第17話 影の守護者たち
【パート43】
「ヴァイスガルド入国できそう?」
「申し訳ありません。アルト様を安全に連れて行くルートが見つかりません。ここは大人しくしておいたほうが良いでしょう。」
ノヴァは目を青く点滅させて下に視線を落とした。
「そうか、ダメか〜」
アルトは手で顔を覆い尽くした。
「そこで一つご提案があります。私が光の忍者の下へ向かうというのはどうでしょう?」
アルトは姿勢を正してノヴァを持ち上げた。
「どういうこと?ノヴァが行ってどうするの?」
「はい。アルト様が伝えたいことを送っていただければ向こうに行ってそれを伝えることが可能です。」
ノヴァは目からホログラムのマップを作り出し、シャドガルドからヴァイスガルドまでの道のりを導き出した。
「このルートで行けばヴァイスガルドへ入国することができます。」
「よし、じゃあそうしよう。とにかく時間がない!データの書き込みを始める!」
アルトはノヴァを機械につなげて作業を開始した。
【パート44】
" シャドガルド・ガーディアンズ "(シャドガルドの守護者たち)!!
この戦争が始まる遥か前、シャドガルドの平和を保っていた自警団。彼らは日々シャドガルドの平和のために一所懸命に働いていた。
この設立メンバーの一人だったのがアルトの父親、バーンズである。彼はこの平和が続くものだと思っていた。それを疑うこともなかった。
しかし、続いていたシャドガルドの平和は、ある事件によって脅かされた。
" 影無し死体事件 "
この事件の被害者の誰もが生気を失っているように見え、影が消失していたことからこの名がついた。
一番最初の被害者である若い女性を発見したのはバーンズであった。
バーンズはこの事件を執念深く追っていた。単なる殺人や強盗などではない。外傷が見当たらず、死体から影が消失しているという不気味さが彼の好奇心を駆り立てた。
彼はあらゆる足跡を追い、全ての黒幕へと辿り着いた。
黒幕の名は" エイゼン・ウォーカー "である。
この男の目的にバーンズは気づいてしまった。
"この世の影を全て取り込み、全てを飲み込む影を作り上げること。"
これ以上影無しの犠牲者を出してはいけない。
そして、全ての元凶であるエイゼンを倒さなければならない。
バーンズはシャドガルド・ガーディアンズから有志で結成したのが、" シャドウ・ガーディアンズ "(影の守護者たち)である。
だが、それに感づいたエイゼンはガーディアンズたちの息の根を止めに来たのだ。
「邪魔をするな.......、私は"全"となる男.....。」
「奪わせない......、これ以上、街の人々の影を奪わせない!!」
拳銃を構え、照準を合わせている最中だった。
影の触手のようなものが、バーンズの首を強く締め付け、その周辺の倒れた団員にも根のように影が張り巡らされた。
拳銃が落ちる音が無惨に響いた。
「.....カ、ハッ.....ガ.....ア......ツ」
「最大の屈辱を味わわせてやろう.....、お前たちは私の完成への糧となる。」
影の触手がバーンズたちの影を抽出し始めた。エイゼンが大きくなるほど、バーンズたちの生気は失われていった。
バーンズが地面に無防備に落下した。
ーーシャドウ・ガーディアンズ、敗北。
アルトが13歳になったある日。
アルトの母、グランおばさんが大きな箱を持って来た。
「お父さんがね。アルトが13歳になったときに渡してくれって......、何なのかしら....?」
アルトは自室に戻って、不思議そうに箱の中身を確認した。
「な、なんだこれ!鉄でできた鳥だ!!生きてるのか?」
アルトがそれに触れると、鉄製の鳥の目が光り出した。
「こんにちは、アルト様。私はあなたのお父様によって作り出されたAI。ノヴァ。」
ノヴァがホログラムで映像を映し出した。
「な、なんだ!?目からビームが!」
「よお、アルト。お前がこれを見ているということはお前が13歳になったということ。つまり、大人になったということだ。お前にはこれから全てを話す。よく聞くんだぞ。」
そこには、まだ生きている頃のバーンズが映っていた。




