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CROW EYE 

作者: 森の ゆう

第1章 黒い目 パート1

 通報は、午後五時四十二分だった。

 商店街の裏通りにある古い事務所の上空で、異様な数のカラスが鳴いているという。たまたま通りかかった中学生が怖くなって警察に電話をした。

 俺が現場に着いたとき、日は沈みかけていた。路地は狭く、湿った空気がこもっている。電線には十羽以上のカラスが並び、全員が同じ方向を見つめていた。目の先は一つの鉄扉。塗装が剥げ、鍵穴の周りに黒ずんだ跡がある。

 扉を開けた瞬間、鼻を刺すような鉄の匂いが広がった。

 部屋の中央、回転椅子に一人の男が縛られている。胸を一突き。血はまだ乾ききっていない。男の名は桐生篤志、五十二歳。小さな建築設計事務所を一人で切り盛りしていたらしい。

 周囲に荒らされた形跡はほとんどない。金目のものも残っている。だが、机の上の書類だけがごっそり抜けていた。狙いは金ではない。

 鑑識の田沼が言った。「鍵穴、歯が折れてます。無理に回した跡です」

 俺は扉の外に目をやった。電線のカラスがまだ動かない。全員、鉄扉を見つめたまま沈黙している。

 その異様な光景を、俺はなぜか「目撃者」のように感じた。

 被害者の桐生は、地元の再開発プロジェクトで下請けの割当を仕切っていた人物だ。噂では、仕事の配分をめぐって揉め事が絶えなかったらしい。

 現場近くの喫茶店で、常連の老人が話してくれた。「最近、若い連中としょっちゅう口論してた。夜遅くまで怒鳴り声が聞こえたこともある」

 俺は手帳に三つの名前を書いた。

 一人目、折坂航。桐生の元弟子で、独立した若手設計士。

 二人目、尾形涼。ライバル会社の営業。

 三人目、狩野葵。フリーの測量士で、最近桐生事務所の仕事を手伝っていた。

 三人とも事件当日の午後、この路地を通っていた証言がある。

 鑑識の初報はすぐ届いた。

 鍵穴にアルミ粉。折れたブランクキーの破片。

 扉の引き手には指紋とともに柑橘系オイルの成分。

 室内には争った形跡なし。奪われたのは案件一覧ファイルのみ。

 オイル。レモンの香り成分だという。誰かが素手で扉を触れたか、手袋の外にオイルがついていたか。どちらにしても、不自然だ。

 俺は現場を離れる前に、もう一度上空を見上げた。

 カラスたちはまだ動かない。

 まるで、“犯人はまだここにいる”とでも言いたげに。

 警視庁に戻ると、デスクの上に一枚の封筒が置かれていた。宛名は俺。中にはプリントアウトされたSNSの地図。

 タイトルには「CROW EYE」と書かれていた。

 都市の中で“カラスがどこを見ているか”を市民が投稿する研究サイトらしい。事件の時刻、現場の上空に異常な数の“視線”が集中していたという。

 画面に映る赤い点の群れ。その中心に、桐生設計事務所。

 俺は無意識に呟いた。

「カラスが見ていた、か……」


第1章 黒い目 パート2

 翌朝、俺は皆川詩織に会った。大学の研究室は狭いが整理されている。壁には都内の地図。小さな赤い点が無数に並び、帯のように伸びている。「CROW EYEの投稿を重ねたヒートマップです。昨夜、商店街裏は一時的に濃い赤になりました」皆川は淡々と言う。「カラスは“普段と違う”に敏感です。音、光、匂い。特に金属音と強い柑橘の匂いは、そこに“異常がある”と学習して固まって見ることがあります」俺は地図の中心にある路地を指でなぞった。「鍵の歯が折れた音、そしてレモンの匂い??現場の扉で検出された。説明がつくな」「はい。昨夜の投稿に、近くの公園で“反射板が光って鳥が集まっていた”というものが一件。削除済みですがキャッシュが残っていました」皆川が開いた画像には、三脚の上に小さな反射体。夕陽を鋭く返している。「測量用プリズムに似てますね」と俺が言うと、皆川は軽く頷いた。

 署に戻ると、三人への任意聴取を一気にかけた。最初は折坂航。二十代後半、小柄で目が速い。「昨日の十八時前後、どこに」「事務所に戻る途中で桐生さんのところに寄りました。書類を返してもらう予定で。でも灯りが消えていたのでやめました」「鍵は」「持ってません」折坂はすぐに手のひらを見せた。薄いインク汚れ。ディフューザーの香りはあるが弱い。机に並べた現場写真を見ても顔色は変わらない。「揉めていたと聞く」「仕事の配分で、です。独立したばかりで枠が欲しかった。でも殺す理由はありません」反応は素直、嘘の匂いは薄い。

