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テレビの影響

 普通の人でもダンジョンならスキルを獲得できる。

 その事実は社会に衝撃を与えた。


 どこから電話番号を調べたのか、マスコミからの取材の電話が鳴りやまない。

 その電話に驚いて雄大君の泣き声も止まらない、鯉淵家の皆さん、ホントにごめんなさい。


 なので、各テレビ局に出演する事を条件に、電話するのを止めてもらった。

 これは早々に鯉淵家を出なければ。

 そのためには金だ!


 最初の番組の出演料は5万円だった。


 5万円では金塊1つ分の国内消費税に届かない。

 だが、安い銀なら話は変わる。

 金の値段はおよそグラム12000円なのに対し、銀はわずか110円だ。

 銀塊も重さは4040gなので、国内消費税は・・・


 4040×110×10% = 44440円

 1塊だけなら消費税は払える。


 実際に輸入手続きをして、手にした銀を売却したところ、それを見た姉貴や近所のオバチャン共が、自ら投資しに来たので、たった1週間で資金は2000万を越えた。

 資金が貯まってきたので、鯉淵家の居候脱出である。


 テレビに出演は、ほぼ1日に1本の割合だった。

 やることは特番とあまり変わらず、なんちゃってダンジョン探索は出演者には特に人気だった。

 もちろん、次の国会で法改正しなければ、金を大量に売りさばいてやると、国に軽く圧力をかけるのも忘れてない。


 例の特番から3日くらいは、ダンジョンは危ないとか、子供に生き物を殺させるなとか批判がかなりあった。

 しかし、スライムが相手なら、幼児ですらまず怪我しない事が分かると風向きが一変した。

 ポヨンポヨンと10回くらい攻撃を受ければ『身体強化』のスキルが手に入るので、誰もが挑戦したがった。


 生き物を殺させるなと言う意見には、若干の紆余曲折があった。


 そもそもスライムは鳥獣保護法の鳥や獣なのか?とか動物愛護法の動物に該当するのか?とか番組で議論したら、そもそもアイツは何なんだ?という方向に話が流れ、生き物と呼べるかすら微妙という扱いになってしまった。


 スライムはスライム

 動物・植物・無機物・スライム!

 奴はTheスライム!!


 今も議論は終わってないが、スライムは社会的にやっつけていい対象という雰囲気になっている。

 その辺が強引にクリアされると、ダンジョンを常設してほしいと言われたが、自分の土地が無いからと、丁重にお断りした。


 魔法については、魔覚を覚醒したいという希望者がいたため、何十人も覚醒させた。

 中には自称スパイの外国人もいたが、構わず魔覚を覚醒した。

 魔法を使いたいというのは、人類共通の願望らしい。


 ついでに魔力操作の指南書を輸入申請し、全文ネットに掲載したら、面白いように炎上した。

 社会を壊す気か!とか、犯罪者が魔法を覚えたらどうする!とか、色々な所から抗議があった物の、否定的な意見は閲覧数全体からすると微々たる物で、俺はどこ吹く風だ。

 何しろ、魔導書が無ければ、感覚が1つ増えただけの人間だ、魔法はまだ使えない。

 魔覚を覚醒させちゃダメなんて法律無いから、俺のやりたいようにするだけだ。


 どこ吹く風といえば、テレビ朝日の収録ときは、本当に風洞実験場を用意してくれたので、遠慮なく『微風』の魔法を使ってみた。

 結果は25mの瞬間最大風速を記録してしまった。台風並である。


 『強風』や『烈風』の魔法は覚えてないけど、魔導書はある。

 これは危険な上に使いどころが無いな、永久封印だ。


 そして今日、ついに奴らがコンタクトを取ってきた。


 小山紀之、自民党で神奈川県は横浜の出身、つまり地元議員だ。

 そして、防衛大臣でもある。

 俺は小山議員の自宅に呼び出しを受けた。


「初めまして、鈴木元太です。」


「小山紀之です。」


 驚いた事に、出迎えてくれたのは議員本人だった。


「わざわざお呼び立てしてすいません。

 防衛大臣ともなると、移動するにも護衛が必要になるのです。」


 初めは、人を呼びつけるなんて、異世界によくいた傲慢な王皇貴族と同じ人種か?とも思ったが、小山議員が気にしてたのは警備だった。

 確かに、俺が出向いた方がみんな楽できる。


「なるほど、暗殺とか気を付けないといけない訳ですか。」


「ええ、難儀なものです。

 君も気をつけた方がいいですよ。」


「お気遣いありがとうございます。」


 俺は『装甲』の魔法を常にかけているので、ライフルで狙撃されたくらいでは怪我しませんけどね。


 異世界で『装甲』の魔法は、大剣の斬撃を防げるだけの防御力があった。

 魔力が強い地球だと、ライフル程度なら余裕で防げるはずだ。

 戦車砲も防げるかも知れないけど、怖くて実験できない、実験する機会も無いだろうけど。


「今日お呼び出ししたのは、鈴木君の魔法についてです。

 テレビでは北朝鮮のミサイルを落とせるといってましたが、あれは本当なのですか?」


 防衛大臣ならその辺気になるよな。

 俺としては消費税の方をどうにかしてほしかったんだけど。


「あのときは勢いで言いましたけど、実際にはやってみないと分かりません。

 『雷撃』の魔法は雷と同じ速さだと思いますけど、音速で飛んでるミサイルに当てられるか、正直こちらも知りたいですよ。」


「やはり、実際にやってみないと分かりませんか。」


 小山大臣によると、3日後に東富士演習場を使えるように、既に手配済みとの事だ。


「できれば、他の魔法もどのくらい威力が上がってるのか知りたいです。

 戦車も破壊できるか挑戦してみたいですね。」


 ダメ元で小山大臣に俺の要望も伝えると、一部許可が出た。

 言ってみるものだ。


「さすがに弾道ミサイルは無理ですから、SAMでの検証になるでしょう。

 それと戦車を使った検証は、退役予定の74式を使いましょう。」


「74式戦車まだあったんですね。」


 10式じゃないのが残念だけど、戦車相手に魔法を試せるならいいか。

 3日後の検証が楽しみだ。

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