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第九話

びりびりと皮膚を刺激するようなプレッシャーが俺を襲う。恐る恐る気配をうかがうと、家の中に恐ろしい気配があった。その気配が何なのかを察した俺は、半分諦めたような心情になる。


「ここに住んでいればいつかは来ると思っていたが....こんなに速いとは」


幸か不幸か、アリーは今ここにはいない。剣の修行のために魔法の使用禁止を言い渡し、一日外でサバイバルを言い渡した。だから、アリーはこれから起こることを見なくてもすむだろう。アリーは「鬼教官!」とかぶーぶー言っていたが、今となっては逆に感謝してほしい。一人でやつに挑むのは正直気が引けるが、それでもアリーが巻き込まれないのならいい。そう思い、俺は家の中へと、足を一歩踏み出した。















~~~~~~~~



夕食が終わると、かねてから考えていたことをアリーに告げる。


「アリー、今日は森でサバイバルして来い」

「え?」


呆けたようにアリーは声を漏らす。


「今夜は森で一晩を過ごせ。魔法の使用も禁止だ。剣だけで生き残るんだ。危なくなったら魔法を使ってもいいが、ギリギリまで使うな」

「な、なんでいきなり....!」

「お前を育てる為だ。お前だってすぐに死ぬのはいやだろう?いざと言うときに腰が引けて抵抗できませんでしたでは話にならない。だから今回は森で生死の境をさまよってもらおう」

「そ、それは一理ありますけど.....。いくらなんでもそれは危なすぎませんか?」

「俺はその50倍危ない修行をしてきた」

「あなたの師匠っていったい....」


ぶつくさ言うアリーをどうにか黙らせて森へと向かわせる。もちろん、武器は渡す。俺の場合は武器も渡さず1ヶ月だった。だから武器が無い状態での夜の森は危険すぎることが分かる。だが武器を持った状態のアリーならギリギリ生き残れると信じている。一回り大きくなって帰ってくるんだ、アリー....!


と言うわけで久々に一人でいる俺だが、結局はやることが無い。ゲームがあればゲームでもして時間をつぶすのだが、如何せんそんなものは無い。結局は修行へと流れてしまう。一通り修行が終わると、やることがなくなってしまった。こんな森の中で暇つぶしできることなんて俺が知っているわけが無い。森のほうからアリーの悲鳴が聞こえるが、気にしない気にしない。


湖で水浴びをし終わったら、服を着て家に入ろうとする。

その瞬間、背筋が凍ったような錯覚に陥った。水浴びを済ませたばかりの体から冷や汗が吹き出る。へばりつくような空気が、俺にまとわりついてくる気がする。びりびりと皮膚を刺激するようなプレッシャーが俺を襲う。恐る恐る気配をうかがうと、家の中に恐ろしい気配があった。その気配が何なのかを察した俺は、半分諦めたような心情になる。


「ここに住んでいればいつかは来ると思っていたが....こんなに速いとは」


幸か不幸か、アリーは今ここにはいない。剣の修行のために魔法の使用禁止を言い渡し、一日外でサバイバルを言い渡した。だから、アリーはこれから起こることを見なくてもすむだろう。アリーは「鬼教官!」とかぶーぶー言っていたが、今となっては逆に感謝してほしい。一人でやつに挑むのは正直気が引けるが、それでもアリーが巻き込まれないのならいい。そう思い、俺は家の中へと入り、気配を感じる。どうやら敵の数は二、しかしここで敵に呑まれてはいけない。そこで試合終了だ。


相手にばれないように、そっと距離をつめる。近づけば近づくほど気配が強くなる。アイテムボックスから出した小さめのハンマーを構え距離をつめる。俺的に近づける最大のところまで近づくと、手に持ったハンマーを力いっぱい振り下ろした。


――グチャ


一匹はつぶした。思いっきり叩いたのが幸いして、手に感触は残らなかった。後に残ったのは小規模なクレーターと、つぶれた、黒いg――だめだ、これ以上考えたら吐く。間違いなく吐く。黒いやつから目を背けると、もう一匹を探す。――いた。かさかさかさかさ。


「きゃあああああああああ!」


悲鳴を上げ、俺は理性を失った。















~~~~~~



気がつけば周りには家だったものの残骸と、数えるのも億劫になるほどのクレーターが。確実にやりすぎた。しかしこれで我が家の安泰を脅かす、黒い彗星Gは跡形も無く消え去っただろう。ハンマーをアイテムボックスにいれ、後ろを振り向く。そこにはいやらしい笑みを浮べたアリーの姿が。


「いや~、以外ですねっ。まさかお姉様がゴキブr」

「その名をよぶなああああぁぁぁぁ!!」


最後まで言わせることなく、どこと無く嬉しそうなアリーの顔面にこぶしを叩き込み、意識を刈り取った。


途中で気がついたかもしれませんが、ゴキブリですね。はい。

主人公の意外な弱点でした。

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