 次に尾形涼。三十代半ば、営業の身なり、煙草の匂いが強い。「昨日の動き」「得意先回り。桐生さんのところは寄りましたが暗かった」「桐生と利害は」「競合ですよ。うちは正攻法です」「反射板を使う趣味は」「ありません」言い切りは強いが、目線が泳ぐ場面はなかった。手指にレモンの匂いはない。

 最後に狩野葵。三十代前半、作業着に近い私服で来た。手は大きく、節が固い。「昨日の夕方は」「現場から機材を積んで移動。桐生さんのところにも寄りました。三脚のケースを返すついでに。でも閉まってて」「鍵は」「持ってません。いつも桐生さんが中から開けるスタイルで」机上の写真に視線が止まる。「……亡くなったんですか」驚きはある。だが、ほんの一拍遅い。俺は狩野の手元に目をやった。手甲の内側が少し光っている。「それ、何を塗ってる」「ハンドクリームです。手が荒れるんで。レモンのやつ」「匂いは強いな」「鳥が油の匂いに寄るから、レモンで紛らわせるって聞きまして」言い方は自然だが、練れている。俺は「三脚はどこのメーカーを」とさりげなく訊いた。狩野は即答した。汎用品の型番。測量用プリズムの型も口にした。反射板の扱いは慣れている。

 鑑識から追加の連絡。現場の床に極微量の金属粉。材質は鉄とアルミの混合。作図机の引き出しには定規とディバイダーの空き。戻る途中の田沼が言った。「室内で使われたあと持ち去られてますね。凶器はこのどっちか」さらに扉の引き手から採れた皮脂は右手人差し指の特性に一致。タコの位置が特徴的だという。「作業手のタコ?」と俺。「指腹の外側寄り。重い扉を押さえながら鍵をこじる癖が出てます」

 皆川からも上がり。削除された“反射板テスト”画像の撮影機種情報と投稿時刻、そしてGPSの緯度経度。時刻は事件の三十分前、場所は現場から徒歩十分の公園。機種は狩野の使うスマホと一致の可能性が高い。確証を得るため、令状を急いだ。

 その日の夕方、狩野のワゴンを任意で検めた。荷室には三脚が三本、プリズムケース、小さな反射板、工具。手袋の内側は薄く黄色く、レモンの香りが濃い。工具箱の底に布で包まれた長いスチール定規。先端に微かな赤黒い色が沈着し、側面に目視困難な擦過痕。「それ、見せてくれ」狩野の動きがほんのわずか止まり、すぐ笑って差し出した。「現場で使うだけです」布に鼻を近づけると、レモンが弱く残る。田沼がその場でルミノールを噴霧、先端に淡い反応。狩野は表情を変えない。「現場は怪我もするんで」俺は頷き、車内の床マットの隅を指で弾いた。細い銀色の粉がわずかに跳ねた。「鍵を無理に回すと、こういう粉が出る。君の車にある理由は」「現場で金属を削ることもあるから」言葉は滑らかだが、説明は弱い。

 署へ任意同行。取調室で、まずは事実だけを積み上げた。鍵穴のアルミ粉、扉のレモン、床の金属粉、作図道具の欠品、車から見つかったスチール定規、CROW EYEの“反射板テスト”画像。狩野は一点だけ反論した。「レモンは俺だけじゃない。今どき誰でも使う」俺は首を横に振った。「扉の引き手に集中的に付いていた。指の脂と一緒にな。右手人差し指の外側寄り??君のタコと同じ位置だ」狩野の目が細くなる。「証拠としては弱い」「だから積む」俺はCROW EYEの地図を机に置いた。「君は知っている。夕方の光で反射を作れば、あの路地の上空にカラスが集まる。通行人の視線は上に行く。下で何をしていても気づきにくい。鍵穴をいじる時間を稼げる」

 狩野は沈黙した。俺は続けた。「君の誤算は一つ。桐生が中にいたことだ。予定では留守の事務所に入り、案件ファイルだけ抜くはずだった。だが中にいた。揉み合いになり、机の下から定規を掴んで突いた。ガムテープの端は丁寧に折り返してあった。現場慣れした君の癖だ。人の口も、すぐ?がせるようにする。殺意はなかったと言いたいだろうが、結果は一つ」狩野は唇を結んだまま、視線を落とした。

 夜、鑑識の確報。車から見つけたスチール定規の血痕は人血反応陽性。DNA型は照合中。プリズムの角には微細な埃と羽毛片。種類は未判定だがカラスの可能性。手袋の内側からはレモン由来成分、外側からも痕跡レベルで検出。鍵穴のアルミ粉は狩野の工具箱のやすりと一致する微粒径。積み上げはできている。

