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第2章総集編

【パート18】

BLACK NINJA計画が始まってから、すでに3日が経った。全く前に進まない。どうやったらこの設計図が可能になるのかがこのメンバーでは全く思いつかなかった。


「鏡をいたるところに貼り付けてはどうだ??」


博士が提案した。


「却下だ。全然格好良くないだろう!!ミラーボールだと思われるぞ??」


「そうね。ミラーボールだわ。」


「ミラーボールだね〜。」


「却下か.........」


「「うーーーーん........」」



決まらないまま、また一日、また一日と時間が過ぎていった。


【パート19】

一週間が経過した。

今日は朗報がある。ルミノアが研究していた新物質の開発が成功したのだ。


「ねぇ!!ルミ姉の研究が成功したって!」


「おぉ!新物質とやらの開発か!!.....名前は確か.....。」


「スペキュラニウムよ。博士。」


「それだ!スペキュラニウムだ!」


「そうよ。光の古文書に書いてあった"光の器"......、ずっと研究していたのよ。やっと開発に成功したわ。」



"其の器に光を蓄えよ。光は力となり、色を成す。"


"白きは無垢、灰は鋼を呼び、黒は真の姿を現さん。"



ルミノアはスペキュラニウムの特性を見せてくれた。

その物質は普段は白いが、光エネルギーを吸収することによって、灰色、黒色と段階的に姿を変える。これはいわゆる充電ゲージのようなもので、白が30%ぐらい。灰色が60%、黒が100%といった具合にどのくらい蓄積されているかを示している。


「すっげぇな、色が変わったぞ。」


「ああ、素晴らしい。」


「やったね!ルミ姉!」


【パート20】

このとき、ヴィクターは閃いた。ヴィクターの頭に、BLACK NINJAの姿が降りてきた。白から黒になったとき、忍者コスチュームを身に纏う姿が。


「なあ、ルミノア。その光エネルギーってのは貯めるだけで放出したりできないのか??なんていうか.....、貯めたものから作り出すというか.....。」


「できるけど、それがどうか........、ハッ....!!」


そのとき、ルミノアは何かを思いついたような顔をした。2人は顔を合わせて、謎の握手を交わした。


「作りましょう!!このイメージを現実に!!」


「ああ!このイメージが一番BLACK NINJAって感じだ!!」


ルミノアとヴィクターは2人で目を輝かせながら話していた。博士とレイは唖然としていた。

ルミノアは立ち上がって、全員に話し始めた。


「ゴホン、私たちは今、一つのヴィジョンを頭に思い浮かべたわ。これを形にできるかどうかヴィクターと話していたのよ。結果、実現可能よ。」


「だから、そのイメージというのは一体何なのだ!!」


「聞いて驚け....!!マジで凄いからな!!」



・MAX出力 100% 黒 (Black)

【BLACK NINJAに変身】 人を超越した身体能力。大型武器の生成が可能。


・通常出力 60% 灰 (Gray)

身体能力強化。手裏剣やクナイなどの軽装備(武器)の生成が可能。


・低出力 30% 白 (White)

