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color²  作者: りくや
第一章 リアン第一支部入隊試験
25/40

第一章(25) 入隊試験(13)

ハクは攻撃が顔に当たる瞬間、体勢を低くし攻撃を回避した。

顔に命中するはずだった拳はそのままの勢いで進んだ。

ズドンという大きな音が響く。

お互いの渾身の一撃が当たっていた。


「ぐっっっっ……!」


男二人が手を抑えながら地面に倒れ込む。


「良かった。攻撃も避けれたし、結果も予想通り」


その発言に男二人が耳を疑う。


「予想通り?一体どういうことだ。それに諦めたのではなかったのか」


「僕は降参とは言ってないですよ」


ハクが説明を始めた。


「この試験において不合格になる規定は戦闘不能になるか、降参を宣言するかのどちらかです。相手に勝てないと思ったなら降参を宣言すればいい。けど、僕はしていない」


「それはそうだが……」


その間も痛みに耐えながら説明を聞く二人。


「まず、あなたたちは僕のいる位置によって戦うか戦わないかを決めていた。

どちらかが近ければ戦い、遠ければ戦わない。

それなら両方が戦う状態にすれば手っ取り早い。

まずは、お互いの距離が大体中間くらいの位置で待つ。

そうすればどっちが攻撃するか迷うはずです。

けど直ぐには攻撃をできない。

最初に攻撃するのはどっちかなんて決めてないですよね。

仲間であればそういった状況まで考えたかもしれません。

けど今回はあくまで一時的な協力。単純な近い遠いでしか攻撃するのを決めていなかったはずです。

だから、二人同時に攻撃を始めた」


「じゃあ、諦めたような素振りを見せた理由はなんだ」


ハクはその質問を受けて申し訳なさそうな表情をしながら説明を続ける。


「それについてはちょっと紛らわしかったかもしれません。

僕が目を閉じたりしたのは攻撃の回避に集中するためです。

雑念を消して相手の攻撃に集中する。

それに、相手に一撃を当てるとしたら恐らく顔だと思います。

確実に倒すなら顔が一番有効的だと思いますし。

そして、お互い顔を狙う状況を逆に利用したんです。

攻撃を避ければそのまま拳がぶつかる可能性が高い」


「そこまで考えて私たちがこうなることを予想していたのか……」


ハクの説明に感心をする。


「正直攻撃を避けれるかは賭けでしたけどね」


「だが君は攻撃を避けた。私たちが君の力を見誤っていたということだ」


「ちなみに顔を狙わなかったらどうしてたんだ?俺たちは蹴りも使うぜ?」


もう一人の男が気になっていたことを質問した。


「その可能性も考えました。けど、今までの攻撃は基本的に上半身を狙う攻撃ばかりでした。

そんな人たちが渾身の一撃を与えるとき、急に攻撃の場所を変えるとは思いません。

蹴りについては味方に合わすなら拳の方が最適かなって思っただけです。

もし予想が違ってたらそれはそれで戦うつもりでしたけど」


完全に行動が読まれていたことを知り、愕然とする


「はっ、そうかよ。してやられたわけだな。一本取られちまった」


「一人でも勝てるかもしれないってことを見せれて良かったです。ちなみに結構怪我痛そうですけどまだやれますか?」


一応確認をしてみる。もしかしたら降参してくれるかもしれない。

だが答えはおそらく。


「問題はねぇ。これくらいの怪我ならまだまだやれるさ。まぁ、くそ痛ぇけどな」


やはり予想通りだった。怪我したとはいえまだ片方の手は使える。

まだまだ諦めるわけがない。


「あんたもまだやれるだろ?」


仲間に確認をする。


「そうだな。私もまだ……」


その時だった。

ハクの前方から何かが向かってきていた。

横から伸びてきてかなりしなっており、放物線に近い形になっている。

それは鞭のようにも見えていた。


「わっ!」


咄嗟に回避行動をする。

そしてバチンと大きな音が響いた。


「ぐはっ……!」


先ほどまで話していた男二人の体は宙へと舞っており、そのまま場外へと飛んでいく。


「お話の最中に申し訳ないけど、敗者にはとっとと退場してもらうわ」


声の聞こえた方を見ると、戦いを見ていた女二人の姿があった。

完全に決着がつくまでは攻撃をしてこないかと思ったが違ったようだ。


「酷いことしますね」


ハクが二人に向かって言う。

声もかけずに真正面からの強打。

しかも話をしていて油断している時にだ。

僕は攻撃の方を見ていため避けることが可能だった。

しかし、二人は僕の方を見ていたため攻撃を避けることが不可能な状況だった。

わざと僕だけが避けれるような攻撃をしたのだろう。

なかなかに恐ろしい人たちである。


「酷いこと?子供にはそう思うのね。だけど今のは優しくしてあげた方。

だって『一回』で終わらせてあげたんだから」


『一回』その意味は手に持っている武器を見て察しがついた。

今話した背の高い女性は鎖を手に持っている。

本来は何回も体に当てたり、縛ったりして攻撃をしているんだろう。


「そうね。こっちだって楽しみは残しておきたかったけど、たった一人の坊やに負けちゃうんだもの。そんな弱い男たちに時間を使っている場合じゃないわ」


もう一人のヒールを履いている女性が続けて話す。

手には鞭が握られている。

恐らくこちらもお互いの戦い方としては似ているのだろう。

それぞれの武器を見て考える。

鞭は鎖より威力は劣るが、使い勝手は圧倒的に高い。

一方鎖は威力が圧倒的に高いみたいだ。さっきの二人をまとめて場外に飛ばしているし。

けど威力もある分重いため、使い勝手は悪いように見える。


「最初は一人で勝つとか言って正直嘘だと思ってた。そんなことできるはずがないってね。だけど私たちの勘違いだったみたい」


「そう、坊やはちゃんと強かった。けど良かったわ。強いっていうのは私たちの大好物」


ハクの全身を舐めるように見ながら話しかけてくる。


「そんな子を『可愛がってあげる』のがたまらないんだから!」


ハクが少し距離を取る。

あの可愛がるは本来の意味と違う。子供を可愛がったり、動物を可愛がったり。

そんな意味じゃない。あの人たちはやっぱりやばそうだ。


「あらあら、そんなに怯えなくても大丈夫よ。まだ戦いは始まってない。

一緒に楽しみましょうね坊や」


「できれば遠慮したいんですけど……」


とは言ったものの、そうも言っていられない。

今は試験中だ。あの人たちと戦って勝たないといけない。

かといってあの人たちに可愛がられたくもない。

それにどんな攻撃をしてくるかまだあまり分かっていない。

簡単にはいかないだろうけど、また様子を見ながら戦っていこう。

正直危険な匂いしかしないし、早く終わらせたくはあるけど。


「それは残念。でも子供だからって特別にするわけにもいかないのよ。次は私たちがお相手するわ」


「坊や!ちゃんと私たちの遊び相手になってね。つまらなかったらお仕置きよ」


二回戦第二ラウンドが始まった――。

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