 俺は最後に皆川へ電話した。「今日の群れの動きは」「夕方は静かでした。投稿も平常に戻っています」「そうか」受話器を置くと、狩野の顔がよぎった。仕事の配分、談合の噂、下請けの焦り。動機は金ではなく“配分表”。やり口は単純。鍵を壊して入り、書類を抜く。誤算で人が死んだ。難しい理屈はいらない。やったことをつなげれば十分だ。

 取調室へ戻る。ドアを開ける前、深く息を吸う。言うべき順序は決めてある。鍵、レモン、反射、定規。そして最後に??案件一覧ファイルの回収経路。狩野がどこへ持ち込んだか。それを引き出せば終わる。ポケットのボイスレコーダーのスイッチを入れた。椅子の背に置いた上着からレモンの匂いがわずかに立ちのぼる気がしたが、すぐに消えた。俺は椅子を引き、視線をまっすぐに合わせた。「続けよう。葵さん。昨日、君は何を見て、何をした」

 狩野は黙って座っていた。取調室の蛍光灯は冷たく、机の上のファイルの角が影を落とす。俺は声を低く、一本ずつ事実を並べた。「君の車にあった定規の先端に血が付いていた。鍵穴から採取されたアルミ粉は、君の工具箱のやすりと同じ粒子径を示している。CROW EYEの投稿は、現場から十数分離れた公園で君のアカウントによる反射板テストがあったと示している。扉の引き手の柑橘成分は、君が使うハンドクリームの成分と一致する。どう説明する?」彼は一度、喉を鳴らしただけで何も言わなかった。沈黙を強いるのは嫌いだが、ここでは黙ること自体が重かった。俺は続ける。「君がやったなら、やり方は整然としている。カラスを利用して視線を逸らす。鍵をこじ開ける。人がいれば揉み合いになる。作図用具はその場にある。偶発で死に至ることもある。だが証拠は積んである。言うことはあるか?」

 狩野は視線を床に落としたまま、ゆっくりと口を開いた。「……俺がやりました。書類を取りに入るつもりでした。ずっと、腹が立ってたんです。談合だとか、決まったやつだけに仕事が回る仕組み。仲間の会社が潰れた。俺の友人も変な圧力で仕事を失った。桐生さんはその輪の中でも『まとめ役』みたいなものだった。話をつけろって、何度も頼んだ。門戸を広げてくれって。金は欲しくなかった。正直、その書類で誰がどれだけ入るかがわかれば、うちにもチャンスが来ると思った。留守だと思ってた。鍵を細工してファイルだけ抜いて、誰にも気づかれないようにするつもりだった。だけど、あいつが中にいた。そしたら、言い争いになって……気づいたら、突いてた」声が小さくなる。彼の手のひらがわずかに震えているのが見えた。

 供述はシンプルだった。計画は窃盗と暴行の領域にあり、殺意はないと繰り返す。だが物理的結果は変わらない。俺は詳細を詰める。「どうしてガムテープの端を折り返した? 慣れがあるように見える」彼は俯いたまま答えた。「安全のつもりでした。現場では、相手の口を塞ぐときには後で剥がしやすいようにする癖がある。誰にも外傷を残したくなかった。俺はただ、早く終わらせたかったんです」声には自己弁護の響きがある。だが取り調べで重要なのは動機と手口。彼はそれを説明していた。

 DNAの結果が出る前に、俺は現場で集めた残滓を並べ替え、彼の供述と照らした。突発的な暴行であること、犯行後に冷静になって書類を確認したかどうかはまだ不明だが、現場から書類がなくなっている事実は変わらない。俺は最後の核心を突いた。「その書類はどこに持って行った?」狩野の目が一瞬、揺れた。「話をつける相手がいるんです。具体的には……折坂さんに渡そうと思ってました。独立した若い設計士が枠を取れるように。折坂には、あいつが不公平だって話をしてた」そこだ。犯行を正当化する向き先が示された。俺は頷いた。「どこで渡すつもりだった?」「すぐ近くの倉庫に隠しておくつもりでした。明日、折坂に連絡して取りに来させるつもりでした」彼の指先は無意識に膝の上で丸まる。窃盗の意図から始まった計画が、死亡という結果を残し、さらに共犯の可能性を示唆する段階に入った。

