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color²  作者: りくや
第一章 リアン第一支部入隊試験
30/40

第一章(30) 入隊試験(18)

「控え室はあちらの扉にあります。心より応援していますので、頑張ってくださいね」


手を扉の方へと向けて説明をしてくれる。その後、深々とお辞儀をして不合格者たちを連れていった。

そのまま終わると思ったが、途中で男二人がハクに近づいてきた。

それは最初に戦った男たちだった。


「まさか宣言通り本当に一人で四人を倒しちまったな。見た目だけで判断するとよくねぇってこった」


笑いながらもハクを賞賛する格闘家の男。

続けて道着の男も話してきた。


「君の力には驚かされたよ。私もまだまだ鍛錬が足りないな。最終試験も頑張ってくれ」


自分の力不足を痛感した戦いだったのだろう。かなり悔しそうな顔をしている。

だが、気持ちを早々に切り替え、応援する言葉をかけてきた。


「正直連戦は大変でしたけどね。でも、ありがとうございます。皆さんの意志を力に変えて最終試験合格したいと思います」


「はっ、随分かっこいいこと言うじゃねぇか。その言葉信じるぜ。俺はまた再来年頑張ることにするよ。あんたもだろ?」


「そのつもりだよ。私はまだ強くなれることが分かった。次の試験までは鍛錬に励むつもりだ。お互い頑張ろうじゃないか」


「そうだな。次は正々堂々サシで勝負しようぜ」


お互いが今回の敗北を知ったことで高め合う存在に変わっていた。

その姿は一時的な協力関係である時とは違うものだった。

これが戦いを交えることで友情が芽生えるということなのだろう。


「そんじゃ俺たちは行くぜ。係員を待たせるわけにもいかねぇしな」


係員の方を見てみると、話が終わるまで待ってくれていた。

目が少し潤んでいる。恐らくこういう話に弱いのかもしれない。


「はい!また会えるといいですね。次は政府軍の仲間として」


それぞれと握手を交わし、男二人は別れを告げて係員の後ろに着いていった。

背中が見えなくなるくらいまで見送る。

その後、ハクは一人で反省会を始めた。


「かなり手強い人たちだったけど何とかはなった。正直危ない橋を渡った感は否めないけど。でも今回で手を組んでくる人たちもいるってことが分かったし、次もそうしてくる可能性がないわけじゃない。一応警戒しておこうか。それに……」


ハクが少し考える。

その表情は暗いようにも見えた。


「いやこんなことを考えるのはよそう。万が一そうなってもその時にどうすれば考えればいい」


自分の両手を見て軽く握った。

少しだけ目を閉じる。周りの音は相変わらず何も聞こえない。

まるで世界に自分一人しかいないみたいだと思う。

目で確認できる情報は黒く何も見えない。

ゆっくりと目を開ける。光が目に差し込み、明るい世界が映し出される。


「それじゃあ行こうかな。グランも待ってるはずだろうし」


ハクは最後の控え室に続く扉へと向かった。



「よっ」


扉を開けると控え室にいる全員の視線がハクに向けられる。

その中にはあの3人とグランの姿もあった。


「来たな!ハク!ずいぶん遅かったじゃねぇか!」


グランが大声で名前を呼びながら走ってくる。


「遅かったってことはもしかして……」


「おう、ハクが最後だったぜ。この場にはもう30人揃ってる」


思っていたより遅くなってしまったようらしい。

他の試験者たちは同じ状況に陥らなかったか、なったとしても対応できる力を持っていたか。

正解は知る由もないが、この場所にいる全員は間違いなく強いことだけは分かる。

ハクとグランが話を始めると、他の試験者たちは自分のことに集中をし始めた。


「なんかあったのか?」


グランが少し心配そうに問いかける。


「ちょっと色々あってね。でも特に怪我もないし大丈夫。心配かけたならごめんね」


「それならいいんだがよ。それにそこまでは心配してないぜ。試験が始まった時からハクなら大丈夫だと思ってたからよ!」


笑いながら話すグランを見て自然に笑顔になった。

いつも場を明るくしてくれる。これがグランらしさなのかもしれない。


「そうだハク。ここにはもう30人しかいねぇ。つまりは全員の顔を見ることができるだろ?一通り見たんだが、あの三人より強そうなやつは俺には分からなかった。ハクはどう思う?」


グランに言われて周りを見てみる。

確かに今の人数なら全員のことを確認するのは容易だろう。

左からゆっくりと全体を見ていく。

見た限りだと、自分たちと同じく知り合いがいる境遇の者はいないようだ。

誰も他の人と喋ってはいない。


「んー」


次は顔と体、武器の有無などを確認してみる。


「あっ……」


ハクはある一人の女の子に目を止めた。

椅子に座ってドリンクを飲みながら休憩をしている。

容姿は目が隠れるくらいの前髪の長さで髪は橙色。

服装は和風の上着を着ていて、ショートパンツを履いている。

武器は何も持っていない。つまり格闘スタイルで戦う可能性が高い。


「あの子少し気になるかも……」


ハクが気になる人となってはグランも黙ってはいられない。

興味津々の顔つきで誰なのか聞いてきた。


「おっ、いたのか!ハクの気になるやつってどいつだ?」


「あそこに座ってる女の子だよ」


ハクが目線を向けている方にグランも視線を動かした。

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