。一石二鳥だね。
粒子を操ってできることを考えながら、ごつごつした地面に身を預け、眠りについた。