 その夜、DNAの速報が入った。スチール定規の血痕は桐生本人のものであることが確認された。直接的な決定打となる。狩野の供述と、車両から見つかった物証とが合致する。俺は取調室で静かに言った。「正直に言ってくれてありがとう。これで話が早い。君には自分のやったことを明確に伝える義務がある。言わなければ、真実が曲がるだけだ」彼は言葉を絞り出すようにもう一度言った。「本当に、すまない。誰かを殺すつもりはなかった。書類さえ手に入れば、下請けの何社かに公平なチャンスが回ると思っていた。だけど、やり方を間違えた。桐生さんが叫んで、揉み合いになって……その一瞬で、あれが」彼は指先で示した。俺にはそれ以上何も言わせなかった。供述調書は詳細に、淡々と、しかし確実に記された。

 署の周囲では、CROW EYEのコミュニティが固唾を呑んで見守っていた。皆川からの連絡で、予想以上に早く投稿の復元が進み、問題の「反射板テスト」画像のキャッシュと、その時間のGPSが照合された。投稿者のIPは一時的に狩野の携帯の通信に一致したという。技術的裏付けが一つ、また一つと積み重なる。だが俺は、それが全てだとは思っていなかった。動機が金銭ではないとはいえ、談合の構造が本当に存在するかどうか、そこを行政と司法がどう捉えるかで、この事件の余波は大きくなる。被害者は故意に殺されたのか、過失致死なのか。狩野はどう裁かれるのか。刑事としての判断は、事実を淡々と示すことだ。

 取調べの合間に、俺は皆川と短く話す時間を作った。彼女は淡々と、だが熱意をもって言った。「カラスは、あの夜ただ“普段と違う”を示しただけ。人の思惑や正義を考えているわけじゃない。けれど、結果的に彼らの視線が証拠の一部になった。私たちはそれを活用したにすぎない」俺は答えなかった。言葉で飾る必要はない。事実が示すものを法に差し出すだけだ。だが一つだけ言った。「コミュニティの人たちには感謝しておけ。写真がなければ、ここまで早く辿り着けなかった」彼女は小さく笑みを返した。

 数日後、検察は狩野を傷害致死の容疑で送検する意向を固めた。彼の供述と物証は重なり、故意性の有無は裁判で争われるだろうが、現段階では強い立証ができると判断された。折坂と尾形には直接の関与はないものとされ、事情聴取の結果をもって釈放された。事務所から抜かれた案件一覧は、倉庫で見つかることはなかった。誰かが既に動かしている可能性が高い。そこが未解決のまま残った問題だった。

 葬儀の日、商店街にはいつもどおりの喧噪が戻っていた。パン屋のシャッターは朝早く開き、配達のトラックが荷を下ろす。電線には数羽のカラスが、普段通りに並んでいる。だが俺は目を逸らさずに見上げた。あの夜、彼らが一点を固く見つめた理由は分かった。だがそれだけでは事件のすべてを説明しない。人の都合、圧力、正義の行使の仕方。都市の騒がしさの中には、見過ごされる暴力がいくらでも混じっている。今回の事件は、偶発的な暴力が生んだ悲劇であり、同時に制度の歪みに端を発するものでもあると俺は思った。刑事としてできることは、まずは事実を明らかにし、必要な者に必要な説明を届けることだ。

 章の終わりに、俺は事件報告書に一行加えた。「CROW EYEにより、都市の“普段”が証拠となった」。それは冷たい事実の置き方だった。哲学や正義の言葉を並べる余地はない。死んだ者は戻らない。残された者たちがどう向き合うか、それだけが残された問だった。


第2章 消えた書類 パート1

 狩野の逮捕から三日。事件は形式上、解決に向かっていた。だが俺の胸の奥には、どうしても消えない違和感が残っていた。桐生の机から抜き取られた案件一覧ファイルが、どこにも見つからないのだ。狩野の供述では「倉庫に隠すつもりだった」と言うが、現場検証でも倉庫の監視カメラにも、その痕跡はなかった。

 あの男が嘘をつくようには思えない。だが、誰かがそのファイルを先に抜いたとしたら??。

 午前十時、警視庁の会議室で捜査本部の打合せが始まる。机の上に地図が広げられ、再開発区域一帯に赤いピンが刺さっていた。「桐生の案件は十七件。そのうち六件が同じ業者に集中しています」資料をめくると、同一グループ企業の名前が並んでいる。しかもその裏には、地方議員の後援会とつながる建設コンサルの名も見えた。俺は資料をめくりながら言った。「談合の噂は事実に近い。桐生は中心にいたが、指示を出していたのは別の人間だな」

 上司の室井管理官が腕を組んで唸る。「書類があれば証拠になるが、ない。狩野の供述だけでは弱い。行政側も簡単には動けん」

「じゃあ、書類は誰が持ってる?」と俺。

「おそらく、最初から狩野が動くのを読んでいた者だろう。桐生が死んだ夜、別の誰かが動いていた可能性がある」

 その言葉が引っかかった。狩野が事務所に入ったのは午後五時過ぎ。だが死後推定時刻は六時三十分前後。間に一時間以上の空白がある。もし、その間に第三者が事務所に入ったなら??。

