夏日の帰り道と日常の静けさ
真昼の太陽は目が眩むほど眩しく、帰り道の大通り全体を白く照らし出していた。熱気がむんと立ち込め、地面に映る影さえ、淡く水蒸気を纏っているかのようだった。
角を曲がるとき、僕はまだ小さな保冷バッグを手に提げていた。中にはアイスクリームが二本入っている。一つは妹のためのチョコレート入り、もう一つは僕のバニラキャラメルだ。
保冷バッグは、出かける前に玄関から何気なく取ってきたもの。柔らかいジッパーの蓋がぴったり袋の側面に沿っていて、中には薄い保冷材が仕込まれている。アイスはまだ溶けていなくて、バッグの口が手首に触れるたびにかすかな冷たさが残る。
僕が着ている半袖シャツは霧のようなグレーで、体に沿うけれども窮屈さはなく、袖口もきちんと締まっている。その上に黒い機能性ジャケットを羽織り、ジッパーは半分開けたまま。裏地が肩甲骨に沿っていて、動きやすい。裾が締まったワークパンツと、コンクリートの歩道を踏みしめるスニーカー。歩みは自然体だ。
ポケットにはまだ小銭が数枚残っていて、布越しに当たるたび、かすかな音がした。こんな格好は僕の日常そのものだ。派手すぎず、地味すぎもしない。全体的に清潔感があり、過不足ない。
家まではそれほど遠くない。でも、その途中には見慣れたドリンクスタンドがある。住宅街と商業地帯の境目、通りの角の片側に位置していて、ガラス扉やショーウィンドウが太陽を反射していた。
そこは、僕がいつも果実ドリンクや炭酸水を買うお気に入りの店だ。時々妹と一緒に通りかかると、ついでに一杯買って帰ることもある。
今日は特に何か買うつもりはなかったけれど、外をしばらく歩いた後で喉が渇いたし、ついでに新しい味に挑戦してみたい気分だった。
店内はシンプルで明るい内装。冷房が外の熱気と透明なガラス一枚で隔てられている。扉を押して入ったとき、僕は無意識に店内をぐるりと見渡した。カウンターの奥には見慣れた女性店員がいて、レジ前の中年夫婦と会計をしているところだった。
右側の棚のそばには子どもが二人いて、ドリンクのメニューを手に親と味の相談をしている。入口付近の席にはスーツ姿の会社員が座っていて、手元には雑誌と飲みかけのアイスティー。
それから、同じ学校らしい高校生カップルもいた。女の子はストローで炭酸果実ドリンクをかき混ぜ、男の子はキャップを被ったまま、カウンターの期間限定商品を何気なく眺めていた。
音楽プレーヤーからは、テンポのいい夏の流行歌が流れている。カウンターの奥の冷蔵庫はほのかに冷気を放ち、その上にある透明なドリンクマシンではオレンジ、グリーン、ミルク色のドリンクが泡立ちながら回っている。新鮮さと涼しげな雰囲気があふれていた。
ガラスの扉は時折開閉し、外の陽射しが店内に差し込み、タイルの床に淡い光の輪を映し出す。
僕はドリンクの棚の前まで進み、手の中で小銭を確かめた。いつも通り、まず新商品の炭酸ドリンクが出ていないか目をやるが、結局いつも買うあの列に目が戻る。
僕の好みは一貫していて、同じ味ばかり飲むわけでもないけれど、頻繁に変えることもない。ドリンクを選ぶのは僕にとって日常の一部で、出かけるとき保冷バッグを持つことや、会計時に小銭を用意するのと同じくらい自然なことだ。
冷蔵庫の前で屈んだときも、今日は妹にどの味を選ぶか考えていた。彼女は甘めの果実系が好きで、僕はさっぱりとした炭酸水派だ。
指先でガラス扉の水滴をなぞる。店内の雰囲気は静かで温かく、お客たちの話し声も冷房の低い唸り音にかき消されている。特に変わったことは何も起きていなかった。
ドリンクショップの空気は、もともと夏の冷気と甘い果実の香りで満ちていたが、その瞬間、すべてが急激に凍りついた。自動ドアが激しく蹴り開けられ、耳をつんざく警報音が鳴り始める。まだ警報が鳴りきらないうちに、入り口から五人の男がなだれ込んできた。
店内の全員が固まった。その五人はマスクと野球帽で顔を覆い、それぞれ手に光るナイフや鉄パイプを持ち、さらに一人はどう見ても本物とは思えない黒い短い銃を構えていた。
動きの鋭い一人の男は、そのままカウンターの方へ飛び込み、ほとんど一秒もためらわず、母親と一緒にいた少年を乱暴に掴んだ。ナイフは容赦なくその子の首元に突き付けられ、そのまま人混みの真ん中に引きずり込む。
少年はその場で泣き出し、その声は警報音さえ掻き消した。
母親は地面に膝をつき、そのまま力なく崩れ落ち、震えながら前に出ようとするが、すぐさま「来るな!動いたら刺すぞ!」と脅される。
店内は一瞬で静まり返り、誰もが一呼吸すらはばかられるような緊張感に包まれた。
残りの数人の強盗はすぐに分担して警戒に入り、二人が厨房とレジの前を塞ぎ、もう一人は入り口を守り、残りが僕たち客全員を監視しつつ、手早くスマートフォンを自分のバッグに押し込んでいた。
「全員しゃがめ!」リーダー格の男が怒鳴り、声には張り詰めた狂気が滲んでいた。「全員だ、誰か動いたらこのガキは死ぬぞ!」
誰もがその場に固まり、反抗する者はいなかった。子どもの泣き声はどんどん大きくなり、母親が必死でやめてと叫ぶ声も、すぐに怒号にかき消される。高校生カップルさえも固く抱き合い、女の子は口を手で覆って声を殺していた。
僕は反射的に身を低くし、できるだけ目立たないようにした。心臓は速く脈打ち、汗が額を伝う。それでも、すぐに冷静さを取り戻した。
まず恐怖ではなく、どうやってこの場を切り抜けるか、安全を確保するかを考えていた。
素早く全ての強盗の位置、武器の種類、出入口が塞がれているかを目で確認する。動作はゆっくり、慌てたふりをして小銭を床にばらまきながらも、実際は周囲の変化を余さず観察していた。
空気がほとんど動かなくなるほど圧縮されたそのとき、一人の誰かがそっと動いた。
僕の視線の端に、角の近くにいた一人の少女が映る。彼女の体つきは、よくいるイキっている同年代の子とは違っていた。淡い青のワンピースに、柔らかく自然に垂れたピンク色の長い髪。
彼女は決して激しい行動を起こすことなく、ただ静かに俯いてゆっくりと動き、その視線だけはずっとリーダー格の強盗と少年に注がれていた。