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お読みいただいている皆様へ。いつもありがとうございます。


こちらのお話ですが、タグが「悲恋」となっておりますので、お好みでない方はご注意ください。


20話ごろまでは幸せなお話として読めるかなと思います。


どうぞよろしくお願いいたします。

ミネルヴァは考えこんでいた。


リデルに話す前に、聞いた情報を頭の中で整理していたのだ。


結論からいうと、リデルがヴァンダル伯爵家へ突撃したという話の原因になりそうなものは、残念ながら見つからなかった。


その代わりと言ってはなんだが、

ジェイド様についての噂が集まったのだった。


ミネルヴァはこれまでも、彼について聞き及ぶ噂については、リデルに話していないことがあった。


それらの多くは、よろしくない噂だった。


いわく、女性の扱いについて、熱をあげている時には大事にするが、冷めてしまうと別れる時に人の扱いがひどい面が垣間見えるとか…


また男性相手においても、平民の者を仲間として対等な立場のように扱っているが、いざというときには彼らのことを真っ先に盾のようにするとか、躊躇なく捨てにかかるという話もあるらしい。


ジェイド本人は、気さくでフレンドリーで、身分を気にしない公平な人間であるという雰囲気を醸し出しているが、


そうみせかけているより遥かに、実際はつき合いづらく、こと身分下の者にとっては信をおけない相手であるらしい。


個人的には、つきあう相手としては人間的に問題があるといいたいところなのだが、


貴族としては大して珍しくない人物像でもある。


ヴァンダル伯爵の子息ジェイドについては、かなり我を通すたちで目的のためには手段を選ばない人物と言われてはいるが、


人の扱いが相手によってはよろしくないという話は、そこまで大っぴらではなかった。もしかして取り巻き連中が噂をとめているのだろうか。


彼に関しては、まあそんなところだろうな、とミネルヴァは正直そう思う。自分の受けた印象ではそんな感じもしていたのだ。


ミネルヴァはつい近頃まで平民であったため、貴族たちの上の階級への態度と平民への態度の違いについて、目の当たりにすることが多々あった。


それらはしばしば、同じ人物がしているとは思えないほどの態度の差なのである。


ジェイド様については、なんとなくそれと同様の雰囲気をこれまで感じていたのだった。


ただ、疑問がある。あそこまで彼に人気があるのはおかしい。


表立っては、全くもってヒーロー扱いだからだ。男女共に人気だ。友人のリデルも彼のファンだ。


ミネルヴァはなぜそんなにリデルや他の者が彼に肩入れするのか、わからなかった。


リデル嬢がなんだかんだ言っても箱入り娘で、男性を見る目がないといえばそうかもしれない。


しかし目の前で酷い侮辱ともとれる言葉を自分に言われ放題されたら、普通はどんなに好きな相手でも嫌になりそうなものだが、リデルはそんな感じでもないのだ。


そして周りもそんなにそのことを不思議がるものもいない。


ミネルヴァはそのことが妙に感じてならなかった。


以前、いとこのクガヤに、この件を相談したことがある。


年上の男性から見たらどう思うか、知りたかったのだ。


当事者の名前をぼかす形で、一人の女性が、とある男性に熱をあげているんだけど、そこまで好きになる理由、わからないんだ、どう思う?と。


クガヤからは、おそらく女性の方が自分に自信がないタイプで、現在の自分に閉塞感を感じているからこそ、自由で自信溢れているように見えるタイプに強く惹かれるんだろうという返事が返ってきた。


自分がそうでありたいという希望を重ねているんだろうと。だから男性本人の欠点などはみていないのだろうと。


そういうものだろうか。取り巻き連中もそうなのだろうか?


ジェイド様とやらはミネルヴァの好みではないため、よくわからないというのが本音だ。


ただ、今回情報をもたらした者から聞いた話の中に、


さらに驚くべき話があった!

これはまだ一部の者しかしらない話だ…


リデルも関係ある話なのだが…


これをリデルに伝えるべきだろうか…


リデル本人は他人の自分からではなく、家族から聞くはずの話である…


…これについては、リデル本人が家族から聞いた後から話題にだすようにしよう!


ミネルヴァはそう考えた。


まもなくリデルが学園に来なくなり、話ができなくなることは、この時点では彼女は知らぬままであった…

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