 俺は鑑識報告を再確認した。桐生の机の下から微かな足跡。大きめの革靴、サイズは27センチ。狩野の靴は作業用ブーツで26.5。形が違う。

 午後、桐生事務所の近隣店舗を再訪した。パン屋の女主人が思い出したように言った。「あの夜ね、七時前かな、スーツの人がここを通ったの。急ぎ足で、なんか紙袋を持ってたわ。顔は見てないけど、背が高かった」

 桐生の周囲で背の高い男??該当するのは一人、尾形涼。ライバル会社の営業で、再開発入札の窓口を担当していた。

 翌日、尾形を再び呼んだ。応接室に入ってきた彼は、前回よりずっと落ち着いていた。「またですか、刑事さん。もう全部話しましたよ」

「確認だ。あの夜、七時前に桐生事務所の近くを通ったという目撃がある」

 尾形の眉がわずかに動いた。「通ってません。帰りは会社に直行しました」

「会社のタイムカードは十八時三分。桐生が死亡したのは十八時半前後だ。お前の会社から現場までは車で二十分。つまり、ギリギリ間に合う」

「推測ですね」

「そうだ。だが、ひとつ確かなことがある。桐生の机の上から消えた案件一覧、そのコピーが昨日、お前の会社の入札資料と一致した」

 尾形の表情が固まった。「……何の話です?」

 俺は資料を突きつけた。業者名のリストの並び方、金額の単位、ページ番号。桐生の独自フォーマットと同じ。

「お前は狩野が書類を盗むと知っていた。だから、その前に別のルートで回収した。桐生を殺したのは狩野だが、書類を奪ったのはお前だ」

 尾形はしばらく黙り、椅子の背にもたれた。やがて静かに言った。「……刑事さん、あんた本気でそう思ってるのか?」

「思ってる。カラスも見てた」

「は?」

「現場上空のCROW EYE。あの時間、再び赤く点滅した。群れが動いたのは、狩野が出た後の六時半だ。つまり、もう一度、何か異常があった」

 尾形の喉がごくりと動く。俺はそれを見逃さなかった。

「お前が事務所に入ったんだな。狩野が出たあとで」

「証拠は?」

「ある。桐生の床に残ってた足跡だ。サイズ27、営業靴。お前の靴の型と一致する」

 尾形は口を開きかけ、すぐ閉じた。

「……どうせ桐生は死んでた。俺が殺したわけじゃない」

 その瞬間、確信した。

 死体があることを知っていた。ニュースでは“殺人の可能性”とだけ報じられ、遺体の状態や発見時間は公表されていない。

「お前、どうして“死んでた”ってわかった?」

 尾形の顔色が変わった。

「……」

 部屋に沈黙が落ちる。俺はゆっくり立ち上がり、彼の目を見据えた。「答えろ。お前は何を見た?」

 尾形の肩が震えた。やがて小さく呟いた。「俺は、ファイルを取りに行っただけだ。桐生がすでに椅子に縛られてて……血が……」

「誰が縛った?」

「知らない。本当に知らない」

 俺は深く息を吸った。狩野の行動記録に、“縛る”という供述はない。

 つまり、桐生を縛ったのは、別の誰か。


第2章 消えた書類 パート2

 狩野の再聴取で一点が訂正された。「口にガムテープは貼った。でも“縛って”はいない。揉み合いのあと、桐生さんは自分で椅子にもたれた。俺は逃げた」彼はそう言い切った。つまり、椅子に固定した人物は別にいる。

 時系列を詰める。五時十六分、狩野が侵入。五時三十分過ぎに揉み合い、一突き。五時四十五分、狩野は路地を離脱。十八時二十八分、CROW EYEのヒートマップが再び点滅。六時三十分から四十分の間に「第3の人物」が入った??そう仮定すると、桐生が縛られていた説明がつく。

 皆川の大学で映像解析をかけた。市民が投稿した短い動画を秒単位で並べると、十八時二十九分、電線の群れが一瞬だけ右から左へ首を振っている。路地奥から差し込む光が動いたからだ。近隣の配送業者のドラレコを任意提出で確認。十八時三十一分、路地入口に黒のセダンが一台。フロントガラスに吸盤式のカードホルダー。公用車仕様でよく見るタイプ。撮影フレームの端、運転席から降りた長身の男の影が鉄扉に重なり、ドアの開閉音に合わせて群れが再び静まり返る。