わずかな身体強化のみ。雑魚敵には有効だが、強敵には太刀打ち不可。



「ってことよ!!ちょっと博士には難しすぎたか??」


「いや、分かったさ。クールなスーツではないか。そういう服装特有の動きにくさはどうする?戦場に適していて動きやすい方がいいだろう。」


「それはしっかりと考えるわ。それにしても、ヴィクターくんの発想はすごいわね〜」


ヴィクターはニヤけながら言った。


「いや、ルミノアの技術力がなけりゃまず実現ができない。」


「素直に喜びなよ!ルミ姉が褒めてるんだから〜!!」


一週間、全く前に進まなかったBLACK NINJA計画は、ルミノアの手によって、大幅に前進した。計画はヒーロースーツの製作へと移る。


一週間、全く前に進まなかったBLACK NINJA計画は、ルミノアの手によって、大幅に前進した。計画はヒーロースーツの製作へと移る。



【パート21】

スーツのイメージを思いつくまでに一週間を消費した。だが、スーツを製作するのにかかった期間はなんと5日。

これは決してチープなスーツを作ったというわけではなく、ルミノアが優秀すぎた。


台所にあったインスタントコーヒーの備蓄が大分少なくなっていた。


相当頑張ったのだろう。


「試作機......完成したわ......Zzz.....」


ルミノアはやっと部屋から出てきたと思ったら、試作機が完成したと言い残して眠りについた。

ルミノアが倒れるように寝たので、ヴィクタールミノアを支えて横にした。


「おーい!!みんな!完成したらしいぞ!」


「博士!ほら起きて!!見に行くよ!」


「ん?......あ、ああ。そうだな。」


【パート22】

ヴィクターたちが製作室に入ると、そこには想像以上のものが待ち構えていた。白色のヒーロースーツと言えばいいのだろうか。某有名ヒーローモノのスーツを連想させる。

ハイクオリティなそのスーツには、継ぎ目がほとんど見当たらない。よく細部まで見てみると、小さい三角形が沢山並んでいる。

ルミノアは良くここまで仕上げたものだ。

みんなも開いた口がふさがらない様だった。


「かっこいいが過ぎるぞ......!!」


「かっこいい!!」


「これが.....、なんと美しい!!」


「スーパーヒーローみたい!!かっこいい!」


リリィがはしゃいで言った。


ヴィクターがスーツに近づくと、スーツはヴィクターを拒絶するかのようにビリッと静電気を起こした。


「ッ......。こいつ!俺が嫌いみたいだ!!」


「ルミ姉が言ってたよ!そのスーツを使うには.....」


スーツのハイテク機能が口を開いた。



" スーツはスペキュラニウム製だが、誰でも着こなせるわけではない。 "


" スペキュラオスの恩恵を受けることが、力を引き出す絶対条件。 "



このスーツのハイテク具合にみんなが驚いていたそれもこれも、全てルミノアの頭脳のおかげだ。


「す、すげぇ......これがハイテクってやつなのか??」


「あ、あぁ。初めて見るな。このような機械は。」


「ルミ姉は私たちの村 カレイド でも凄腕の科学者なんだから!!こんなの朝飯前よ!!」


「それでよ。このスーツはオンケイってやつを手に入れないと着れないらしいぜ。」


「あぁ、そうだね!教えてあげる!スペキュラオスから恩恵を受ける方法!!」


【パート23】

" 強光下、かつ影のない場所で合掌をすること。 "


" 成功すると意識が精神世界へ転送される。 "


" 精神世界でスペキュラオス本人に認められること。 "



