第一章(5) グランとの出会い
えっ、と思い後ろを振り返る。
そこには屈強な体系の男が立っていた。
「見たところここに住んでいる人でもなさそうだし、その格好から予測したんだが合ってるか?」
男はやたら自信ありといった表情でこちらを見ていた。
まぁ噓を言うのも悪いし、多分変な人ではないよね…。多分……。
急に入隊試験を受ける人だろとか言われたらさすがに警戒はする。
はい、そうですよと答えると男がガッツポーズをした。
えっ、何この人もしかして怖い人ですか。
見た目は確かに屈強だし、弱いか強いかでいったら間違いなく強いと思う。
もしかしたてカツアゲとかするタイプかな。でも普通は入隊試験を受ける人に対してはしないか…。
いや、逆にその方が成功するとか?いや分からん。
色々と考えていると、僕が悩んでいるのが感じ取ったのか話をしだした。
「いやぁ、急に悪いな。この先にある店がよ、政府入隊試験を受ける若者たちを応援しているとかでなんて良い店じゃねぇかと思っていたわけよ。そんで、そこの店の一番人気が
海鮮焼肉洋風鍋焼き中華パン揚げ和風カレー丼~お好きな麺を添えて~っていう料理があったんだよ」
いや何それ。海鮮焼肉洋風鍋焼き中華パン揚げ和風カレー丼~お好きな麺を添えて~って。皆さんの好きな物全部入れちゃいましたみたいな料理。
しかもお好きな麺を添えてってなんだよ。そこは添えるなよ。
添えるとしてもせめて野菜とかでしょう。でもデザートはないのかな。あれば良いな…。
「まぁ、その料理が30分以内に食べることが出来たら無料って書いてあったわけよ!
そんな全員が好きな食べ物まとめて出します!みたいな料理あったら食べるしかないだろう!」
一応食べたい事には食べたいんだ。
色々味が混ざって大変なことになってそうだけどなぁ…。
「ただ一つ問題があったわけだ。量が量だから二人組でしか参加できないって書いてあってよ。それで入隊試験を受けそうなやつを探してたところあんたを見つけたってわけだ」
なるほど、そんな経緯があったわけだ。
だとしても一つ疑問が残る。
なぜ、僕なのかだ。入隊試験を受けるのは見た目でまだ分かるかもしれない。
けどもう一つ見た目で判断出来ることがあるはずだ。
僕が大食いを出来る人に見えたのであろうか。それか他の人を見つけられなかったのか?
話しかけてきた感じでも会話が苦手とかではなさそうだしな…。
せっかくだし聞いてみることにした。なぜ、他の人ではなく僕なのかという事を
そう聞いたところ男は意外にもこう答えてきた。
「あんた『強い』だろう」
見た目だけでそんなこと分かるんですか?しかも後ろ姿だけで。占い師か何かかな。
続けて男は喋る。
「俺は自分で言うのもあれだが、自分のことを弱い人間ではないと思っている。
もちろん入隊試験で照明して見せるつもりだ。
そして、俺の予感というか相手に感じるものがあるんだ。こいつは強いという予感を。
それがあんただったってわけだ。どうだ、合ってるか?」
これまた占い的なことを言ってきたな。まぁ、お前強いだろうと言われたら嬉しくはある。
それに自分のことは弱いと思ってない。けど強いとは思っていない。まだまだ強くなれると思っているからだ。僕はまだ、強さにおける一つの通過点にしかいないと思っている。
でも、この人もこう言ってくれてるし、合わせておこうか。
君がそう言ってくれるならそうかもしれないと話すと嬉しそうに笑った。
「謙遜するなって。俺の予感は外れねぇからよ!そうだ名前言ってなかったな。
俺の名前はグラン。呼び捨てにしてくれていいぜ!お前とはもうダチだからよ!」
友達認定はや…。まぁそれはそれでいいか。楽しそうな人ではあるし。
「僕の名前はハク。これからよろしくねグラン!」
そう言って手を前に出す。力強く握手をした。
「良い名前だな!よっしゃ、自己紹介も済んだところだし、とりあえずはまぁハク!店に行こうぜ!」
何だかんだついていく流れになったな。でもこれも何かの縁かもしれない。
こうして僕は、そう言ってきたグランの後を付いていくことにした。