第三回 魔法の真実
しみね・タヨルです。第三回までご覧くださり、本当に感謝いたします。
知名度よりも、主人公と一緒に歩んでいくことが、私のエネルギーです。
第三回では、ウィリーが魔法の真実を知り、新たな決意を固める姿が描かれました。
魔法が使えないという現実に打ちのめされながらも、
前向きに未来を切り開こうとするウィリーの姿に、
心を打たれた方も多いのではないでしょうか?
第四回からは、ウィリーは新たなステージへと進みます。
待ち受ける試練、出会いと別れ、そして成長。
ウィリーがどのように困難を乗り越え、
異世界で自分らしい道を切り開いていくのか、
どうぞ見守っていてください。
第三回 魔法の真実
翌日の朝、ノアお姉さんが私の様子を見に来ました。
たぶん私の失望ぶりを心配して、わざわざ慰めに来てくれたのでしょう。
ノアは、私の手を優しく握りしめました。
「ウィリー、この世界には魔法でないとできないことがたくさんあるのよ。もしかしたら、ウィリーは知らないかもしれないけれど、台所の火を起こすのも、家の中を明るく照らすのも、みんな魔法の技術が使われているのよ。」
そう言って、ノアお姉さんは、指先から小さな火花を飛ばしてみせました。
「わぁ…」
私は、思わず息を呑みました。
「魔法使いは、火や水、風、土などの自然の力を操ることができるのよ。
例えば、火の魔法を使えば、火を起こしたり、物を燃やしたりすることができるわ。
水の魔法を使えば、水を操ったり、氷を作ったりすることができるわ。
風の魔法を使えば、風を起こしたり、空を飛んだりすることができるわ。
土の魔法を使えば、土を操ったり、植物を育てたりすることができるわ。」
ノアお姉さんは、そう言って、テーブルの上の花瓶に手を触れると、
枯れていた花がみるみるうちに生き生きと蘇っていくのを見せました。
「すごい…」
私は、魔法の力に改めて驚嘆しました。
「魔法使いは、これらの魔法を組み合わせて、様々なことができるのよ。
例えば、火の魔法と風の魔法を組み合わせれば、火の竜巻を起こすこともできるわ。」
ノアお姉さんは、楽しそうに魔法について説明してくれました。
「魔法使いは、冒険者や研究者、学校の先生など、
安定した職業に就くことができるの。
お父様やお母様ががっかりしていたのは、
ウィリーが悪いんじゃなくて、
ウィリーに安定した未来を与えられないかもしれないって思ったからよ。」
「それに、現代の戦争では、魔法使いは重要な役割を担っているのよ。
戦況を左右するほどの力を持っている魔法使いもいるのよ。」
ノアお姉さんの言葉に、私は、自分が置かれている状況の厳しさを改めて認識しました。
魔法が使えないということは、
この世界では、それだけ不利な立場に置かれるということなのです。
私は、不安と焦燥感に駆られました。
「でも、大丈夫よ、ウィリー。」
ノアお姉さんは、私の不安そうな表情に気づいたのか、優しく微笑みかけました。
「ウィリーには魔法の才能がないと判定されたのだから、
もうこの話題で悩むのはやめましょう。
私はただ、ウィリーに魔法でできることを知ってほしかっただけなの。
普段の教育では、魔法について詳しく説明してこなかったから、
その埋め合わせをしたいと思ったのよ。」
「この世界では、それぞれの国が異なる神様を信仰しているのよ。
私たちのクロウ連邦では、火の神様を信仰しているわ。
でも、教会は国家から独立した組織だから、
選別式では、信仰している神様は関係なく、
その子の資質と、得意な属性を判定して、
神様の印を与えるのよ。
私の場合は、火の神様の印を授かったから、
火魔法の適性が高いと判断されたの。
だから、伯爵家に気に入られて、
結婚することができたのよ。
これで、私たちの家の経済状況も少しは良くなるはずだわ。」
「魔法は、この世界に確かに存在する力なのよ。」
私は、姉の言葉を信じることができませんでした。
「でも…選別式では、僕は魔法の才能がないって…」
「選別式は、あくまで目安に過ぎないのよ。
それに、ウィリーには、魔法の適性がないなんて、本当に予想外だわ。」
姉は、そう言って微笑みました。
「それは…?」
「ウィリー、小さい頃は魔力制御がうまくできなくて、高熱を出したり、体が弱かったりしたでしょう? 3歳になってからは制御できるようになったけれど、その代わりに魔力の反応が消えてしまったの。このことについて、何か心当たりはある?」
「心当たりはあるけど、証拠はないわ。
たぶん、何十年も研究が必要になると思う。
でも、今はそんなことより、ウィリーが幸せになれる道を探しましょう。」
姉は、私の頭を優しく撫でました。
私は、姉の言葉に励まされ、
新たな決意を胸に秘めました。
その日の午後、私は、自室で一人、これからのことを考えました。
魔法が使えないということは、
この世界では、大きなハンデを背負うということです。
私は、貴族の末っ子として生まれましたが、
魔法が使えないとなると、
将来は、どうなるのでしょうか?
不安と焦燥感が、
私の心を締め付けます。
しかし、私は、諦めるわけにはいきません。
私は、必ず道を見つけ、
両親を安心させたい。
そして、
この世界で、
自分らしく生きていきたい。
私は、そう強く決意しました。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
第三回は、いかがでしたでしょうか?
魔法の真実を知ったウィリーが、
どのように自分の運命と向き合っていくのか、
今後の展開が気になる終わり方だったかと思います。
私自身、ウィリーの成長を楽しみながら、
物語を紡いでいきたいと思っています。
もしよろしければ、感想やご意見などをいただけると嬉しいです。
今後の執筆の励みになります。
引き続き、ウィリーの冒険にご期待ください!