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帰ってきたダンジョンマスター

一話目は、途中に長い回想がありますが、目の毒だと思った方は遠慮なく読み飛ばしてください。

読まなくても話は通じるようになってます。

ぽこっ!

 ダンジョンがどこかに繋がった。


 ダンジョンから出ると、吐き気を覚えるような濃密な魔力を感じた。

 大気中の魔力がかなり濃いな、それに、かなり寒い。

 俺は急いで魔物の毛皮で作ったコートを着こんだ。

 繋がった先は真っ暗だった。

 どこかの建物の中・・・ではないな。


「夜か?」


 目が暗闇に慣れると、星明かりでおぼろ気ながら、周囲の状況が分かってきた。


 今いるのは山の中腹のようだ。

 周囲が木々に覆われていて、現在位置は全く分からない。

 もっとも、異世界から空間型ダンジョンをつないできたから、現在位置以前にどこの異世界なのかも分からないのだが。


 『暗視』のスキルは修得済みなので、近くに何があるのかは分かるのだが、『照明』の魔法は覚えておくんだった。

 

 どこの異世界も、夜はいくつかの銀河が煌々と大地を照らしていて、夜でも文字を読めるくらいには明るかったから、必須じゃなかったんだよな。


 俺は山頂から人里を探すため、木々の隙間からたまにもれる星明かりの中、急な斜面を登った。


 かさかさと枯れた落ち葉が鳴る中、俺の耳はどっかで聞いたような、かすかな音を拾った。


 この音は、まさか電車か!?

 俺ははやる気持ちを何とか抑えようと自分に言い聞かせた。

 これまでもモーターが既に存在していた異世界は、あったじゃないか。

 帰って来れた可能性は上がったが、ぬか喜びに終わるかも知れない。


 とは言っても、そうそう気持ちを切り替えられない。

 ペースを無視して斜面を登ると、獣道に出た。いや、近くに丸太で作った階段がある、登山道だ。


 登山道を歩くこと数分、木々がとぎれ視界が開けた。

 俺はその光景と感動を生涯忘れる事はないだろう。


 カシオペア座

 北極星

 北斗七星


 星座に詳しくなくても分かる、こんな天体配置の異世界なんて、それこそ天文学的な確率であり得ない!


「知ってる・・・しってるぞおおお!

 帰ってきだんだ!本当に帰ってこれたんだ!

 おれのぢってる・・・」


 そこからしばらくは、記憶が無い。

 気がつけば、俺は大泣きしていた。


 登山道をさらに昇ると木製の四角い柱と看板のような物が見えた。

 柱にも看板にも何か書いてあるようだが、暗くて読めない。

 『暗視』スキルを使えば読めるだろうが、スキルはなぜか無粋な気がして使う気になれなかった。

 でも山頂に到着したのは、何となく分かった。


 遠くに町の明かりが見える。

 明らかに火ではない人工の明かりだ。


 その場で町の明かりを眺めながら、夜明けを待った。

 朝日に照らし出された四角い柱にはこう書かれていた。


『大菩薩峠』


 間違いない、俺は異世界から戻ってきたのだ。


 異世界に召喚され、帰る方法は無いと言われてから苦節7年、色々あった。


 魔王軍を突破できない勇者パーティーを魔王領に送るため、帝国から魔王城までダンジョンをつなげろと言われ、特訓のため帝都だけで6ヶ所、帝国全土では100箇所以上にダンジョンを作ったり、でかい断層を突っ切ってダンジョン作ったら大地震を引き起こしたり、皇族が脱出するための秘密の抜け穴を作ったものの、DPが枯渇していざ使おうとしたら崩れて使えなかったり、いざ勇者パーティーを突入させたら魔王に殺られちゃうし、魔王が逆進攻しかけてダンジョンに侵入してきた所を水責めにして倒したり、他の異世界ではだまされて政争の道具にされそうになって、拒否すると軍を差し向けてきたから、ダンジョン内に引き込んでまたしても水攻めで数千の兵を全滅させた上に、慰謝料として城の宝物庫の魔金属をねこそぎぶんどったり、かと思えばカルマが高い良い人じゃないと生きていけない異世界で俺の異世界知識をみんなのために役立ててカルマ上げに邁進してたら、あれ?俺帰るのが目的だったのでは?何やってんだオレって気がつくまで2ヶ月かかったり、砂漠の異世界に出たときは、ついにサハラ砂漠の辺りに帰ってこられたと有頂天になって人を求めて探索しまくったが見つからず結局月の模様が違う事に気がつくまで1ヶ月無駄足を踏んだり、夜空が日本と違ったから別の異世界かと思って次に旅立った後で、あれ?実は南半球だったのでは?と気がついて凹んだり、食糧が手に入らなかったからダンジョン食ったり、そこいら中に貴金属が転がってる異世界では一心不乱に貴金属を集めまくって、あれ?俺帰るのが目的だったのでは?何やってんだオレって気がつくまで2ヶ月かかったり、どっかの神界につながってダ女神に振り回されたり、権力者の凄腕スパイが潜り込んでるのに気が付かず、そのまま異世界への出口を閉じたら、後になって帰れなくなったと騒がれて、結局自決されたり・・・


 本当に色々あった。


 朝イチで下山した俺は、ここまでつないできた空間型ダンジョンからDPとコアを回収すると、いつか帰還した時のためにとっておいたスペシャルアイテム『千円札』を使って自宅がある横浜に帰ろうとした。

 しかし、残念ながら交通費が足りなかった。

 異世界にいた7年のうちに、物価が上がったようだ。

 て言うか千円札のデザインも変わっていた。


 最後は5キロほど歩き、ようやく自宅マンションにたどり着いた。


 入口のポストを確認すると、そこには『鯉淵』の名字が・・・どうやら両親は引っ越したらしい。


 どうしたものかな・・・日本にギルドなんかある訳ないし、何を頼ったらいいんだ?


「衛兵、いや警察か。」


 異世界が長くて、警察の名前がすぐに出てこなかったな。

 俺は最寄りの警察署を訪れた。

 警察署は初めて入ったので、とりあえず目の前にいた警察官に、声をかけてみた。


「あの、すいません。

 7年くらい前に行方不明になってるはずの者なんですけど。」


「えっ?」


 事件と違い、行方不明者が警察に来る事など滅多に無いからだろう、話しかけられた警官もすぐには対応できなかった。


「えっと、少々お待ちください。

 お名前・年齢・住所それと職業を教えてください。」


「名前は鈴木元太、年は今22才?だと思う。

 前住んでた所には、別の人が住んでました。

 そして職業はダンジョンマスターです。」


 それからしばらくして、本格的な事情聴取が始まり、異世界転移を食らった事を説明したが、警察は当初信用してくれなかった。

 まあ、俺が警察官の立場なら、職業をダンジョンマスターなんて言うふざけた奴なんか信用しないけど。

 信用してもらうため、警官の目の前でリュックから笏を取り出し、『点火』の魔法を使うと、火柱が天井近くまで立ち上ぼり、火災報知器を鳴らしてしまった。


 なんぢゃこれ!


 ちなみに『点火』の魔法は、一般的な生活魔法で、魔法を覚えた帝国ではライターの火くらいの火力しか無かったから、完全に油断していた。

 どうやら、地球みたいに魔力が特濃の世界で魔法を使うと、とんでもなく威力が高くなるようだ。

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