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就寝前、寝台に横たわりながら、今日あったことを考えてしまった。


ジェイド様の話はどう考えても何かしら誤解を含んでいそうなのだが、彼の話からしたら、男性に傷物にされたと自ら口にした女性がいることになる。


それには、相当な勇気がいることだろう。果たして本当にあった出来事なのだろうか。


傷という話は、ジェイド様的には、貞操の話のようなニュアンスで話していた。

ああいうことを人前で言われると、こちらは本当に迷惑だ。


彼はそこは考えてくれなかったのだろうか。


それとも、こちらの状況にかまえないほど激昂していたのだろうか…


いや、あの誤解を真実だと思っているからこそ、人前でそう話しても構わぬ相手だと思われたのだろう。


はしたない女性とか言われてたし。


その時のことを思い出してため息をついた。最近、ため息ばかりついている。寝る前だ、別のことを考えよう。


傷、傷かあ…そういえば自分には傷がある。しかも顔に。


貞操の傷と顔の傷は、世間的にはどちらがよりよろしくないのだろうか?


…もちろん、どちらもよろしくないに決まっているわ。


自分で答えを出し、苦笑いした。考えを切り替えようとしたのに、結局あんまり安眠できない考えが浮かんだのだ。


顔の傷は幼い頃の傷で、すでに治っている。傷跡はあるが、髪の生え際なので髪を上げない限り目立たない。


もちろん、このことは吹聴してまわるつもりはない。傷を受けたのは昔のことで、今ではもう知る者もいないだろう。


リデルは幼い頃、兄と共に父の友人の領地に滞在したことを思い返した。


確か夏の間だったと思うが、兄と自分にとっては全く知らない土地にしばらく滞在することとなったのだ。


心細さもあり兄の後ろについて回っていたが、兄と同年代の子息が何名か滞在していた。


兄は彼らと新しく友人となったため、妹の自分がついていくのを迷惑がった。


でも他に女の子がいなくて男の子ばかりなの!お兄様といさせて!というと、彼は母親と一緒にいるように自分に言った。


だが母は母で子息達の母親やらとの話があり自分は邪魔だったらしく、子供同士でいなさいと言った。


兄は僕ら子息同士の交流もあるんだから、妹は邪魔なんだよ、部屋で一人でいたらどうなんだよと言った。


しかし自分は、知らない場所で一人は嫌!お兄様と一緒にいる!と、そこで駄々をこねたらしい。


それを聞き、母親はやはり兄と妹は共にいなさいといった。


そして滞在先のメイド達に、遊ぶときに子供たちの様子を見てくれるよう依頼するからと言った。


兄は男連中だけで遊びたかったのでこの指示には不満タラタラだった。

私にも、何であんなこと言うんだよ!と文句を言ってきた。


そして、どうしてもついてくるなら、弟ということにして自分の小さめの男の服を着てついてこい、なに裾や袖はまくればいいさ、と自分にこっそり言った。自分は少しワクワクしながら了解したのだった。


ちなみにうちのメイド達は連れて行っておらず滞在先の使用人の方々だけで、私達の顔を知らないこともあり事態は明るみに出なかった。


みんな子供だったから、バレたら困るだろうだとかなど、そこまで考えてなかったのだが、結局あやしまれなかった。そうやって遊んだのは、半日くらいだったこともあるかもしれない。


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