 黒のセダンのナンバーから所有者を引くと、市の外郭団体「都市再開発機構」契約車両。使用歴の記録では、その時間帯の使用者は「再開発推進室 課長補佐・朝倉廉あさくられん、四十七」。身長は一八四センチ、靴のサイズ二七。桐生の床に残っていた足跡と一致する。

 朝倉の身辺を洗う。担当区域は桐生の案件と重なり、入札説明会では常に最前列。ヒアリングでは「業者選定に関与はない」が決まり文句。だが内部通報窓口に、半年前「朝倉がリストを事前に受け取り、特定業者に“目安”を示した」という匿名投書が入っていた記録が見つかる。閲覧権限のある監査室の協力で原本を確認。文中、桐生の名前が複数回出てくる。

 令状請求の準備を進めながら、俺は朝倉に任意出頭を求めた。会議室に現れた朝倉は、背が高く、ネイビーのスーツが板についている。机上の記録器を示して告げる。「確認だけです。あの夜、十八時半前後、商店街裏の路地にいましたね」

「いません。私はその時間、庁舎で書類整理を」

「黒のセダンの運行記録は、十八時二十七分に現場近くで停車。ドラレコに映っている。降車した影の肩線、あなたに近い。さらに、現場床の足跡サイズは二七。あなたも二七」

「影で本人認定はできないでしょう」

「だから積む。桐生の机から消えた案件一覧。あなたの机の引き出しにコピーが入っていた。今朝、内部監査と一緒に確認した」

 朝倉の指が止まる。「……それは業務で参照するために、たまたま」

「たまたま、桐生の私的フォーマットで?」

 固い沈黙。俺はさらに一枚、写真を出した。現場のガムテープ断片と、機構の備品倉庫で使われている業務用テープの耳の形。幅四八ミリ、芯の刻印、ミシン目の癖。現場に残っていた“折り返し”は手慣れたものだが、その癖が備品室で使われる巻き方と同じ??巻き始めの角を必ず一度だけ内側に折ってから貼る。倉庫担当者が証言した。「癖のあるのは朝倉さんだけです」

 朝倉は笑おうとして、笑えなかった。「刑事さん、あなたは私を犯人にしたいんだ」

「殺しの犯人は狩野だ。だが、あなたは死体を前にして書類を抜いた。さらに桐生を縛り直した。理由は一つ。『交渉中』の形にするためだ。死後の時間が読みにくくなる」

「推測だ」

「なら、もう一つ。扉の引き手からはレモンの香りに混じって、微量の塩素系クリーナー成分が出た。あなたの庁舎清掃で使う“速乾除菌剤”と一致する。あなたは扉に触ったあと、ハンカチにクリーナーを吹いて拭いた。レモンの上にうっすら塩素が乗る。鑑識は分離している」

 朝倉の喉仏が上下した。ここまでくれば十分だ。任意は切り上げ、令状で踏み込む。

 同時に、尾形を再聴取した。「お前は朝倉とつながっていたな」

「知らない」

「桐生のリストと同じ並びの入札資料。お前の社内のメールに、朝倉の私用アドレスから“想定価格の目安”が来ている。件名は『参考』。日時は事件の前日二一時一一分。添付ファイルのプロパティには桐生のイニシャル」

 尾形は崩れた。「……俺は、ただ、指示に従っただけだ」

「指示したのは誰だ」

「朝倉さんだよ。桐生がしぶってるって聞いて、資料を“確保”しろと言われた。俺は、死体があるなんて知らなかった。扉が少し開いてて、中を覗いたら……血が見えた。だから、紙袋だけ持って逃げた。縛ったのは俺じゃない」

「朝倉は“縛り直した”と言った覚えはないが、現場のテープ幅は機構の備品と一致する。お前は黙っていた。共犯に落ちるぞ」

 尾形の顔から血の気が引いた。「協力する。全部話す」

 翌朝、機構のオフィスと朝倉の自宅を家宅捜索。デスクの引き出しから、桐生フォーマットの案件一覧コピー二部、“目安”を書き込んだ手書きメモ、備品倉庫の出庫票(ガムテープ×2、速乾除菌剤×1)。スーツの内ポケットからは、細い折れ跡のあるブランクキー。歯は折れていないが、型番は現場の破片と同じシリーズ。スマホからは尾形宛の「確保できるか?」の文言。

