第一章(13) 入隊試験(1)
後書きを追加しました。(2024/9/24)
呼び出された試験者が部屋に向かって歩いていく。
今歩いている人たちの、誰かと戦うことになるのだろか。
周りの試験者を見る。全員の表情は固く、歩く歩幅も少し小さい。
そのまま部屋の奥まで行くと、係員が何人もいた。
数字の確認をされ、装置を触られると反応をした。
人物の承認がされたということだろうか。
持ち物を全て渡して下さいと言われ、係員に預ける。
すると直ぐに、模造の武器が手渡された。
見た目は模造とは思えないほどのクオリティ。
感触を確かめ、軽く剣を振るう。従来の武器よりは少し軽い。
とはいえ、戦闘に支障が出るほどのものでもない。
元の武器とそれほど大差はないようだ
強いて言うなら剣の……。
だが、そのくらいの問題なら特に大丈夫だろう。
ある程度触った後、剣を背中へと背負う。
準備が済んだことで、戦う場所へと案内される。
周りにいる試験者の数が減っていく。
試験者たちは、指定の扉の前に係員と共に立っている。
あの扉の先が戦う場所のようだ。
しかし、その扉はとても戦う場所とは思えないような見た目だった。
そういうデザインなのかと思いつつ、係員の後ろをついていく。
そのまま歩くと別の扉の前へと着いた。
試験者の姿は見当たらない。
まだ来ていないか、既に待っているのかのどちらかだろう。
お入りくださいと言われ、扉を開ける。
前には、一人の男性が待ち構えていた。
周囲を軽く確認する。部屋であることは間違いない。
しかし、何か違和感を感じる。
部屋は確かに存在する。だが、別の『空間』のように感じる。
体への影響はない。気のせいかと不思議に思いつつ、男性の方へと向かう。
騎士風の服装をしており、腰には剣を装備している。
姿だけで判断はできないが、王国地帯出身の人なのだろう。
周辺であの服装をしている人は、その場所しかいない。
規定の場所に行き、係員も位置に着いた。
『初めまして、ボーイ!ミーは由緒正しき血族のジェントルマンである。
これまで!数多くの先輩ジェントルマンにご指導を受けてきた。
その指導は全て!今日のために行われてきたことだ。
そして!我が国の未来のためにミーは試験を合格しないといけないやけだ!
つまり!それは何を意味するか分かるかね?そう!ユーを倒さなくちゃあいけない。
ユー!には申し訳ないが、覚悟してもらおう』
決めゼリフのようにハクへと話す自称ジェントルマン。
自分のことをジェントルマンと言ったり、ボーイとかミーやらユーだの言って変わった人だな。
最初に言葉を強調するのも分からない。
しかもあの人、まだ大人では無いと思う。
あなたもまだボーイではないのだろうか。
変に調子が狂うハク。彼の流れに飲まれてはいけない。
負けるなハク!とグランに言われそうな勢いだ。
こんなことでわざわざ応援してもらうのも申し訳ない。
『えーっと……ジェントルマンさんでしたよね。
こちらこそ初めまして。ボーイと言います。
僕もあなたのように負けられない理由があります。
だから、全力であなたを倒します。覚悟してくださいね』
ハクは意外とノリが良かった。
同類かと思ったのか、男が言葉を返す。
『なんと!ユーもジェントルマンの一人であったか!
これは失礼した。やはりミーもまだまだ未熟者のようだ。
だが!それをも乗り越えていく男!それが!ミー!な・の・だ・か・ら!
ハーハッハッハッハー!
では!ジェントルマンよ!この戦い!最高のものにしようぞ!』
ジェントルマンの基準って言葉遣いなのね。
年齢とか見た目とかじゃないんだ……。
まぁ、人それぞれ色々あるか。
この人の国の習わしかもしれないし。
ここはあまり触れないでおこう。その方がよさそうだ。
「そうだねジェントルマン。
君は強いかもしれない。けど、そんな君を僕は超えていくよ」
満面の笑みを浮かべるジェントルマン。
そして、剣に手を添える。
お互い挨拶し終わったのを察した係員がしゃべり始めた。
「両者準備が整ったようですね。
これより試験を開始します。相手を戦闘不能にするか、降参を宣言させたら勝利となります。
相手を死に至らしめた場合、犯罪行為となるため、その時点で失格となり逮捕します。
また、今後我々政府軍に入隊することが禁止されます。
お互い全力を尽くして頑張ってください」
両者が本格的に戦闘態勢へと入る。
「それでは、始め!」
大きな声が発せられたと同時に、ジェントルマンがこちらに向かって走ってくる。
その姿勢は、剣を突く構えを取っていた。
王国地帯というワードが出ていますが、今後のストーリーの中で詳しく書いていく予定です。




