最終版第9話 スペキュラオスの試練(後編)
【パート24】
ヴィクターは照明室に入った。ヴィクターがレバーを下げると電気が付いた。
影が全て消えたのを確認してヴィクターは部屋の中央で合掌を始めた。
次に目を開けると、そこには真っ白な空間が広がっていた。子供が色塗りを忘れたような風景だ。
「流石に何もなさすぎて寂しい.....、ここで本当に神様と会えるのか??」
ヴィクターが上を見ると、雲一つない青空に3つの太陽が浮かんでいた。正三角形を形作っているようだ。
「太陽が3つあるぞ......??」
ヴィクターがその太陽を不思議そうに見ていると、
その太陽がヴィクターの目の前にゆっくりと降りてきた。
「な、何だ!?ただの太陽じゃないのか??」
太陽が喋った。
「そうだ。ただの太陽ではない。」
「声が聞こえてきたぞ!?アンタか!アンタがスペキュラオスか!!」
正三角形を形作る3つの太陽が高速に回転しながら中心に向かって光線が発射された。すると、その光線は人型の"ナニカ"を生成した。
「随分と尺を取るご登場じゃねぇか....」
「やはりこの姿はしっくり来ないな。」
スペキュラオスは少し姿を変え、正三角形を形作る光る3つの目、体長がおよそ3mの巨人へと姿を変えた。ヴィクターはそれを見上げて、少し怖がっているようだった。
「美少女が良かったか??残念だが、私にそういった趣味はない。」
「あ、ああ。少しビックリしただけだ。」
「恩恵を授けるたいのだったな。」
「知ってたのか??」
スペキュラオスは大きく頷いた。
「私は全てを見る。全てを知る。君が何故ここに来て、ここに来るまで何があって、これから何をするのかも。現段階で、の話だがな。」
「何も聞かないでおくよ。未来のことを知るってのはロクなことが起こらないからな。」
「賢明な判断だな。私はさっきも言った通り、君のここまでを知っている。辛かったな.....。だが、今は新たな希望を見つけたようだな。」
スペキュラオスは頬杖をついた。
「ああ、その通りだ。俺はエイゼン・ウォーカーを倒してヒーローになる。」
「ふむ。その意気だ。私は君がここに来ると決まった時点で合格を出すつもりだった。」
スペキュラオスは足を組み直した。
「おお!それは助かる!!」
「ヴィクターよ。君には恩恵を授ける。だが、その前にヒーローと言ったな?」
スペキュラオスの目が黄色に変わった。
「そうだ!忍者の格好をした最強ヒーローよ!!」
「ふむ。それでエイゼン・ウォーカーを倒すと?倒せると思っているのか?」
「あ、ああ!軍で鍛えたんだ!やれるさ!」
ヴィクターは腕を叩いた。
「もっと強くなりたいとは思わないか?そうだな......、忍者.....、格好だけではなく、その戦闘技術の習得......。忍者を名乗るのだろう。稽古をつけよう。」
「本当か!ぜひ、お願いしたい!!しかし、結構な優遇じゃないか。」
【パート25】
スペキュラオスは思い返すように空を見上げた。
「私と対の存在、シャドラオス。奴と契約した者共を倒してくれるというのは私からしても有難い。見ての通り、私が倒そうにもこの空間から出ることができない。」
スペキュラオスが手を伸ばした先には透明な膜のようなものが見えた。
「だから、ヴィクター。君とは恩恵を授けるだけではなく、契約をしておきたい。何かの役に立つかもしれない。」
「.....、内容を聞こう。」
「君たちはスーツを完成させただろう。私の理論を独自に解明してな。そこでだ。私がそのスーツに宿れるような契約を結びたい。」
「出れないんじゃなかったのか??」
スペキュラオスはヴィクターに顔を近づけた。
「君たちがスペキュラニウムを作ってくれたからな。スペキュラ繋がりで可能だ。実際はもっと複雑だがな。」
「なるほどな。それでアンタがナビゲーションか!」
ヴィクターの指パッチンが響き渡った。
「そうだ。それだけではない。いざというときは......、いや、これはまだいいか。」
「言いたくないならいいさ。その契約、結ぶことにした!!」
スペキュラオスが手を差し伸べた。
「契約完了だな。では稽古を始めよう。」
そう言うとスペキュラオスは忍者の格好をした人間に姿を変えた。
「時間はたっぷりある。始めよう。」
「受けて立つ!!」
【パート26】
レイと博士とルミノアが昼食を食べている頃に照明室の方から叫び声が聞こえた。
「よっしゃああああああ!!」
3人が照明室の方に集まった。心配そうに話しかけている。
「ずいぶんと長かったね??」
「試練は合格したのかしら....」
「向こうで何があったのだ!?」
ヴィクターは立ち上がって、こう言い放った。
「少し修行をしててな....。しかし疲れたな。変な感じだ。体は疲れてないのに.....」
「修行…!?試練はどうだったの??」
「ああ.......、それなら合格だったよ....。」
ルミノアはヴィクターの肩を支えた。
「丁度お昼ご飯を食べていたところだったし、食べましょ!ね!」
「ああ、そうするよ。」
疲れ切ったヴィクターだったが、向こうの世界で過ごした時間の会話や修行も全て頭は覚えている。
翌日のヴィクターの変わりようと言ったら凄まじかった。