「てな感じよ!分かった?ヴィクター!」


レイが自信満々な顔をした。


「おう!完璧に理解した!」


「ふむ、スペキュラ族はみんなそんなことをしているのか。」


「そう、恩恵を受けた人間だけがスペキュラ族として認められるの。ルミ姉の天才具合も少しはその恩恵の影響があるのかもね!」


レイはそういうとヴィクターを照明室まで送った。


「じゃあな!みんな。すぐ帰る。」


「うん!頑張ってね!!」


【パート24】

ヴィクターは照明室に入った。ヴィクターがレバーを下げると電気が付いた。

影が全て消えたのを確認してヴィクターは部屋の中央で合掌を始めた。


次に目を開けると、そこには真っ白な空間が広がっていた。子供が色塗りを忘れたような風景だ。


「流石に何もなさすぎて寂しい.....、ここで本当に神様と会えるのか??」


ヴィクターが上を見ると、雲一つない青空に3つの太陽が浮かんでいた。正三角形を形作っているようだ。


「太陽が3つあるぞ......??」


ヴィクターがその太陽を不思議そうに見ていると、

その太陽がヴィクターの目の前にゆっくりと降りてきた。


「な、何だ!?ただの太陽じゃないのか??」


太陽が喋った。


「そうだ。ただの太陽ではない。」


「声が聞こえてきたぞ!?アンタか!アンタがスペキュラオスか!!」


正三角形を形作る3つの太陽が高速に回転しながら中心に向かって光線が発射された。すると、その光線は人型の"ナニカ"を生成した。


「随分と尺を取るご登場じゃねぇか....」


「やはりこの姿はしっくり来ないな。」


スペキュラオスは少し姿を変え、正三角形を形作る光る3つの目、体長がおよそ3mの巨人へと姿を変えた。ヴィクターはそれを見上げて、少し怖がっているようだった。


「美少女が良かったか??残念だが、私にそういった趣味はない。」


「あ、ああ。少しビックリしただけだ。」


「恩恵を授けるたいのだったな。」


「知ってたのか??」


スペキュラオスは大きく頷いた。


「私は全てを見る。全てを知る。君が何故ここに来て、ここに来るまで何があって、これから何をするのかも。現段階で、の話だがな。」


「何も聞かないでおくよ。未来のことを知るってのはロクなことが起こらないからな。」


「賢明な判断だな。私はさっきも言った通り、君のここまでを知っている。辛かったな.....。だが、今は新たな希望を見つけたようだな。」


スペキュラオスは頬杖をついた。


「ああ、その通りだ。俺はエイゼン・ウォーカーを倒してヒーローになる。」


「ふむ。その意気だ。私は君がここに来ると決まった時点で合格を出すつもりだった。」


スペキュラオスは足を組み直した。


「おお!それは助かる!!」


「ヴィクターよ。君には恩恵を授ける。だが、その前にヒーローと言ったな?」


スペキュラオスの目が黄色に変わった。


「そうだ!忍者の格好をした最強ヒーローよ!!」


「ふむ。それでエイゼン・ウォーカーを倒すと?倒せると思っているのか?」


「あ、ああ!軍で鍛えたんだ!やれるさ!」


ヴィクターは腕を叩いた。


「もっと強くなりたいとは思わないか?そうだな......、忍者.....、格好だけではなく、その戦闘技術の習得......。忍者を名乗るのだろう。稽古をつけよう。」


