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リデルは困惑していた。


父が家に帰ってきたので、手紙の返事を聞こうとしたのだが、そのうちわかるから楽しみにしてなさいとだけ言われて終わったのだ。


ちなみに兄からは何も返答が来ないままだ。忙しくて手紙自体まだ見てないからかもしれないけど。


そして、母の話通り、かなり上質なドレスを何枚か仕立てるようになったのだ。


焦って止めると、お金については心配しなくてもいいとのみ言われたのだ。


普段服を調達してもらっているから、友人のミネルヴァに新しいドレスのお店の手配を相談しようと口にしたところ、母が止めた。


古着を頼んでいるところと同じ系列の店を使うと、引き受ける上の連中はともかく、実際に仕立てる者達に話が行くと見くびられて仕上げを手抜きするかもわからないから、という理由だった。


「いつも言ってるでしょ、若い女性は着るものくらいはきちんとしなさいって。いいご縁も得られないわよ」母は言う。


「それはそうとして、でもなぜ今のタイミングなの…?何のイベントも無い時期よね?」父母に聞いてみたが、二人ともにこやかに笑うだけなのだ。


そして仕立屋を呼んでリデルの採寸をし、数枚デザイン画を見て注文したのだった。リデルは口を開くと注文しなくていいとしか話さないため、デザインは母が指定していった。


「この服に関しては猛スピードでお願いするわ。」母が指定したのは、どう見ても特別な日用に見える、上品な淡いピンクのドレスのデザイン画だった。


「これはフリルがあり豪華に見えるデザインですが、刺繍などをほどこす箇所は少ないので、想像するより早めにできると思います。」仕立屋はそう答えた。「ところで、こちらのお召し物に合う感じのアクセサリー類は、新しいものをしつらえるご予定がございますでしょうか?私共の系列の店をご紹介させて頂きますが…」


「合いそうなのはあるからいいわ。」母が数多く所持しているものの中から私に貸してくれることになり、仕立屋は帰っていった。母はアクセサリー類は急いで求めると良くないのよ、とあとから教えてくれた。


…そうね、それに、今だと、おそらく流行りの髪をあげるスタイルに似合う装飾品をすすめられそうだわ。

母のものを借りる方がいい、そうリデルは思うのだった。


リデルが困惑したことには、服が仕立てあがるまで、学園には行かなくていいと両親が言ったことだった。


「その分の授業出れないし、単位が取れなくなるわ!(それにミネルヴァと話もできないじゃない…)」


そうリデルが言うと、その間は家庭教師を頼むと。


また学園については出席日数は必須ではなく、卒業試験の点数で卒業認定がされるし、普段通り勉強してたらまず大丈夫だという返事が返ってきた。


学園にもう通う必要もないのでは?最近、学園で辛い思いをしたようだし、と両親が言い出したので、リデルは本当にあせってしまった。


…何?一体何がおこっているのかしら?


質問のしかたを変えて何度も聞いてみても、両親はにこやかに笑うだけで、答えは返さないのだった。

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