 取調室。朝倉は最後まで否認で通した。「リストは参考にしただけ。現場には行っていない」

「では、なぜ君の車は現場近くに停まっていた」

「運転したのは部下だ」

「運転記録はあなたのIDカードで解錠されている」

「カードは貸すこともある」

「では、なぜ現場の扉からあなたの除菌剤の成分が検出された」

 沈黙。

「……そもそも、私は殺していない」

「殺しの話はしていない。君がやったのは“事後の隠蔽と窃取”だ。桐生を縛ったのは誰だ」

 朝倉は視線を落としたまま、「知らない」とだけ言った。

 第2章の終わりに、俺は線を引いて整理した。狩野??侵入・殺到・逃走。尾形??現場確認・書類搬出。朝倉??到着・縛り直し・拭き取り・コピー保管。三者三様の“役割”で、事件は一つの絵になった。残るピースは、桐生が何を拒んだのか、その一点。第3章では、書類の中身と、朝倉の背後にいる“さらに上”を炙り出す。


第3章 闇の帳 パート1

 朝倉の逮捕で事件は一区切りのように見えた。だが、机の上の桐生フォーマットのリストには、まだ奇妙な空欄がいくつもあった。金額が手書きで消され、代わりに印字された数字が上から貼られている。その修正シールのメーカーを調べたら、役所の備品ではなく、特定企業しか使わない業務用ラベルだった。――「北陸総合建設」。朝倉の上司である都市再開発部長・鷺沼さぎぬまが顧問を務めている会社だった。

 俺は再び機構庁舎に足を運んだ。鷺沼は穏やかな笑みで迎えた。「刑事さん、部下がご迷惑をおかけしました。彼のしたことは残念ですが、再開発事業全体に問題はありません」

「問題がないとは言えませんね。桐生氏のデータに、御社関係の入札が偏っている」

「偶然ですよ。どこも同じような業者ですから」

 笑いながらも、目が笑っていなかった。

「朝倉課長補佐の件で、何か聞いていますか」

「彼はまじめですが、野心が強い。ああいう人間は、いつかは転ぶ」

 答えが早すぎた。俺はポケットの中でICレコーダーを軽く握り、立ち上がった。「また来ます」

 背を向けた瞬間、背後の声が低くなった。「刑事さん。あまり掘らないほうがいいですよ。鳥のように上から眺めるだけで十分です」

 庁舎を出たとき、冷たい風が頬を打った。遠くの電線に黒い影。カラスが二羽、同じ方向を見ていた。

 夜、署のデスクに戻ると、皆川からメールが届いていた。CROW EYEの新しい解析。事件後も、あの商店街の上空でカラスが何度も一点を旋回している。「場所は事務所ではなく、少し北の廃ビル屋上」とある。

 翌朝、その屋上に上がると、埃をかぶったアンテナの根元にビニール袋が結び付けられていた。中にはUSBメモリ。中身は、桐生が生前に録音していた音声ファイルだった。

 再生ボタンを押す。スピーカーから、低くくぐもった声が流れる。

『朝倉さん、これ以上は出せません。鷺沼さんには言いました。違法入札を続けるなら、全部出します』

 間を置いて、もう一つの声。落ち着いているが、冷たい。

『桐生さん、あなたも長く業界にいます。線を引く時期です』

 音が途切れ、椅子が倒れる音、そして金属が擦れる音。録音はそこで切れていた。

 俺はヘッドホンを外した。指先が冷えていた。

 鷺沼の名前が出た。これで全てがつながる。朝倉は実行役、尾形は運搬役、狩野は利用された駒。裏で操っていたのは鷺沼だ。

 だが、鷺沼は老獪だ。証拠を残すような真似はしない。

 窓の外、灰色の空を横切る影があった。群れをなして飛ぶカラスたちが、庁舎の方角へと向かっていた。

 俺はコートを取って立ち上がった。

「まだ終わってない」


第3章 闇の帳 パート2

 夕方、灰色の空の下で庁舎が沈黙していた。朝倉の逮捕報道が流れ、機構は内部調査を理由に出入りを制限していた。俺は正面からではなく、裏口から入った。顔を合わせた守衛に警察手帳を示すと、何も言わず通してくれた。廊下は薄暗く、人の気配がない。鷺沼の部屋のドアに手をかける。

「刑事さん、また来ると思っていましたよ」

 中では鷺沼がコーヒーを淹れていた。机の上には数枚の書類、そして封の切られていない茶封筒。

「桐生の録音を聞きました」俺は静かに言った。

「彼は正義感の強い男でした。しかし、あれは交渉です。脅されたわけではない」

「あなたは知っていたはずだ。朝倉が書類を回収する計画を立てたことを」

「……計画、ですか。彼が勝手に動いた」

「なら、なぜあなたの机から、あの案件一覧の原本が出た?」

 鷺沼は微笑を消した。「偶然ですよ。報告を受けて確認しただけです」

「USBの音声に、あなたの声が入っていた」

 彼は静かに立ち上がった。「刑事さん。あれは編集できますよ。誰かが私を陥れようとしている」

 その瞬間、机の引き出しの中でスマホが震えた。皆川からだった。

『今、庁舎の屋上を確認しています。カラスが集まっています。群れが一点を見ている??庁舎の東窓です』

 俺は受話器を握ったまま、ゆっくりと視線を窓へ向けた。そこには、朝倉の机と同じ速乾除菌剤のスプレー。香りが微かに漂う。

「……あなた、現場に行ったんですね」

「証拠は?」

「カラスです。CROW EYEの映像に、あなたの庁舎の車が映っていました。事件当夜、朝倉が現場を離れたあと、黒いセダンの屋根に反射する光??その直後、桐生の部屋の窓に、あなたの姿が一瞬映り込んでいる」