「本当か!ぜひ、お願いしたい!!しかし、結構な優遇じゃないか。」


【パート25】

スペキュラオスは思い返すように空を見上げた。


「私と対の存在、シャドラオス。奴と契約した者共を倒してくれるというのは私からしても有難い。見ての通り、私が倒そうにもこの空間から出ることができない。」


スペキュラオスが手を伸ばした先には透明な膜のようなものが見えた。


「だから、ヴィクター。君とは恩恵を授けるだけではなく、契約をしておきたい。何かの役に立つかもしれない。」


「.....、内容を聞こう。」


「君たちはスーツを完成させただろう。私の理論を独自に解明してな。そこでだ。私がそのスーツに宿れるような契約を結びたい。」


「出れないんじゃなかったのか??」


スペキュラオスはヴィクターに顔を近づけた。


「君たちがスペキュラニウムを作ってくれたからな。スペキュラ繋がりで可能だ。実際はもっと複雑だがな。」


「なるほどな。それでアンタがナビゲーションか!」


ヴィクターの指パッチンが響き渡った。


「そうだ。それだけではない。いざというときは......、いや、これはまだいいか。」


「言いたくないならいいさ。その契約、結ぶことにした!!」


スペキュラオスが手を差し伸べた。


「契約完了だな。では稽古を始めよう。」


そう言うとスペキュラオスは忍者の格好をした人間に姿を変えた。


「時間はたっぷりある。始めよう。」


「受けて立つ!!」



【パート26】

レイと博士とルミノアが昼食を食べている頃に照明室の方から叫び声が聞こえた。


「よっしゃああああああ!!」


3人が照明室の方に集まった。心配そうに話しかけている。


「ずいぶんと長かったね??」


「試練は合格したのかしら....」


「向こうで何があったのだ!?」


ヴィクターは立ち上がって、こう言い放った。


「少し修行をしててな....。しかし疲れたな。変な感じだ。体は疲れてないのに.....」


「修行…!?試練はどうだったの??」


「ああ.......、それなら合格だったよ....。」


ルミノアはヴィクターの肩を支えた。


「丁度お昼ご飯を食べていたところだったし、食べましょ!ね!」


「ああ、そうするよ。」


疲れ切ったヴィクターだったが、向こうの世界で過ごした時間の会話や修行も全て頭は覚えている。


翌日のヴィクターの変わりようと言ったら凄まじかった。


【パート27】

精神世界での修行の影響でひどく疲れていたヴィクターはすぐに眠りについた。


翌朝、ヴィクターが起床して、洗面所へと向かった。レイがいたので「おはよう」の一言でも掛けようと思って肩を叩いた。


「おはよ.....」


レイの大きな悲鳴が響いた。


「ど、どうしたんだよ!急に大きな声出すなよ!!」


「ヴィ、ヴィクター!?来るんだったら足音の一つぐらい出したらどうなの??ビックリしたじゃないの!!」


「な、何??足音してなかったか??」


「全っ然!気づかなかったよ!ホントにビックリしたんだから!!」


レイの驚き様を見て、ヴィクターは本当に自分の足音がしていないのか確かめようとした。どれだけ音を立てても、大げさに動いても足音が出ない。それどころか、体全体から音がしないようになっている。筋肉が音を全て吸収しているかのようだった。


