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第十六話

投稿、遅れました!

申し訳ございません。

久しぶりですので、すこし短めとなっております。

「駄目よ!今日はあせもたくさんかいたんだから!」


そう言って俺を引きずってお風呂に入れようとしてくるフロル。まあ、当然の指摘ではあるだろう。しかし、しかしだ。


「ムゥゥゥリィィィィィ!」


流石にそれはちょっとやばいだろう!


というか入ったら何かがガラガラと音を立てて崩れ落ちそうな気がする。


「ほら!」


力では勝てるわけもないし、実際今日はたくさん汗をかいたのも事実だ。ここはおとなしく従うしかないだろう。くさいし。


結局、俺はとぼとぼとフロルのあとについていった。



~~~~~~


――ゴクリ


今俺の目の前には大きな壁が立ちはだかっている。この壁を越えれば、何かを失うことになる。そんな確信めいた何かがあった。

俺は.....俺にはこの壁を犠牲無しに越えることはできない。しかし、犠牲をはらってでも、俺はこの壁を乗り越えなければいけないのだろう。


その壁は、血で洗ったように紅い。その真紅色は俺に現実を突きつけてくるようだ。そしてその壁の中央には、ご丁寧にこう書かれている。


『女湯』と――


「ほら、なにボーっとしてるの?早く入らないと他の人の邪魔よ?」


女湯の暖簾の前で最後の葛藤をしていた俺の覚悟をあざ笑うかのようにフロルが急かしてくる。


ま、まあいい。先ほどの葛藤の途中に、俺にささやきかけてくる声があったのだ。


「逆に考えるんだ。女風呂には入れるなんて、男のロマンだ、と.....」


という声がどこかから聞こえてきた(錯乱

というわけで、最終的に緊張こそすれど躊躇することなく風呂に入ることができた。脱衣所で裸になって浴場に入ったときはなんだかイケナイ事をしているような気分になって、ぼーっと体を洗った。

その時、鼻血が噴出していたのはご愛嬌だ。




~~~~~~


女将さんの好意で貸してもらった倉庫だが、寒い。なんと言っても寒い。布団も薄っぺらいし(普通の部屋は空調が利いていて常に快適な温度だそうだ)、寒くて寒くて寝付けそうに無い。アリーはなんか自分の周りだけ暖かくなる結界をはって快適そうに寝ている。フロルは......尻尾を抱き枕代わりにして寝ている。なにあれ暖かそう。


というわけで俺も自分の尻尾を抱き枕代わりにして寝てみる.....お、思っていたよりも暖かい。だが、それでもまだ寒い。これ、どうにかならないだろうか。着ているローブの襟の中に顔をうずめる。が、これはあまり効果が無い。


「そんなに寒い?」


突然、フロルが話しかけてきた。まさか起きているとは思っていなかったので、思わずビクッとしてしまう。い、一応気配を消したり察知したりには長けているつもりなんだが.....。


「ま、まあ」


そう答えると、フロルが急に立ち上がってこちらに歩いてきた。

なにをするんだろうと思っていると、俺の布団にもぞもぞと入りこんできた。なんと言うか。やわらかい夢と希望に満ち溢れた桃が背中に当たって恥ずかしい。


「これで暖かいでしょう?」


確かに暖かい。

それになんだか.....心まで温かくなってくる気がする。


「ゴメンね。今まで会いにこれなくて」

「いや、別にいいよ。そっちにも事情があるし」

「ふふふ.....やさしいのね」

「そんなことない」

「照れ屋さん」


なんだか妙に恥ずかしくなってきて......。

顔を赤くしたまま、俺はゆっくりと眠りに付いた。

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