「馬鹿な」

「鳥の目は人より正確だ。彼らはあなたの動きを見ていた」

 鷺沼は沈黙した。顔の筋肉がゆっくりと緩み、口角が上がった。「……なるほど。私を追うのに鳥を使うとは。だが、刑事さん、証拠能力があると思いますか?」

「録音、USB、足跡、入札資料、全てつながっている。あなたが朝倉を使って書類を隠し、桐生を黙らせた。朝倉が動揺し、狩野を利用して扉を開けさせた。だが桐生は抵抗した。あなたは朝倉に命じて“整理”させた。つまり、桐生の死は偶発ではない。あなたの指示によるものだ」

「……証明できるのか?」

「今夜、できます」

 その時、ドアが開き、捜査員たちが入ってきた。田沼が令状を掲げた。「鷺沼信行、あなたを殺人教唆および証拠隠滅の疑いで逮捕します」

 鷺沼は逃げなかった。小さく笑って言った。「鳥が見ていた、か。面白い時代になったな」

 夜、屋上に上がると、群れが庁舎の上を旋回していた。黒い羽音が冷たい風を切る。俺はポケットから録音機を取り出し、停止ボタンを押した。事件は終わった。しかし街の音が止むことはない。再開発の工事音、車のクラクション、誰かの叫び。

 皆川が隣で小さく呟いた。「彼らは、まだ何かを見ているようです」

「これでいい。人間の目が届かないところで、カラスが見張ってくれるなら、それでいい」

 空に群れが消えた。街の灯が一つ、また一つと点き始める。

 俺は手帳に最後の一行を記した。

 ――CROW EYE:都市の闇は、常に誰かが見ている。


第4章 黒い雨 パート1

 事件が終わってから一週間、街は何事もなかったように動き始めた。

 桐生の葬儀の日、雨が静かに降っていた。傘を持つ手が冷たい。参列者は少なく、花輪も控えめだった。葬儀場の屋根の上で、二羽のカラスが雨に打たれながら動かずに立っていた。誰も気づかない。だが、あの日のように、彼らの黒い目は何かを見ている気がした。

 朝倉は全面自供に転じ、鷺沼の指示を認めた。入札操作は三年以上にわたり続けられ、桐生はその一部始終を記録していた。止めようとした瞬間、彼は殺された。

 鷺沼は最初こそ沈黙を貫いたが、USBの音声とCROW EYEの映像を突きつけられ、最後には短く「そうだ」とだけ言った。

 あまりにあっけない終幕だった。

 狩野は拘置所で手紙を書き、俺宛に届いた。

 〈俺は悪人じゃなかったと信じたい。でも、人を殺した。カラスが見てたなら、奴らは俺を許すだろうか〉

 短い文だった。罪の重さを測るのは裁判だ。だが、彼が最後に見上げたあの電線には、確かにカラスがいた。

 皆川はCROW EYEのサイトを更新した。

 《事件の映像は削除します。けれど、この街を見つめるカラスの視線は、これからも続くでしょう。》

 そのメッセージは、多くのユーザーに共有され、静かに拡散した。

 俺は机の引き出しにUSBを仕舞い、報告書の表紙にペンを走らせた。

 タイトル:「CROW EYE事件 最終報告書」

 副題は付けなかった。言葉にすれば、軽くなる気がしたからだ。

 夜、庁舎を出ると、雨が本降りになっていた。アスファルトの上に小さな水たまりが無数にでき、街灯がぼんやりと滲む。

 どこからか鳴き声が聞こえた。低く、ゆっくりとした声。振り返ると、街路樹の上で黒い影が動いた。

 カラスが一羽、俺を見ていた。

 目が合った。

 その一瞬、雨音が遠ざかったように感じた。

 ――見られている。

 それは監視ではなく、記録。

 人がどんな言葉を使おうと、どんな嘘をつこうと、彼らの目には全てが残る。

 俺は傘を閉じ、空を見上げた。

「……見届けてくれ。もう二度と、こんなことが起きないように」

 返事のように、カラスがひと声鳴いた。







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