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color²  作者: りくや
第一章 リアン第一支部入隊試験
22/40

第一章(22) 入隊試験(10)

グランと一緒に奥の部屋へ歩いていくと、今までと同じく係員たちが待っていた。

それぞれの番号と武器の確認をする。

準備が終わり別々の場所へと案内されることになった。


「ハク!今回も大丈夫だとは思うが負けるんじゃねぇぞ!最後の試験で会おうぜ!」


「もちろん!グランも負けたりなんかしないでね!」


当たり前だと言わんばかりに力強く拳を上げながら歩いていくグラン。

その様子を見送りながら係員の後ろを付いていき、自分も舞台へと向かった。

舞台へ向かっていく途中であることに気づいた。

前を歩いている四人のうちの二人が、別の二人にそれぞれ近寄っている。

一応知り合いかもしれないし、多少は気にしつつもそのまま歩みを進めた。

その後、特に何かあったわけでもなく舞台に着いた。さっきのは考え過ぎだったかもしれない。


舞台に着いた後、周りを確認する。

先ほどと全く変わらない光景。空気の流れや温度までも一緒だ。

本来同じものが作られたとしても多少の違いはあるはずだ。

どんなに似せようが基本的に同じものは作れない。

温度等が全く同じことも違和感を感じる。ここに存在しているようでしていない。やはり例えるならそんな感じだ。

さっきの考えは間違っていないかもしれない。とはいえ、ずっとこのことを考えるわけにもいかない。今から始まる戦いに集中しよう。

試験者たちがそれぞれの位置に向かう。


「皆さんの準備が整ったようですので、これより試験を開始します」


係員が、全員の配置が完了したことを確認して宣言する。

全員が戦闘態勢に入った。


「始めてください!」


開始の合図と共に全員が攻撃をして戦闘が起こった!

というわけでもなく誰も攻撃を始めなかった。

しかし、ハク以外の四人は動き始めていた。

それは戦うための動きというわけではなく、それぞれが近付いているという表現が正しいかもしれない。

攻撃が届く距離まで近づいたが、何か話をしている。

しばらくすると二組のペアができていた。

そのペア同士は戦おうとせずにこちらの方を見る。


「ここに向かう途中に近寄っていたのはやっぱり気のせいじゃなかったのかも。もしかして協力関係にあるとかかな」


そう思った時、一組のペアが話しかけてきた。


「少年よ、すまないが私たちは君から倒さないといけないことになった」


道着を着ている男が喋りだす。その横には格闘家のような見た目をしている男もいた。


「僕から倒さないといけないというのはどういうことですか?」


その発言に対して当然抱く疑問だ。集団戦とはいえ、この人から倒さないといけないなんてルールはない。

すると隣の男が喋りだした。


「俺は誰かと手を組むことでさっきの試験も勝ち上がってきた。その方が勝ち上がれる可能性は高くなるからな」


「というと?」


まだ作戦の全貌が見えてこないので質問を続ける。


「つまりは集団戦においてこっちが有利な状況を作る。簡単に言えば二対一対一対一の戦いになるわけだ。そうすれば確実に勝算が上がる。他の三人を不合格にさせた後は手を組んだやつと戦い、勝者を決める。その勝負は単純な強さで勝敗が決まるわけだから恨みっこなしってわけだ。それに手を組んだらダメなんて規定もない。そうだったよな、係員さんよ」


質問をされたことで係員が答える。


「はい、試験では相手を戦闘不能にするか、降参を宣言させたら勝利。

また、相手を死に至らしめた場合は失格という規定があります。

余程の反則、危険行為が確認された場合は別ですが、それ以外の禁止事項は特にありません」


なるほど。規定も守ってるし、確かにその方が勝つ可能性は上がるとは思う。

けど、最初からそんなことをしてそれは本当の勝ちと言えるのだろうか。

今回はあくまで試験。それぞれの力を測るためのものだ。

戦闘の状況によって休戦をし、一時的な協力関係を結ぶのは良いと思う。

誰か一人がこちらにとって不利な状況にしてくる戦い方かもしれないし。

ただ、正々堂々勝ち進んできた人たちはどうなる。そんな勝利、合格は嬉しくないはずだ。

しかし、この考えを遮るかのように男が話してくる。


「だが、この作戦を考えたのは俺たちだけじゃなかったってことだ」


もう一組のペアの方に視線が向けられる。


「私たちの名案かと思ったけどそんなことはなかったようね」


ヒールを履いた女性が喋り始めた。


「戦いは勝算があってこそするもの。相手が数に圧倒されて何もできない姿、もう戦えないだとか降参しましただとか負けを認めるあの言葉……。そんな姿最高じゃない!」


その言葉に続けて、隣にいる背の高い女性も喋りだした。


「そうさ。相手が泣いたり叫んだりする姿も最高よ。あーっもう!早く痛み……じゃなかった。遊んであげたいもの!」


そう言いながら笑い始める女性二人。

その姿を見てハクは思った。

この人たちなかなかに危険な感じがすると。

ハクの本能が告げていた。

良くも悪くも似た者同士が惹かれ合って今回のペアを作り出したのかもしれない。


「まぁそんなわけでペアが二つ出来たわけだ。ってことは狙う相手が決まるだろう。

一人だけのお前さんってわけだ」


目線がこちらに向けられる。

確かにこれで僕が狙われる理由も分かった。


「そういうことよ坊や。大丈夫よ、ちゃんと『可愛がって』あげるから」


残念ながらそういう趣味は一切ないし、とても遠慮したい。

かといってもどうしたものか。

間違いなく苦戦は強いられる。簡単にこの状況を打破することはできないだろう。

そんなことを考えていると、この戦いを穏便に済ますため一つの提案が挙げられた。


「できることならお前さんを痛めつけたくはない。今のうちに降参しておいた方が身のためだと思うがどうだい?」


誰が見ても圧倒的不利な状況。理にかなった提案である。

大半の人がこのまま降参したとしても誰も責めることはないだろう。

仕方ないと慰められ、また次回頑張ろうと言われる。

今回諦めたとしても、まだ政府軍の一員になれるチャンスはあるのだから。

提案を聞いた後も動かないハクを見て、二組は降参すると予想をしていた。

しかしその予想は外れることになる。


「申し訳ないですけど、その提案はお断りします」


予想していなかった発言に驚く二組。

ハクの表情は絶望、諦めたものでもなく、この状況を楽しむような表情をしている。


「僕一人であなたたちに勝ちます」


ハクは降参することなく戦う気でいた。


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