「なあ、レイ。どうやら昨日の修行の成果が出てきたみたいだ.....。」


「昨日言ってたやつのこと??」


レイは首を傾げた。


「でも精神世界なんだよね??どういうこと?」


「反映する.......、みたいだ.....。」


ヴィクターは自分の手を不思議そうに見つめた。


「試してきたら??ルミ姉さんもきっと喜んでスーツの準備をしてくれるはず!!」


博士、レイ、ルミノア、リリィの4人はいよいよ始まるヴィクターのスーツの装着に興味津々だった。


【パート28】

「さあ、存分に力を発揮するのよ!スーツちゃん!!」


「ようやくここまで来たか......潰えたはずの希望が.....今、私の目の前に.....」


「長かったね。ここまで......」


「ああ。本当にな。だが、奴が来てからというものコトがトントン拍子に進んで怖いぐらいだ。」


博士はヴィクターに視線を向けた。


ヴィクターは白く輝くスーツを装着するところだ。試練の前はあんなにヴィクターを拒んでいたスーツだったが、今は大人しく歓迎してくれているようだ。


「いよいよだな.....。装着開始!」


ルミノアたちが不思議そうに見つめた。


「自分で着るのよ?そこまでハイテクじゃないの......。」


ルミノアは肩を落とした。


しばらくすると、スーツが呼びかけに応えるように自動装着された。


ルミノアは全く知らないといった様子で首を横に振っていた。


ヴィクターは胸を張って言った。


「遅かったな!」


「フフフ....ハッハッハッハッ!久しぶりに外界を感じるぞ!!スペキュラオス接続完了だ!!」


「嘘でしょ??」


「スペキュラオス!?」


ルミノアとレイは唖然としていた。


「びっくりしたであろう。ヴィクターとの契約でここへ宿れるようになったのだ!!」


「こんな喋り方だったっけ.....??」


「多分、修行とやらでヴィクターの口調が伝染っちゃったのよ.....」


「修行の成果が出てきたみたいだから試しに行くところだったんだ!!」


ヴィクターは言い放った。


「ちょっと暴れるぞ!スペキュラオス!!」


「ああ!修行の成果見せるがいい!!」


ヴィクターはスーツを身に纏って、研究所から走り去った。


研究所に残った3人は走り去ったヴィクターが何人もいたように見えた。


【パート29】

ヴィクターは走っていた。これを常人が見たらパラパラ漫画の一枚一枚が置き去りにされているように見えるだろう。


「すごい.....、すごいぞ!体が軽い......!」


ヴィクターは興奮しながら言った。


「そうだろう!これが私との修行の成果だ!だが、こんなものではないぞ!」


スペキュラオスが言った。


「他には......、アレだな!」


ヴィクターはそう言うと急ブレーキをかけた。


砂ぼこりが舞った。


そこでヴィクターは深呼吸をした。


「よし、やれる.....、やれるぞ....。」


ヴィクターは脚に力を入れて軽くジャンプをした。


思ったより高く飛べた。


その高さはおよそ10m。一般的な一戸建てならジャンプで屋根に乗れるほどの高さだ。


「凄いぞ!ヴィクター!しっかりと成果が出てきている!!」


ヴィクターは軽く着地した。


辺りには土煙が待っている。


「よし来た!ヤバかったな今の!」


「だが、まだ軽く跳んだだけだ。次は"本気で"やってみろ!」


ヴィクターはさっきよりも脚に力を集中した。そして一気にその力を解放した。


気づけばヴィクターは信じられないぐらいの高さにいた。


超大型巨人の頭に一回で行けそうな高さだ。


「飛びすぎだ!まだこの高さの着地の練習してないぞ!」


ヴィクターは大声で言った。


「やっただろう?このぐらいの高さの練習なら。」


スペキュラオスが不思議そうに言った。


「そりゃあ、あっちは痛覚無効だったからな!!あぁ!もう!どうすんだ!」


ここで死ぬのかもしれないとヴィクターは心の底から怯えていた。


頭のなかに一つのビジョンが思い浮かんだ。

着地の型が......。某ヒーロー映画の主人公がよくやるアレが......。


「アレだ!もうアレしかないぞ!!」


"スーパーヒーロー着地"!!


「すごいではないか!その着地方法!一体どこで覚えたのだ!」


スペキュラオスが知りたそうに言った。


「ああ、大好きな映画があってな。それのマネだ。結構ヒザにくるんだな。これ。」


ヴィクターの足元は着地の衝撃で地割れしていた。


【パート30】

基礎体力の確認をしている内にスーツの色が変わり始めた。


「おお!ヴィクター!!スーツがグレイになったぞ!!」


「そうか.....、さっきのはホワイトの身体強化も少しあったのか.....。」


ヴィクターは少しヘコんだ。


「ホワイトだけではあそこまでやれない。元気を出せ!我が弟子よ!!」


「そうだな。よし!グレイを試すぞ。」


「グレイなら瞬間移動ぐらいならできる。瞬間的な移動ってやつだ。ヴィクター、体が慣れないかもしれない。無理にとは言わないぞ。」


ヴィクターは深呼吸をして言った。


「やろう。グレイ!」


ヴィクターが地面を蹴った。


突風が遅れて過ぎ去った。


一瞬にして50mほどの移動をした。


「も、もうこんなところまで来てるぞ!!」


「だ、大丈夫か?普通の人間なら......」


「おうよ!これぐらいなら大丈夫だ!もちろん毎日訓練はするがな!」


(この男......、期待以上だ......。)


