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リデルは困っていた。ミネルヴァから手紙の返事も来ず、学園に行かなくなった理由やら、伝わっているかどうかわからないのだ。


また、婚約のような大事な話については、直接口頭で伝えたい。


どうにかして本人に前回の手紙の内容が伝えられてるか確認したいと、ミネルヴァの家か、せめて関連している店まで直接出向こうとしたが、まわりに止められるのだ。


これまでは自由に外出できたのに…



「すみません、婚礼が整うまで、ご両親かご婚約者様の付き添い無しでは出歩かないようにしてほしいと、ご両親様からのご命令がありまして」


最近雇われた護衛のレベラがそんなことを言って、外へ行こうとする自分を通してくれないのだ。


彼は元帝国軍の兵士で、父いわく身元がしっかりしている者が雇えて幸運とのことだ。


伯爵になって家の格があがったので、警備なども強化する必要があるのだが、まだ充分な人材が集められていない。


そのため、うかつに外出するな、などとリデルは両親から言われていた。


でも、付き添いがあれば、外出できてもいいような気がするんだけど…



「全く外へ出れないなんて困るわ。私だって用事があるの」


「リデル様の御用足しには、使いの者をやるようにと、ご両親様からもお話があったはずでございます」


何度も同じ話をしているが、その度に同じ返事が帰ってくるのだ。


リデルは地団駄をうっかり踏みそうになってしまったが淑女らしくないので我慢した。


婚姻前の娘に何かあって台無しにしたくないという配慮もあるのだろうけど、それだとずっと家にいないといけないことになる。


まったくもって不自由極まりない。


…もう、過保護なんだから!


諦めて自分の部屋へ戻ろうとするリデルだった。


…ミネルヴァ、こちらからは出向けないの。せめて手紙の返事ほしいんだけどなあ…


だがその時、出掛ける途中の母に会った。その途端、リデルはあるプランを思いついた。


「お母様!本日、私、出かけたいの。


…婚約の時に、あ、アクセサリーを用意しなかったので、しつらえようかと思って…


下見だけでもと思うの。」


「あらそうなの」お母様は少し眉をしかめた。

「今日でなくては駄目かしら?それに出向くのではなく、商人を呼んでみないと。」


「それなんだけど、アクセサリーについては、今の流行りでないずっと使えそうなものがいいの。


でも詳しくなくてよくわからないから、まずは店頭を色々見て回りたいのよ。


本当に今日注文とかではなくて下準備の下準備みたいな感じなの。できるだけ多くのものを見てみたいの。


商人を呼ぶのなら、向こうが選んだものを持って来られた中からの注文とかいう話になりそうだし…


見るのには時間かかるから、ジェイド様や忙しいお父様お母様など、ずっと引き回してつきあわせたら申し訳ない感じなの。」


「…そうね。言いたいことはわかるわ。

ちゃんと選ぶのってすごーく時間かかるわよね。


あれにつきあわされる殿方は迷惑だわね。」


リデルは行きは家の馬車で母に同行し街におろしてもらい、帰りは街の広場に迎えの馬車を夕方よこしてもらえるよう話を取りつけた。


護衛のレベラがずっと付き従うことが条件だった。


「これならよろしいですわよね」リデルが彼に言うと、お母様に話が通っているのなら大丈夫です、とレベラもうなづいた。

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