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「リデル、私、その、驚くべき話を聞いてて。

あなたとあなたのお家に関することで…」


「まっ!ミネルヴァのとこって、情報が早いのね。

その、お父様が伯爵になることなら、もう家族から聞いてるわ。」


「…違うわ。あなたのお母様の方。」


リデルが驚愕したことに、母の故郷である滅びた王国が復活した、などという話をミネルヴァはするのだった。

そしてその王国は、もうこの国では見られなくなった魔法にあふれているのだと…


「これ、まだ噂にしてもわずかな者にしか伝えられてない話なのよ。

この帝国の者はほとんどが誰も知らないわ。

当初は、あなたの家族にもこの話はいずれ伝わるんだろう、あなたもそこで知るんだろうと思ってたから、手紙にも書かなかったんだけど…やはり知らないのね。


その、これ、どうやら、あまり公にされないようになってる話だと、最近わかったの。

手紙なんかに気軽に書かなくて良かった。

あなたも口にしない方がいいわ。」


リデルはひどく混乱した。

ミネルヴァは軽々しく嘘をつく人柄でも、人目を引こうと大きなことを言う人物でもなかったが、さすがにこれは途方もない話だ。

ここは口をあまり挟まず、

まずはできるだけ話を聞こう…


「その、リデルのお母様だけども。

ご本人の魔力について、何か聞いたことはないの?」


…そうそう、ミネルヴァだけには、お母様が滅びた王国の元王族を名乗っているのよ、とか話したことあったわ…


「いつも言ってたけど本気にしたことなかったわ。

だって、お母様、魔法やら何にも使えないんですもの。


炎やら光やら、雨を降らせたり風を吹かせたりなんか、そんなことしてるとこ、見たことないわ。

まあ、これまで、魔法自体、見たことはないんだけど。


そもそもお母様が魔法を使えていたら、暮らしは困窮したりしてなかったわ。」


「あなたのお母様はね、おそらく精神支配系の魔法への防御の力を持っていると思われるのよ。光や炎を操るとかそういうのではないの。」


リデルは黙って聞こうと思っていたことを忘れ思わず口を挟んだ。

「なぜそんなに断定できるの?なにか証拠でも見つかったの?」


「…どこまで話していいのかわからないんだけどね


…今から話すことは、うちの一族の存亡に関わってしまうから、外には決して漏らさないようにしてほしいのよ。」


「誓ってそうするわ。」


ミネルヴァは考え考えしながら話し始めた。

「うーんどう話したもんだか…

そうは言っても、話しすぎてあまり迷惑かけたくないのよね…


その、まずは魔力の件ね。

もしリデルが彼の魅了にかかっているのだったら、リデルは、魅了に対する防衛の力なんか持ってないことになる。


でも魅了からの解除の方法を試しても、他の人と違ってリデルの心は変わらなかった。

これ、あなたは、魅了されていたわけじゃないってことになる。


あなたは本心から彼が好きなのね。」


リデルはうつむいた。ミネルヴァは話を続けた。


「それは魅了の力にかからない魔力を持っているという可能性がでてくる。


魔力というものは、多くは血筋で引き継ぐらしいから、ご両親のどちらかから魔力を引き継いだことになるけど、


あなたのお父様は、失礼ながら大貴族の血筋ではないから、

お母様の方から魔力を引継いでいる可能性があるわ。

彼の魅了を防いだ魔力ね。」


ミネルヴァは声をひそめた。


「実は私、最近とある方面につてができてね。

魔力を「本当に」鑑定できる魔道具の取り扱いをしはじめているの。


また、本当に魔法を使える人物にも、少しばかりつてがあるかもしれない。」


リデルがポカンと口を開けたのでミネルヴァは説明を加えた。


「その、私の直接の知り合いじゃない。いとこのクガヤがその人物と親しいのよ。


今現在、魔力を鑑定することは、大貴族以外はしないことになっているでしょ。


魔力を鑑定する魔道具、ステータスボードっていうんだけど、現在、本当は使えないんだって。


今使われているのは、それ風に見せる偽物なんだって。


ある種の力が注がれないと、魔力を用いる本物の魔道具は、誤作動するらしいことが最近わかってきたらしいの。


でもそのことは公にならない。


ここ帝国では、皆が皆、魔法を滅多に使えなくなっているらしくて、

魔力が無いだとか使えないとかを、きちんと鑑定されたら困るらしいのよ。

特に大貴族などがね。」

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