第四回 首都へ
明けましておめでとうございます。
しみね・タヨルです。
この作品を読んでいただき、ありがとうございます。
感想をいただけたら、嬉しいです。
まだまだ連載を始めたばかりで、不慣れな点も多いですが、
温かい目で見ていただけたら幸いです。
私は日系企業で10年以上働いてきました。
職場の文化に馴染んではいますが、
やはり文化の違いを感じることもあります。
ドラマやバラエティ番組を見たり、
実際に日本に住んでみたりもしましたが、
実際に生活してみると、
やはり、考え方や行動に違いがあることに気づかされます。
この小説の設定は、
既存の作品とは少し異なる部分もあるかもしれません。
しかし、それは、異なる文化のギャップを
表現したいという私の意図でもあります。
実は、魔法については、私は今でも全く理解できません。あれは、やはりまやかしのようなものだと感じています。いくら考えても、理解できないものは理解できない。それは仕方のないことです。前世でも、星を見て未来を占う役人がいましたが、私が「伏羲心経」で学んだ八卦の知識を使っても、彼らの占いの方法は理解できませんでした。だから、今は気功の修練に集中することにします。いつか、この世界の魔法のことも理解できる日が来るかもしれません。
もちろん、学業にも力を入れています。前世の私は、裕福な商人の家に生まれました。両親は、私が科挙に合格し、役人になることを期待していました。そのため、幼い頃から私塾に通い、儒学や歴史、詩などを学びました。しかし、戦乱によって家が没落し、学業を続けることができなくなってしまいました。その後、私は武術を学び始め、15、6歳の頃に「伏羲心経」を手に入れました。しかし、修練を始めるのが遅すぎたため、私は「伏羲心経」の真価を発揮することができませんでした。そして、蒙古軍の侵略から国を守るために戦い、30歳にも満たない若さで命を落としてしまいました。
この国は、ティベリウス公国という名前です。現在のティベリウス公爵家が代々統治しており、かつてはアウグストゥス帝国の支配下にありました。しかし、ティベリウス公国で貴金属の鉱脈が発見されたことで、その政治力は他の王国に匹敵するほどになり、独立して公国を建国しました。もちろん、独立の過程では、アウグストゥス帝国との間で小さな戦争も起こりました。最終的に、帝国との全面戦争を避けるために、「公国」という名前で独立を認められましたが、実質的には、政治的に独立した国家です。アウグストゥス帝国は、ティベリウス公国との和解交渉で、貴金属の関税と価格について有利な条件を得ることができたため、両国は現在も友好的な関係を保っています。しかし、アウグストゥス帝国の皇太子や宰相の中には、ティベリウス公国を併合すべきだという意見を持つ者もいるため、公国は国防に力を入れています。
十月のことでした。この国を治める大公家の嫡男、ティトゥス・ティベリウスの誕生日が近づいていました。大公マグヌス・ティベリウスは、ティトゥスの12歳の誕生日を祝うため、各地の貴族や領主を首都に招待しました。
この世界では、12歳は成人とみなされる年齢です。
そのため、今回の誕生日祝いは、ティトゥスが公爵家の後継者として、公式の場にデビューする、重要な意味を持つものでした。
ティトゥスは、まだ12歳という若さながら、類まれな才能を持つ少年だと聞いています。
剣術の腕前は、アレクサンダー兄さんも舌を巻くほどで、
光、火、水、三つの属性の魔法を操ることができるそうです。
以前、大公家の遠征隊に参加した際には、山賊の討伐で功績を挙げ、国中から称賛されたそうです。
まさに、ティベリウス公国の希望の星ですね。
私は、そんなティトゥスに会うことができるということで、少し緊張していました。
私たちの家族は、最下級の男爵家であり、領地からの収入も決して多くはありません。しかし、それでも私たちは貴族であり、領主です。大公家からの招待を断ることはできません。首都までの旅費は、決して安いものではありません。両親は、兄や姉の将来のため、そして、姉が嫁ぐ予定の伯爵家との関係を良好に保つため、首都行きを決意しました。こうして、私を含めた家族5人と、メイドのアンナを合わせた6人で、私たちは首都へと向かうことになりました。
出発の前日は、屋敷中が慌ただしく動き回っていました。
母は、朝から晩まで、私たちのために旅支度をしてくれました。新しい服や靴、帽子、手袋、そして、道中の寒さをしのぐためのマント。一つ一つ丁寧に準備する母の顔は、少し疲れているようにも見えましたが、どこか嬉しそうでもありました。
特に、母が心を込めて作ってくれた緑色の禮服は、この旅で一番の楽しみでした。
禮服を試着してみると、母は「なんて可愛い!」と駆け寄ってきて、私を抱っこした後に、私の下半身をノア姉が抱っこしているのが伝わってくるのに、なんて気持ちがいいんだろう、なんて思っているんだろう?と私は思いました。
深い緑色のビロード生地に、金糸で繊細な刺繍が施されたその禮服は、まるで森の精霊のような、神秘的な雰囲気を醸し出していました。
「ウィリー、本当に素敵だわ!」
母は、目を輝かせながら、そう言いました。
「うん…。」
私は、少し照れくさそうに、頷きました。
すると、アレクサンダー兄さんも、私の様子を見に来ました。
「おお、ウィリー、なかなか似合っているじゃないか。」
兄は、少し驚いたような表情で、そう言いました。
「うん…。」
私は、また照れくさそうに、頷きました。
すると、父が部屋に入ってきて、私の姿を見て言いました。
「ウィリー、その禮服を着ている時は、もっと凛とした態度でいなさい。貴族としての風格を忘れるな。」
父は、少し厳しい口調で、そう言いました。
私は、父の言葉に、背筋を伸ばしました。
「はい、父上。」
私は、心を引き締め、そう答えました。
両親や兄姉に見守られながら、私は、首都へ行くための準備を着々と進めていきました。
出発の準備が進むにつれて、私の心は、期待と不安でいっぱいになりました。
初めて屋敷の外に出る。
初めて首都を訪れる。
初めて、たくさんの貴族たちと出会う。
未知の世界への不安と、新しい発見への期待が、私の胸の中で入り混じっていました。
「私は、この旅で、どんな経験をするのだろうか?」
私は、期待に胸を膨らませながら、眠りにつきました。
これから始まる物語を、
どうぞお楽しみください。
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