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さらばアルカトラズ島

 翌日、自分のダンジョンで目が覚めた俺は、今日もアルカトラズ島に向かった。


 俺を恨んで部屋を襲撃されるかもとか、ホテルを放火されるかもと用心していたが、そんなことはなかった。

 取り越し苦労で良かった。


 既に無駄だと悟ったのか、お約束の狙撃もなく、無事アルカトラズ島につくと、仮設本部は重苦しい雰囲気に包まれていた。

 ビホルダー対策が、全く思い付かないらしいのだ。

 そもそもビホルダーはD&Dではボスキャラ扱いだったしね。


「有効打は、ビホルダーのほっぺたに当たったグレネードランチャーのフルメタルジャケットだけでした。」


「M500は効果無かったと聞いてまーす。」


「はい、ビホルダーの皮は、マグナムじゃどうしようもありません。

 俺が勝てたのも、グレネードランチャーのフルメタルジャケットが食い込んだ所を集中攻撃した上に、ゴーレムに殴らせたからですし。」


「もしも、ビホルダーを倒せなかったら、どうしたんですか?」


「空間型ダンジョンにビホルダーを置き去りにして、放置するつもりでしたよ。」


 ドロップアイテムは手に入らないけど、死ぬよりはマシだ。


「これはグレネードランチャー用の徹甲弾を、真面目に検討した方がいいかもな。」


「昨日のうちに10発作らせました。

 ビホルダーに効けばいいんですが・・・」


「それ以前に、魔法をガンガン撃ってくるから、こちらも『装甲』の魔法が使えないと太刀打ちできないな。

 昨日覚醒させた州兵で、いきなり魔力操作できた人がいるから、彼に『探知』の魔法を教えて、ビホルダーを回避するしかないでしょう、当面は。」


 ビホルダーについては、みんなに考えてもらおう。


 今日は午前中をダンジョンの検証にあて、午後からは帰国の準備だ。


 午前の攻略でまたしてもビホルダーが出たので、俺が盾役となり、州兵2人に徹甲弾を打ち込んでもらったら、結構簡単に倒せた。

 グレネードランチャーで精密攻撃はできないが、訓練された彼らなら、30mまで近づけば外さなかった。

 5mでも外す俺とは大違いだ。


 ドロップは、またしても魔水晶だった。


「魔水晶で天職を変更できるらしいんだけど、転職師じゃないとできないみたいなんだ。

 天職の権能でしかできない事も多いんだよな。」


「残念でーす。」


 魔水晶はアメリカで研究される事になるたろう。


「Mr元太、最後にアイテムの鑑定を教えてほしいでーす。」


「ごめん、俺はダンジョンマスターだから、ダンジョンから産出された物だけは、権能で分かるんだ。

 でも、異世界には『鑑定』スキルがあったから、ダンジョン内で鑑定的な事をすると、身に付くかも知れない。

 もっとも、『鑑定』スキルは何種類もあって、『鑑定士』の天職を持つ人には絶対勝てないんだけどね。」


「はい、参考になりました。」


 州兵の皆さんは、この後もしばらく狩りをするそうだ。

 州兵の皆さんからは『治療』の魔法を公開して欲しいと懇願されたが、俺は「外科医の皆さんが承認してくれたら、公開します。」と言って公開を保留した。


 『治癒』と『手当て』は、公開しようと思ったけど、これを公開すると外科医がいなくなる恐れがある。


 俺は、新しい試みが成功し、それまで必要だった職業が無くなる事は仕方がないと思う。

 それを気にしていたら、歴史は進歩しないからだ。

 しかし、この魔法の公開は別の意味で問題がある。


 怪我を治せるこれらの魔法だが、ガンや盲腸などの病巣は排除できない、外科手術まで衰退させる訳にはいかないのだ。

 異世界では、病巣を治せる人もいたが、彼らは治療士の天職を持ち、権能で治していたので、この世界の誰にも真似できない。


 俺はブラウンにその辺の事情を話し、後で州兵達に説明するようにお願いしておいた。


 アルカトラズダンジョンだけでは、アメリカの兵器産業は生き残れないだろう。

 しかし、アルカトラズダンジョンで集めたデータをもとに対策し、兵器産業はダンジョン作成を依頼してくるだろう。

 今後は世界中を飛び回る事になりそうだ。


 短い間だったけど、思い出深い場所だったな。


 監獄の島だったアルカトラズ島がダンジョンの島と呼ばれるようになるのに、さほど時間はかからないだろう。

 そうなったら、あの監獄は探索者の宿になるんだろうか。


 そんなどうでもいい事を船の上で考えつつ、俺はロサンゼルス国際空港を目指した。


 これで、初の海外出張はおしまいてある。

 ・・・と思った時期が俺にもありました。

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