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color²  作者: りくや
第一章 リアン第一支部入隊試験
23/40

第一章(23) 入隊試験(11)

「おいおい正気かよお前!」


「その判断は正しくないと思うが……」


「あら威勢のいい坊やなことね」


「後悔するだけに決まってると思うわ」


四人がハクの発言に耳を疑う。

全員信じられないといった様子だ。


「意見を変えるつもりはないと?」


道着の男が確認してくる。


「もちろんですよ。この状況で嘘なんてつきません」


意見が変わらない様子を見て相手も諦めがついたようだ。

男性二人組が話を始めた。


「仕方ねぇ、子供一人を痛みつけるのも少し嫌だが、今回はあくまで試験。

仕方ねぇもんだろう。ちなみにだが、俺たちから戦うか?」


「一度あの女性たちにも聞いてたらどうだね。あちらから攻撃を始めたいかもしれない」


「おい、あんたら!どっちが最初に戦うんだ?」


女性二人組に問いかける。

ハクはその質問に対して考えていた。


「さっきの質問に一緒に戦うかっていう発言はなかった。

あっちからすると一番手っ取り早いのは四対一を作る状況。

けどそうすることはできないと思う。

恐らくだけど手を組むのは一人だけなんじゃないかな。

見た限り、手を組んでいるペアは戦闘スタイルが似ている。

共闘したことがなくても、ある程度は攻撃に合わせることができると思う。

攻撃の仕方が多少でも似てたら、動きの動作と分かったりするものだし。

そこに新しいペアが入ってきても合わすことが難しくなる。

見たこともない動きに自分の動きが合うはずないだろうから。

元々仲間で、ある程度攻撃を見たことあるとかなら別かもだけど。

それに入ってきたペアに裏切られたりしても大変だろうし」


女性二人が少し話した後に回答をする。


「あなたたちにお譲りするわ。楽しみなことは残しておきたい主義なの」


ハクの考えは的中した。

四人で一緒に戦うことは今の発言でなくなった。


「そうかい。レディファーストと思ったが、そうもいかないようだ。

だが、その発言は建前だろう。私たちが少しでも疲労したところを狙うという作戦かな」


「まぁ、口がお達者なこと。私たちは美味しいものを最後に食べる。その事実は変わらないわ」


そう言いながらオホホホと笑う女性たち。

そんなやり取りを何とも言えない目で見ているハクだった。


「とのことだ少年!まずは私たちが相手になろう。いや、私たちで終わりにしてあげよう」


その発言の後、隣の男も喋る。


「俺たちの拳からはそう簡単に逃げられないと思うぜ。覚悟しな!」


俺達にはそう簡単に勝てないぜという感じだ。

かといってこちらも簡単に負けるわけにもいかない。

この不利な状況でも勝つことができないと、『約束』を果たすなんて夢のまた夢だ。

その約束を果たすために今まで力を付けてきたんだ。こんなところで負けたらなんて言えばいい。

それにグランにも申し訳ない。また会おうぜって『約束』したんだ。

友達との約束を破るわけにもいかない。友達を悲しませるなんて御免だ。


「僕のことを『待っている』人がいるんだ。だからここで負けるわけにはいかない」


真っすぐな目で男性二人組を見る。

その目を見たことで、この少年は全力で戦わないといけない。

そうしないと無礼になると察する二人。

少年は降参することなど全くない。負けるつもりなど一切ないのだろう。

そんな目をしている。年下のしかも少年がしているのだ。

恥をかかすわけにもいかない。その覚悟を受け止める必要がある。

すなわち全力で戦うまでだ。



「行くぞ!」


男二人がハクに向かって距離を詰める。

その後、左右に分かれてハクを挟む形になった。

これでどちらからも攻撃が可能な状況へと変わる。

それぞれが戦闘の構えをとった。


「最初に攻撃してくるのはどっちだ?同時攻撃の可能性もあるか」


少しだけ様子を見ていると、まず道着を着ている男が攻撃を仕掛けてきた。


「でやあああああ!」


走りながら拳に勢いをつけて攻撃をする。


じょう!」


顔を目掛けて的確に拳を突いてくる。

だが、その攻撃を躱すハク。


「あの攻撃食らったら痛いだろうなぁ……。

一発がかなり重い打撃になってる。

まだ一発ずつだから避けれるけど、連続で攻撃してきたらまずいかも」


その後も強い攻撃を続けてきた。


ちゅう!アゴ!回し!」


段々と連続攻撃に近い形になってくる。

剣を抜き攻撃に備える。


「武器など関係ない!でやああ!」


手の構えを変えて別の攻撃を仕掛けてきた。


「顔面!」


その攻撃を剣で防ごうとする。


「手刀の類か!」


剣で防ぐことはできた。だがその一撃は想像以上の威力だった。


「くっ!」


体が後ろに下がっていく。

その光景を見て道着の男が説明を始める。


「手刀かと思って油断をしたのだろう。だが私の攻撃は全て同じ威力で繰り出せる。

技によって明確な弱点があっては相手に見抜かれてしまうからな。

この領域になったのも鍛錬あっての賜物だ」


確かに手刀だと思って油断した。

剣に手刀で立ち向かうことができるのかと。

しかしその考えは甘かった。


「そして忘れていないか。私一人だけではないということを」


ハクの体が後ろに下がったことで、もう一人の男の方に近づいていく。


「次はこっちの番だぜ!」


待ち構えていた男が攻撃を仕掛ける。


「ストレート!」


真っすぐ打ち抜かれた拳がハクに向かってくる。


「やばっ……」


拳が命中するかと思われた。が、寸前で上に飛ぶことで回避した。


「ふー」


追撃がなかったこともあり、一息つくハク。


「おーよく躱したな。今のでくたばっちまっても困るからな。

さすがに一人で勝つって言ってるだけはあるみたいだな」


攻撃を躱したことを褒める格闘家の男。


「ありがとうございます」


素直にお礼を言うハク。

しかしそんなことを言っている場合でもなかった。

相手の連携は思っていたより上手く嚙み合っている。状況も変わらず不利なままである。


二回戦第一ラウンドは始まったばかりだ――。


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