「他には、軽い物体の生成ならできるな。大事なのはイメージすることだ。今、必要なものを......、イメージするのだ。」


ヴィクターは苦しそうに目を瞑った。


「イメージ.....、イメージ......、」


ヴィクターの手元が青白く光った。


「お、できたぞ!って......、失敗か.....。」


「よくできているではないか。クナイだろう?」


スペキュラオスが不思議そうに言った。


「いや......、違うんだ......。」


「何が違う?」


「プラスチック製だ......、材質まで考えないとだったな......。」


地面に落ちたクナイは、軽い音を鳴らした。


「まあ、良くやったよ。そんなに落ち込むな......。」


「はぁ.......、練習しないとな......。」


ヴィクターは赤い夕焼けを背に歩き出した。


【パート31】

ヴィクターが研究所へ帰っているところだった。


「おい。ヴィクター、何か気配を感じるぞ。」


「何?本当か!」


どこかから車のエンジン音が聞こえる。


「敵兵か?」


エンジン音がだんだん大きくなっていく。


「どこだ......?」


ヴィクターは当たりを見渡す。


1台の車が目の前に止まった。


その車を見るとヴィクターはホッと息をついた。


そこから出てきたのは軍服を着た老人だった。


「ヴィクター殿か!ヴィクター殿ではないか!!」


「グレイムさんか.....!」


「誰だ?敵ではなさそうだな?」


「ああ、軍にいた頃の上官だ。グレイム隊長、信頼できる人だよ。」


ヴィクターはこっそりと答えた。


「ヴィクター殿?誰と話しているのですか.....?」


「気のせいじゃないかな?」


「そ、そうでありますか.....。」


グレイムは少し俯いた。


「てっきり死んでしまったのかと......、ルーク殿は.....、ご一緒ではない様ですね......。」


「ああ......、そういうことだ.....。」


ヴィクターも少し俯いた。


「実は私共、お二人と連絡が取れないもので.....、捜索をしていたんですよ。」


「そうか....、悪いことをしたな。今、少し立て込んでてな。」


「左様ですか.....。これは提案なのですが、ルーク殿のお墓を造るというのはどうですか?皆、それを望むでしょう.....。」


「そうだな.....。あいつももっとちゃんとしたとこが良いって言うだろうからな。」


ヴィクターは指を差した。


「埋めたのはあっちだ。案内する。」


「ええ、向かいましょう。」


【パート32】

ルークの墓が正式に造られた。立派なお墓だ。名前が掘ってあって、沢山の花束が添えられている。


ヴィクターは自分の順番が来ると、墓にキンキンに冷えたコーラ瓶を置いた。


「人望が厚いヤツだな。全く。お前は超のつくほどのマジメだったからなあ.......、みんなお前が大好きだったんだろうな。これ、置いとくからな。ちゃんと飲むんだぞ。」


ヴィクターは少し微笑んだ。


それだけではなく、小規模だが葬式も執り行ってくれた。


忙しいはずなのに、沢山の人が来てくれた。


みんな泣いていた。ヴィクターも泣いた。


ヴィクターはバディとして言葉を求められた。


「俺たちは最高なバディだ。もう一緒に戦えないけどな......。こいつは超がつくほどマジメな男だった。だからこんなに花束が置いてあるんだろう。俺はその数を増やさなかった。アイツは花より団子なやつだった。アイツはコーラが好きでな.....。だから、墓に置いてやった。きっと天国でも飲みたいだろうからな......。お前たちも、コーラを置いてやってくれ......、ペプシの方だぞ.................................」


ヴィクターは積もる話を沢山した後、盛大な拍手を受けながら、椅子に座ってゆっくりと深呼吸をした。


(これで少しは報われたのかな....、お前も......。)


