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ジェイド様が交際されていた女性とは、とある伯爵家の旧家の方ということだった。そこは経済的に困窮しており、学園にも社交にも顔を出されていないということであった。


具体的な名前はシェリル嬢は口に出そうとはしなかった。


詳しく話しすぎてジェイド様の信用を失いたくないのだろうと、リデルも突っ込んで聞かなかった。


話にある彼女は、産まれ育ちが男爵家のリデルより、身分的に問題なさそうである。


経済的に困窮というなら、少し前のうちも近いものがあった。


しかし、父が伯爵家を継ぐことは、経済的には大いにプラスである。先方もそのことを考慮に入れられた可能性は高い。


だがそれだけなら、他にごまんと候補はいる。わざわざ婚約者としてリデルを選ぶ必要はない。


傷のことは差し置いて、だが…


その傷についても、ジェイド様にそのつもりがあれば、ヴァンダル伯爵家はこちらへ慰謝料を払って終わらせ、話にあった女性と婚約することは出来たはずなのだ。


…ジェイド様は、ご両親へ、真剣に交際されている女性がいることを口にされず、リデルと婚約することを決めたということになる。


すでに婚約を考えるほどの相手がいたのなら、なんとも不自然な話なのだ。


リデルはシェリル嬢の話を聞きながら、頭の隅でそう考えた。


考えたくもなかったのだが、なぜか頭が勝手に思考を紡ぐのだ。


衝撃で思考が止まっている部分があるのに、これは妙なことだった。リデルにはどうすることもできなかった。


そうして彼女との話とお茶が終わった。空になった器を置いてシェリル嬢は席を立った。


「今のが私の話せることすべてなのよ。


あ、言っておくけども、私は別にあなたとジェイド様との結婚に反対しているとかそういう訳では無いの。


結婚を決めるのはジェイド様ご本人ですものね。


それでは、ごきげんよう。」


シェリル嬢は去って行った。


リデルは別れの挨拶はどうにかしたものの、彼女が去った後、椅子に座しうつむいたまましばらく動けなくなっていた。


時間がずいぶん流れたあと、護衛のレベラがそっと近寄って来ているのが目に入り、リデルは仕方なく席を立った。

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