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color²  作者: りくや
第一章 リアン第一支部入隊試験
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第一章(7) バイキング=クク2

その声が聞こえた方を見てみると、広い空間にある席で男が店長と思わしき人と揉めていた。


「おい!どういう事だ!俺たちはこの料理を食べ切っただろう!」

テーブルを見てみると、恐らく海鮮焼肉洋風鍋焼き中華パン揚げ和風カレー丼~お好きな麺を添えて~が入っていたであろう大皿やその他の料理皿もあった。

そして料理の大半を食べたと思われる、かなりふくよかで巨漢の男も座っていた。


「それになんだ!俺たちが入隊試験を受ける輩じゃないだと?言いがかりも大概にしろよ!」


言われてみれば確かにそうだ。政府軍に入りたいと思う人は数多くいる。

ただそれを見極める方法はどうするかだ。

嘘ならいくらでも言えるし、捏造も出来なくはないだろう。


「そのままの意味です。あなたがたは政府軍に入りたいなど微塵も思ってない。ただの悪党ということですよ」


店長らしき男性は、そうきっぱりと男に向けて言った。

男二人組を見てみる。正直見た目だけで判断するのも難しい。政府軍の人も色々な見た目の人がいるし、年齢も様々だ。

何か悪党だと思わせる根拠でもあるのか?それか経験とか、勘なんてことはないだろうし……。

すると怒鳴っていた男が皿を持ち、地面に向けて投げつけた。

パリンという大きな音が店内に響き渡る。

先ほどまで賑やかだった店内に緊張が走る。


「今ならまだ許してやる。俺たちは料理も時間以内に食べたし、明日の入隊試験も受ける。

だから無料でいいだろう、俺たちが何か間違ってるか?あぁ?」


大きな声と高圧的な態度で店長に向けて言った。

しかし店長は全くとして態度も変えず、ただ言葉を返す。


「何度でも言いますよ。あなたがたは政府軍に入りたいとは思ってない。ただの悪党です」


言葉を言った瞬間、また別の皿が壁に向かって投げられた。

わーといった悲鳴が聞こえてくる。

さすがにあそこまでいくと状況が変わる。ここには一般の人が数多くいるだろう。

それに政府軍が近くにあるとはいえど、通報してからは多少なり時間がかかる。

ひとまずは一般の人の事を最優先に考えて動こう。

そう思っていた時、店長は続けて言った。


「認めてください。あなた方は悪党です。そして、代金を払って直ちに店を出ていって下さい」


すると怒鳴っていた男は、一言発した。


「後悔するなよ」


もう一枚皿を握り、一般客の方を見る。そして一般客目掛けて皿を投げようとする。


まずい……。席を立ち男性の方に向かって走る。


そして、男は皿を投げ、キャーという叫びが響いた。




パシッという音と共に皿を手に持つ。


「そんなことしたらお客さんが怪我しちゃうでしょ。危ないからやめた方が良いよ」

男に向けて言う。


「なんだ、お前は。今、大人の大事な話してるんだよ!ガキは引っ込んでな!」


そうは言われてもさすがに引くことは出来ない。

誰か怪我でもしたら大変だし、ここは料理を食べるところだ。喧嘩するところではない。


「店長さんの言う通りにした方が良いと思いますよ。まだ代金を払って店を出るなら、ギリギリ許してくれると思いますし」


これで済めば一番良いんだけど…。どうかなと一応期待を寄せて男性の方を見る。


「払うわけねぇだろ!大体こっちは条件達成してんだよ!間違ってんのはそこの馬鹿な店長だろうが!分かったぞ、さてはてめぇらグルだな?代金無料にした方が良かったって後悔させてやるよ!」


やっぱりダメでした。まぁ、皿投げてるくらいの人だし、ここで引き下がってくれるわけはないか…


「おい、ミト!そこの店長ぶっ潰しとけ。俺は舐めたこのクソガキを痛い目に合わしてやるからよ」


すると座っていた巨漢のふくよかな男性がゆっくりと立ち上がる。

分かっただ、ハトと言い店長に目線を向ける。

しかし、店長は一歩も動かずに立っていた。


「おいおい店長さんよ!まさか足がすくんで動けないってか?」


そう言ってハトという名の男が笑う。

どうしようか本当に足がすくんでいるとしたら店長さんの安全が第一になる。

僕の安全は二の次でいい。


「こいつらを確実にぶっ潰すために同時に攻めるぞ!良いな、ミト!」


ミトは店長さんに向かって走り出し、ハトは皿を持ち投げる体制になった。


やばい、店長さんを守らないと。そう思った時だった……。



ドンという音と共にミトの動きが止まる。


「ハハハ!やっぱり思った通りだった!ハク、お前は強い奴だったぜ。俺の予想は合ってたってわけだ」


そこにはグランががっしりとミトの体を止めていた。

そしてそのまま席の方まで突き戻す。

うーん、それを言うタイミングが絶妙に悪いんだよなぁ…。

一般のお客さんも何言ってるんだ、とか思ってそうだし。

でも、助けてもらった事には変わりない。ありがとう助かったよと言う。


「良いってことよ。俺もこいつらの行いは許せないと思ってんだ。早いとこ、こいつらを取り押さえようぜ!」


もちろんと返す。実際、グランが助けてくれたおかげで店長さんの安全はひとまずは大丈夫そうだ。

これでハトに集中出来る。ミトの方はグランに任せよう。


「なんだこのデケェのは。お前もグルか?まぁ関係ねぇってこった。ミト!こんなやつお前の図体で潰せ!俺はガキをやる!」


よし、これで後は周りの人に被害が及ばないように戦うだけだ。一刻も早くこの人たちを取り押さえよう。

でもその前に店長さんに大事なこと言っておかないとな。


「店長さん、なるべくお店の被害が出ないように努力します。けど、僕たちに請求はしないでくださいね」


ふっと笑う店長。


「良いですよ。皿の弁償から料理の代金まで全てこの方々にお支払いしていただきますから」


良かった、これで言質も取れた。

これで戦いに集中できるってわけだ。

それじゃあこの人たちには、おとなしくなってもらいますか。




対面し合う二組がそれぞれ戦闘態勢になった――。


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