第一章(16) 入隊試験(4)
ステージの上に着くと中央まで歩いていき、試験者の方を向いた。
一瞬目が合う。しかし、すぐに目を離して試験者を見回す。
確認が取れたのかブルさんが話を始めた。
「最初の試験はこれで終了とする。
想定していた時間よりも早い結果となったようだ。
今回の試験者は優秀な者が多いとみられる。こちらとしても嬉しく思う」
確かに時間に関しては、想像していたよりもかなり早い。
試験が始まってから一時間もたたないうちに最初の試験が終わっている。
グランやさっきの三人以外にも強者がいるかもしれない。
「では、次の試験の説明を始めたいと思う。心して聞いてくれたまえ。
次の試験と言っても詳しい説明をするのはこれが最後となる」
最後と言われて周りの試験者たちが反応を示す。
これが最後ということは、全員とでも戦うのだろうか。
または、同じ試験を繰り返すどちらかだろうと考える。
「これから行われる試験は、先ほどと同じく戦いで合否を決めることは同じだ。
一つ違う点を挙げるなら、それは人数が変わる。
今回は五人で戦う集団戦を行ってもらう。基本的なルールも先ほどの試験と変わらない。
戦闘不能にするか降参を宣言させたら勝ち。殺しは絶対に禁止だ。
もう一つそこに追加されるルールがある。それは場外に出しても勝ちというものだ。
舞台の上で五人には戦ってもらうが、舞台下に落ちた時点で失格となる。
実力行使で落としてもいいし、自ら落とすように仕向けても問題ない。
その他のルールは特に規定は無いので、思う存分自由に戦ってくれたまえ」
人数を増やすことで、集団戦になっても戦える能力を判断するということだろう。
タイマンなら勝てる者でも、集団戦となるとどう対処すればいいか分からない者もいる。
力を測るにはうってつけの試験内容だ
「そしてもう一つ。今後の試験は最後までこの内容で進める。
現在750名の試験者が残っているが、一度勝者たちを決めることで150人。
もう一度戦うことで30人まで減少する。
合格者の詳しい人数については既に決めてある。30人まで勝ち進んだ者にその人数を説明する予定だ」
つまり五人の集団戦を三回戦行い、合格者を決めるということだろう。
一旦目指すべきは、詳しい合格者の人数を知れる二回戦突破ってわけだ。
かなり人数を絞ってきているので、そこまで決められている合格者の人数は多くなさそうだ。
「それでは皆、装置を確認してくれ。再びランダムで数字を選出し、対戦相手を決定している」
装置の方を見ると数字が五つ浮かび上がってきた。
333、515、986、1011、1402の数字が並んでいる。
この人たちが次の対戦相手。
少なくともグランの数字はここには無いので、戦う心配はなさそうだ。
たださっきの三人がこの数字の中にいる可能性はある。
あの三人の見た目は分かったが、数字が分かっているわけではない。
集団戦になるということは、それだけ戦う可能性が上がるということでもある。
「モニターに数字が映し出されるので、呼ばれた者は奥の部屋へと向かってほしい。
最後まで勝ち進むことを祈っている」
そう言ってステージから降りていくブルさん。部屋から出たと同時に数字がモニターに映し出された。
そこには831の数字も記載してあり、続けて番号が呼ばれ始めた。
「おっと、早速俺の出番ってわけか。今度は俺の方が先だったみてぇだな」
話してきたグランの表情からは緊張なんてものはなく、早く戦いたいという気持ちが汲み取れる。
「そうだね。グランなら心配ないと思うけど全力で頑張ってきてね!」
「おうよ!ハクもこんなところでくたばるんじゃねぇぞ?
先に待ってるから早く次の控室で会おうぜ!」
じゃあなと言って次の試験へと向かったグラン。
その背中が見えなくなるまでグランを見送る。
「番号を呼ばれるまで少し時間があるだろうし、試験者の情報収集でもしようかな」
周りの試験者たちを確認するハク。
あまり見慣れないような武器や変わった服装をしている人もいる。
相変わらずストレッチや集中している人が多い。武器の手入れをしている人もいる。
全員が次の試験に備えて万全の準備をしているのは間違いないだろう。
ある程度の確認が済むと先ほどの三人の方へと目を向ける。
まだ番号は呼ばれていないみたいだ。
そう思った時、32の番号が呼ばれた。
青い髪色の人が奥の部屋へと向かっていく。
「あの人が32番か……。一応覚えておこう」
部屋へと向かう姿を見てハクは思った。
「あの人を見ていると何だろうこの感じ」
言葉では表せないものを感じ取る。
「少しだけど『同じ何か』を感じる」
ハクはそのまま考え始めた。




