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9.竜さま大暴れ

 竜さまが来てくれた!

 すっかり夜になった岩場を、白銀の光が照らし出す。


 ――友と友の付き人、そして我が付き人に挑むとは、勇敢である。


 重々しく響く声。

 竜さまが羽を打ち振るう。たちまち強風が起こって、翼竜は大きく押し戻された。


 ――そして、無知である。


 一瞬ひるんだように見えたけど、翼竜は大きく口を開けて、炎の息を吐き出した。

「りゅーさま!」

 竜さまに火が届く。でも、次の瞬間には、青い炎に変わって竜さまを包んだ。

「おわー?!」

 青い炎は消えないまま、竜さまを覆ってる。

 ばっば、と竜さまが笑った。


 ――心地よし!


 ……かっこいい!

 竜さまが青い炎をまとったまま、翼竜にぶつかった。


 ズドー――――ン


 そのままの勢いで、岩山に突っ込む。

 すごい衝撃。こっちまで揺れが伝わってきた。大きな岩の塊が、がらがらと落ちる。

 ……黒い竜さま、潰されちゃったかも。

 竜さまが大きく顎を開けて、いつもは全然見えない歯が見える。なんだか、笑ってるみたい。


 ヴおぉぉぉー――!


 翼竜が(ほう)(こう)を上げて、岩山がまたがらがらと崩れた。

 ……よかった、潰れてません!


 ――うむ。よい威勢じゃ。

 竜さまは翼竜の首に噛みつき、投げ飛ばした。空中に舞った体を追って、竜さまも空に飛んだ。


「今のうちにペロを探そう」

 ジュスタがはっとした様子で立ち上がる。

「お、はい!」

 竜さまがすごくて、うっかりいろいろ頭から飛んでってた。

 お骨さまが、ひょいっと顔を上げる。

 ――そうじゃ。水玉は、おるのじゃ。体のどこかが冷たいのじゃ。

 思わず、ジュスタと顔を見合わせる。

「ペロー! ペロー!」

 名前を呼びながら、お骨さまの体を探し回った。


 そんなに時間はかからない。

「あ――、ペロ!」

 ジュスタが声を上げた。駆けつけると、腰骨の内側に薄ーくなったペロがくっついてる。

「ふわー――! ペロー! よかったですー!」

 ほっとしてひっくり返りそう。

「ペロ、おいで」

 ジュスタが手を伸ばすけど、ペロは薄いまま、動かない。

「……まだ怖いのかな」

「そうかもしれません」

 しばらく見つめた。

 遠くでどーん、どーんとケンカの音が聞こえる。

「お骨さまにくっついてれば安全だから、このままにしておこうか」

「はい」

 薄くなってるから正確には分からないけど、小さくなってる感じはない。

 心が一つ軽くなった。


 ニーノの側に戻る。

 お骨さまはずっとントゥをのぞき込んでる。ニーノはントゥを仰向かせて口を開けさせ、胸に手を当ててた。

 ニーノの側に寄ると、気のせいか、すがすがしい空気が漂ってくる。

 ……何かしてるのかな?

 しばらくすると、急にントゥが、かっと息を吐いた。

「ントゥ!」

 お骨さまがぴょんっと飛び上がる。

 ――ントゥ! 起きたのじゃ。

 ントゥは足をばたばたさせて、くるっとうつ伏せに戻り、かっ、けんっと咳をする。

「気を失って熱風を吸わずに済んだ。呼吸に支障はないだろう」

「おお!」

「よかった」

 ジュスタもほっとした声。ントゥを落ち着かせるように、ニーノは腕をかぶせて押さえつけた。

 きゃっとントゥが声を出す。

 嬉しいときの声じゃない。

「ントゥ、痛いですか」

「……左の後ろ足を痛めている。が、骨には問題ない」

 ――ントゥは大丈夫なのか? 平気か?

「はい。少し手当は必要ですが」

 ニーノの応えに、ふわーっと全員、力が抜けた。

短めですが、一区切りなので。


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― 新着の感想 ―
[一言] ペロは無事‼️ントゥも無事‼️ ペロは無事‼️ントゥも無事‼️ いやー安心して力が抜けました。エーヴェたちと一緒になって心の底からの安堵を体感しました。 即日更新ありがとうございます。 安心…
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