感傷に浸っていると、グレイムが隣に座った。


「分かってるよ.....、次はどこだ?」


「申し訳ない......、生きていると知ったらしく上から......。」


ヴィクターは立ち上がった。


「ああ、引き受ける。どこだ?その場所ってのは。」


【パート33】

「な、何!?進軍するのか?」


「ええ、もうすぐで国内の敵勢力は制圧できます。なので、シャドガルドへの進軍を......。」


グレイムは地図を見せた。


「残りの国内の敵勢力です。ここを叩けばあとは.....。」


「なるほど、そこをちょこっとやってくればいいんだな?」


ヴィクターは地図の目を通しながら言った。


「ちょこっとって......、地図で見るとそうかもしれませんが、結構な数がいます!お一人で向かうのは......。」


ヴィクターは身支度をしながら言った。


「大丈夫だ。あいつが死んでから、ただ泣いてたわけじゃない。俺だって強くなってる。」


「今よりも強いとは......、一体.....?」


グレイムは首を傾げて言った。


ヴィクターは振り返った。


「良い武器を作ってもらったんだ!」


ヴィクターは扉を開けて歩き出した。


【パート34】

「聞いてたか?スペキュラオス!」


「もちろんだ!全てをな!」


「試すのだろう?このスーツの戦闘能力を!!」


ヴィクターは頷いた。


「ああ!場所は.....、集中してるな。これなら移動も楽だな!」


ヴィクターは地図を見ながら言った。


「ヴィクター、何をしている?」


「どの方向に行けばいいか調べてる......。」


地図の角度を変えながら言った。


「ふむ。方向音痴なのか.....、教えてやろう。その位置は東だ。東に行け。」


「ああ、助かる。頭は弱いんだよ....。それで?スーツのエネルギー量はどのぐらいだ?」


「今は、グレイだ。この距離ならすぐ着くだろうな。」


ヴィクターは脚に力を込めて言った。


「よし!行くぞ!!」


ヴィクターは地面を蹴って、走り出した。周りの人々は強風か何かだと勘違いしているのだろう。


紙束を撒き散らしてしまった人、スカートが捲れそうになって押さえつける人、セットしたばかりの髪がぐちゃぐちゃになってしまった人たちは全員東を向いた。


ヴィクターは障害物を避け、住宅の壁を蹴りながら前へ進んだ。


「スペキュラオス!あとどのくらいだ?」


「あの森林の中だ!気をつけろ!今はグレイだが、ホワイトになったら、太刀打ちできなくなるかもしれない!」


ヴィクターは大きくジャンプして言った。


「心配するな。慣れてるからな。」


ヴィクターは敵の拠点の前にカッコ良く着地を決めた。


「ふぅ。決まったな。って、見張りの兵隊さんじゃないか。」


「ヴィクター、君の体の吸音力は凄まじい。着地してもバレていないようだぞ。」


ヴィクターは声を潜めて言った。


「じゃあ、あの兵隊さんから制圧していくぞ。」


【パート35】

「行くぞ!フェーズグレイ!!」


見張りをしていた兵隊が急に倒れた。


遅れて風が過ぎ去った。


「雑魚相手には相当有効だな.......これは.....。」


スペキュラオスが少し引き気味に言った。


「こんなに凄いとは俺も思ってなかったよ。さて、次は......、生体反応のスキャンみたいなことできるか??」


ヴィクターが目を輝かせて言った。


「私をなんだと思っている!光の神スペキュラオスだぞ!少しだけ目を瞑っていろ!」


ヴィクターが目を瞑ると、いつもは真っ暗なその場所に映像が映っていた。敵兵がたくさん歩いている。


「おお!すごいなこれ!」


「そうだろう!中のあらゆる鏡から見たのだ。」


「そうだったな......。"全を見る"だったか?」


ヴィクターは立ち上がって言った。


「ああ、そうだ。全てを見る。そろそろ行ったほうがいい。今がチャンスだ!」


【パート36】

「いや〜、楽勝だな〜!ヴァイスガルドの奴ら、全然来ないじゃねぇか!」


巡回兵が笑いながら言った。見た目は明るい黒人だ。


「そうでもないかもしれません。国内に残っているのは私たちだけらしいですから。」


マジメそうでメガネをしている。


「次は俺たち.....、って事か??」


二人は足を止めた。


「あそこ.....、見張りがいるはずだよな?」


「ええ、どうしたのでしょう。」


二人が見張りポイントに駆けつけた。


「おい.......、見ろよこれ.....。」


「見張り兵......、ですね.....。」


見張り兵が倒れている。死んではいないようだ。


「ああ、こちら巡回兵。見張り兵が倒れている。侵入者の可能性あり。繰り返す、侵入者の可能性あり。」


「探しましょう。」


「ああ。」


【パート37】

「侵入者との通報あり!総動員で迎え撃つ!!この基地を潰されるわけにはいかない!総動員で迎え撃つ!」


坊主で軍服を着た老人が言った。


「出動せよ!出動せよ!」


アナウンスが鳴り響く。


「侵入者らしいぜ?」


「おいおい、マジかよ。ここ潰されたら、おしまいだぞ?」


準備をしている兵士から話が聞こえる。


「防犯カメラ確認!Aホールに侵入者!繰り返す!Aホールに侵入者!」


招集を受けた兵たちがAホールに集まる。


そこには真っ黒の怪しげな格好を着ている男がいた。


【パート38】

少し遡って、


「敵兵が少なくなってきたな......、どこにいる?」


