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「そういうことであれば、彼女とご一緒になられてください…」

しばらくの沈黙の後、ようやくリデルは口を開いた。


「いや、私の真実の愛は貴女なのだ。

貴女に会った時にわかったのだ。

だから結婚するのは貴女なのだ!

…信じてもらえないのか?」

ジェイド様はリデルの暗い表情を見て言った。


「これを話すのはやめようと思っていたのだが…」

ジェイド様は語り始めた。


「…実は、最初に会ったとき、男の子の格好をしていた貴女が、自分の初恋なのだ。


貴女が倒れて刃物でその顔を傷つけてしまったとき、貴女のその眼差しを見た時に…

自分の心が捉えられてしまったのだ。

幾晩も幾晩もその時のことを、思い出してしまうのだ。


自分はこの件は忘れようと全力で尽くした。

なぜなら、自分の想いを恋だと認めてしまうと、少年が恋の対象であるということになってしまうからだ。


そのため、女性に声をかけてもおかしくない年頃になったとき、すぐ様々な女性に声をかけて、つきあうようにした。


自分は男の子が好きなのではないことを証明したかった。

あの思いは、何かの間違いだとはっきりさせたかったのだ。


だが、彼女らとは長続きはしなかった。

…そのつきあいに、こちらの心がないからだろうな。


愛や恋について思いを馳せてもこの目に浮かぶのは、倒れている幼い黒髪の少年と、自分が斬ってしまった顔の髪の生え際に流れている赤い血の光景なのだ。

自分は異性を好んでいるはずだ、そう信じていたいのに…


適当に声をかけてつきあった女性ではその答えを得ることができず、ひたすら苦しかったのだ。 


ただ戦いに身をおいて、海賊の討伐をしているときは、そんなことは考えずにすんだ。

だから自分は、年齢的にまだ早いと言われながらも、好んで戦いの場に出るようになったのだ。


そんな折に、学園で貴女に話しかけた…こちらが誤解していた件で。

そして間近で貴女の眼差しを見たとき、これまであの少年にしか感じなかった魂に刺さるかのような戦慄を覚えたのだ。


その時は動揺のあまり、言わなくていいことまで口走ってしまった。本当に申し訳なかった。」

ジェイド様はあらためて頭を下げたが、リデルはもういいですから、と先を促した。


「自分はその後、ついに異性に対し、こういう気持ちを抱くことができた!と感激していたのだ。

さらに、貴女のお父上から話を聞くと、当時倒れていた少年、私の初恋の相手が、貴女の男装した姿だったということではないか!


良かった!

自分はちゃんと女性が好きな男だった!


そして、貴女のことを運命の相手だと思ったんだ。

この思いには間違いはないのだよ。」

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