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color²  作者: りくや
第一章 リアン第一支部入隊試験
19/40

第一章(19) 入隊試験(7)

「でもどうしたものかなぁ……」


こちらから攻撃を仕掛けたとしても、近寄ってくるのをチャクラムで防いでくるだろう。

そしてそのまま多数のチャクラムで反撃をしてくる。

かといって何もしないのも状況は変わらないままだと思う。

結局は一度様子を見ながら考えるしかなさそうだ。

ひとまずはこちちから攻撃を仕掛けてみることにした。


「こっちから行くよ!」


ハクがチャクラム男に向かって走り出す。

その行動を見て、男はチャクラムを指で回し始めた。


「ただ場外に落とすのも美しくない。じっくり痛みつけてから落とすか……」


ハクに向かってチャクラムを一つ投げてきた。


「相手も様子見かな?」


そう思いつつ、攻撃を軽く捌く。

剣に命中したチャクラムは、キンという音を立てて手元に戻っていった。

戻ったと同時に二つのチャクラムを投げてくる。


「ちなみに躱したらどうなるんだろう?」


向かってくる二つのチャクラムを避ける。

そのまま後ろに飛んでいくと思っていたが、大きく円を描いて二つとも手元に戻っていった。

ハクは相手の攻撃を一通り見た後、戻っていくチャクラムを見て一つの考えが浮かんだ。

先ほどの光景を見て当たり前と思っていたが、そういうわけでもないことに気づく。

普通チャクラムは自分の元に戻ってくることはない。

チャクラムにかなりの回転をかけて投げることで、自分の元に戻ってくるようにしているのだろう。

相手の武器や体に命中しようがしまいが変わらない。

しかも戻ってくるチャクラムを指で受け止めてからそのまま連続で攻撃をしてくる。

少し変わった人だが、かなりの強者であることは間違いない。

このまま相手の行動を見て解決策を考えることにした。


「お前が俺の攻撃を最低限対処できることは分かった。

だがまだまだ始まったばかりだぜ?今度はどうかな!」


服からチャクラムを取り出し、数が四つへと増える。

そのまま五つ、六つ、七つと数が増えていき、10個へと到達した。

だが、その攻撃は未だハクに命中せずにいた。


「くそっ、このガキ思ったよりやりやがる。だが、こっちが圧倒的に優勢な状況だ。

このまま攻撃し続ければあのガキもくたばるだろう」


男は焦りを少し感じるもまだあの技が残っているため、これ以上攻撃を防ぐのは不可能だと考えていた。

しかし、ハクもまたこの状況を変える一手に悩んでいた。

相手に近づけば近づくほど距離が近くなるため、攻撃を対処しにくくなる。

かといって近づかないと状況は変わらない一方だ。


「チャクラムの攻撃に何か弱点みたいなものはないかな……。回転の軌道とか見てみようか」


攻撃を捌きながらチャクラムの弾道を見る。

その時だった、地面に落ちている武器があることに気づいた。


「あれってさっきお兄さんが使ってた釵かな。あっ、もしかしたらできるかも」


相手の攻撃を躱した後、ハクが少しづつ後ろに下がる。


「攻撃を捌くのは得意なようだが、攻撃は苦手なようだな!俺はまだ一度も攻撃されてないぜ!」


後ろに下がっていく様子を見て煽る男。

攻撃をされない状況に勝ちを確信している様子だ。


「そんなことないよ。一つ名案が思い付いてさ」


「あぁん?」


自信ありげな表情に苛立ちをあらわにする。


「名案が思い付いただど?そんなことハッタリに決まってる!」


「そう思うなら攻撃してみてよ」


ハクはいつでもどうぞといった様子で相手の攻撃を待ち構える。


「舐めやがって!その余裕も今すぐに消してやる!」


服に忍ばせているチャクラムを取り出し、人差し指と小指に引っかけて回しだした。


「あの技か……」


相手の様子を見て構える。


「そのまま場外に落ちて、何もできなかったことを悔やむんだな!

くらえ!『狂輪の舞踏会クレイジーループダンス』!!!』


無数のチャクラムがハクへと襲い掛かる。

男はそのまま攻撃が当たり、自分の元へと返ってくるチャクラムを持ってガキが場外へと落ちていく光景を見る、はずだった……。


「よっ!」


しかし、目の前の光景は思い描いていた光景ではなかった。

投げたチャクラムは自分の手にあるわけでもなく、全て剣身に引っかかっていたのである。


「投げられたチャクラムは躱しても弾いても元の場所に戻っていく。

つまりはそうしないようにすればいい。単純なことでしょ?」


「何言ってやがる……」


チャクラムを引っかければいいと思う人もいるだろうが、思ったとしてそんなことをできる人もそういない。

かなりの集中力と軌道の予想が必要になってくる。

だがそれをガキと罵っていた目の前の少年はやり遂げたのだ。


「さっき後ろに下がったのも大体の軌道を確認するためで、距離をとればとるほど見やすくなるしさ」


さらに説明をしてくる状況に呆然とするほかなかった。


「チャクラムを貰ったのはいいけどあなたのものだし返すね。いくよー」


そう言って剣身に引っかけたチャクラムを順番に剣で回しながら男の方へと飛ばす。

男は戻ってくるチャクラムをキャッチしようとしたが大きく軌道を外れた。

ハクはその様子を見て走りながら喋る。


「あなたの今までの傾向からチャクラムは自分の元に戻ってくるって考えているはず。

ならそれを逆に利用すればいい。戻ってこないチャクラムをおとりに使う。

そうすれば自然とチャクラムに集中して、目の前の状況を判断しにくくなる」


気づいた時には男の目の前にハクが迫っていた。


「さっきのお兄さんから教わったことだよ」


柄の部分で男の体に攻撃をする。

グハッという声と共に飛んでいき、場外へと落ちていった。


「そこまで!」


男が場外へと落ちたことを確認され試験が終了した。


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