ヴィクターが辺りを見回しながら言った。


「いや、しっかりいるぞ!あの突き当たりを曲がったところから来るぞ!!」


「侵入者を発見!侵入者を発見!!応援を頼む!」


5人の敵兵が迫ってきた。


「迷わず撃てとの命令だ!撃て!!」


高速の鉄の弾がヴィクターを襲った。


「当たらないぞ!速いからな。」


ヴィクターは全てを避けきって、言い放った。


「な、何だ!あいつは!」


「当たったように見えたぞ!?」


「ひたすら撃て!!当たるまでだ!」


またも、弾丸が襲いかかる。


「全く.....、よし!」


ヴィクターは武器を生成しようとした。


「集中だぞ!イメージだ!ヴィクター!」


「ああ.......、行けそうだ。」


ヴィクターの手元が青白く光った。


「今度は成功だぜ.......!照明弾だ!」


「よくやった!」


ヴィクターは照明弾を投げた。


照明弾が光るこのコンマ数秒、ヴィクターは敵兵を壁に叩きつけた。


「な.....、んだ。アイ......、ツ......」


敵兵は気絶した。辺りが一気に静かになった。


「先を急ぐぞ。」


すると、スペキュラオスが言った。


「ヴィクター!フェーズブラック......、準備完了だ!」


ヴィクターはニヤリと笑った。


「やっと試せるわけか......。」


ヴィクターのいるAホールに敵兵たちが集まってきた。


「な、何だ!貴様は!ヴァイスガルドの差し金か!!」


漆黒の布で包まれた怪しげな格好をした男が言った。


「俺か?俺はな.....。BLACK NINJAだ。」


【パート38】

「ヴァイスガルドの兵で間違いないようです!!」


坊主の軍人に向かって近くにいた兵が報告をした。


「ふむ、ここを潰しに来たと.....、だが関係ない!我がシャドガルドの名にかけてここで叩く!!」


老人は射撃開始の狼煙を上げた。


「撃てーーーーーーィィィ!!」


怪しげな黒装束の男に弾丸の雨が降り注いでいる。


全くもって効いていないどころか、全てを弾き返しているように見える。


「おい、スペキュラオス!これで敵は全員集まったか??」


ヴィクターは声を荒らげて言った。


「ああ!これで全員だ!問題ないぞ!」


ヴィクターは構えの姿勢を取った。獲物を見定める猛獣のような姿勢だった。未だに弾丸は全てスーツという分厚い壁に屈している。


「な、なんだ!なぜ死なない!当たっていないのか!?」


「おそらく、丈夫な防具を装備しているのかと.....」


敵兵たちが混乱している。


「短刀を生成......。」


ヴィクターの両手が青白く光って、短刀が生成された。ヴィクターは短刀を持ち直した。


「材質は.....、大丈夫そうだ!行くぞ!!」


ヴィクターは地面を軽く蹴った。


敵兵の射撃が止み、無音の時間が訪れる。


「な.......、何?一体、どこへ消えた!!」


「分かりません!急に........」


敵兵のうちの一人が急に倒れた。


「おい、どうした?言うなら最後まで言............」


周りの兵がどんどん倒れていくのを見て、坊主の老人が顔を真っ青にした。


「な、何なんだ!?何が起こっている!!」


すると、老人の目の前に怪しげな黒装束を身に纏ったヴィクターが現れた。


「な......、何だ!急に姿を現したぞ......」


老人は懐から出した銃を構え出した。


「残念だが、そいつは効かないぜおっさん。上からの命令だからな。全員生かしちゃいけない.....。」


顔が見えない。布でマスクをしている。漆黒の布の下にはさらに漆黒、全てを飲み込むような色をしている。


「おのれぇぇぇぇ!!」


老人は銃を連射した。どれも命中していたが、ヴィクターには通じていない。


「悪いな。付き合ってるヒマはないんだ。」


銃声がホールに鳴り響いた。


「グレイムさん、ああ、そうだ。任務完了だ。」


今夜のヴィクターの活躍によって、ヴァイスガルド国内のシャドガルド勢力は全て制圧された。


【パート39】

「いやはや、まさか本当に一人で制圧されるとは。びっくりしましたよ。」


グレイム隊長は感服している様子だ。


「ああ、そうだな。言っただろ?凄い武器を作ってもらったんだ。」


ヴィクターは胸を張って言った。


「ほう、その武器というのは?」


「あんまり人に言わない方がいいんだとよ。まだ秘密だ。」


ヴィクターは頂いたお茶を飲みながら言った。


「左様ですか......、誰にでも秘密はあるものですな。」


「シャドガルドへの進軍はいつ始めるんだ?今回で国内は制圧できたんだろ?」


グレイムは窓の外の向こうを見ている。


「そうですな。まだ上からは何とも.....、申し訳ありません....。」


「いや、いいんだ。そうか未定か。」


ヴィクターはお茶を一気に飲み干して立ち上がった。


「そろそろ帰るとするよ。また何かあったらここに連絡をしてくれ。」


「了解しました。ヴィクター殿!これを。」


ヴィクターが振り返ると、そこには中身が謎のケースを手にしたグレイムさんが立っている。


「これは?」


「帰ってからお開けください。お役に立つかもしれません。」


ヴィクターはそれを受け取ると、研究所へ帰って行った。



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