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「…お話はわかりました。謝罪も承りました。どうぞお立ちになって。」
ジェイド様はずっと跪いたままで話をしていたのだった。噂については、自分の勘違いだったと広めてもらっていると。
ただリデルがどうぞ立ってくださいと促してもまだその体勢のままなのだ。
「リデル嬢、ここから本題なのだ。まだ話をさせてほしい。」ジェイド様は私の手を取ったまま話を続けているし、握った手に力がこもってきた。目は私をじっと見据えたままだ。
この青い目に見据えられると、心臓の動悸が激しくなって冷静な判断ができなくなる。
顔に出ていないかしら…すでに恥ずかしすぎて死にそう。手も離してほしい…
しかしジェイド様は突然理解不能な話を始めたのだ。
「リデル嬢。学園で誤解のあまり貴女に手をとって最初に話しかけた時、その時…貴女の眼差しを近くで見たその瞬間、私は貴女に恋をしてしまったのだ。」
私、耳がおかしくなってるわ…
「…その時、酷い言葉を口走ってしまい、本当に申し訳なかった。どうも心中の動揺のあまりの結果、口走ってしまったのだと思う。こんな気持ちになるのは初めてなのだ。」
ええ…まだ理解できませんけど…
「父母に言われたからではない。貴女のお父上に言われたからでもない。この私自身の気持ちなのだ。
リデル嬢! 私とどうか結婚してください!」
…もうだめ、もう無理!固まったのを通り越して倒れそう!
そう、いきなり愛を告げられてもよくわからない。
そもそも、リデルは自分に自信があまりないタイプなのだ。それこそ、誰かが自分に想いを寄せることがあるなどと考えたこともない。
うら若き乙女が夢見る恋愛物語などは、あえて読まないようにしていた。
顔の傷のせいで、幸せな結婚を諦めてしまっていたようなところもあるので、辛かったのだ。
着飾ることに思いをかけなかったのも、おそらくそういう心理の影響もあった。
そのため、ジェイド様の発言が衝撃すぎて倒れそうになったのだ。
…でも待って!おかしいわ…身分差があるのに、ご本人もご両親も賛成なんてことが???
リデルはパニックになっていたが、わずかに心の隅でそのことを不思議に思った。




