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21.鞍作り

前回にもお伝えしていますが、これ以降、しばらくの間「毎週水曜日18時更新」とします。

ゆっくり更新になりますが、お付き合いいただければ幸いです。

また、活動報告のほうはもう少し頻繁に更新するかもしれないので、そちらも見ていただければありがたいです。

よろしくお願いいたします。

 テーマイはントゥと追いかけっこをして遊んでた。

 ントゥがお骨さまの頭に跳び乗って、花畑にぴょーんと飛び込むと、テーマイもお骨さまの頭に跳び乗って、ぽーんと跳び出す。

 足場にされてるお骨さまはントゥとテーマイの動きを愉快そうに眺めてる。

 ……花畑もお骨さまに似合ってます。


 ――テーマイはバランスを取るのが上手なのじゃ! さすが森を走る獣なのじゃ!


 細お屑さまがテーマイをほめた。

 テーマイがこっちを見て耳をパタパタする。

 お骨さまも、ぱかっと口を開けた。


 ――エーヴェとジュスタと()()()()なのじゃ。おはようなのじゃ。

 ――おはようなのじゃ! 骨は蹴られても怒らぬのじゃ。(かん)(よう)なのじゃ!

「おお、そうですよ」


 ントゥだと蹴ってる感じがしないけど、テーマイの大きさだと頭に乗るのも跳び出すのもちょっと失礼に見える。

 ……不思議です。

 お骨さまはかたっと首をかしげた。


 ――このたくさんは穏やかなたくさんなのじゃ。たくさんは、いろいろなのじゃ。

 ――ぽはっ! 骨はあほうなのじゃ! わしは九九九おるのじゃ。九九九通りなのじゃ!

 ――いろいろは九九九なのじゃ。

 ――ぽはっ! ぽはっ!


 二人がおとぼけ話をしてる間に、ジュスタはテーマイを呼ぶ。

 テーマイとントゥは追いかけっこをしながらやってきた。


「テーマイ、背中にエーヴェの座るところを作りたいから、体に触ってもいいかな」

 ――テーマイにもエーヴェにも役に立つ道具なのじゃ。


 ふんっ!


 テーマイの鼻息に細お屑さまはぴこんぴこんする。


 ――うむ。よいのじゃ! 寸法など見るとよいのじゃ!

「布を巻いて縄を巻くと、テーマイきっと痛くないですよ」

「ありがとう、エーヴェ」


 寝台にあった布を折ったり巻いたりして、テーマイの体の覆いと座るための水平の場所を作る。


「ちょっと座ってみるかい?」

「はい!」


 それっぽい場所ができたので、岩を踏み台にしてテーマイの背中に乗ってみた。


 ぶふっ


「お? テーマイ大丈夫ですか?」

 ――うむー。重いのじゃ。エーヴェもテーマイには少し重いのじゃ。布まであると、より重いのじゃ。

「そうですよね」


 腕組みしたジュスタを励ますように、細お屑さまがぴこんぴこんする。


 ――しかし、布があるとバランスがよいのじゃ。テーマイ、動いてみるのじゃ。


 テーマイが動いた。


「おお! 楽ですよ!」


 何もなしで座ってたときより、動きに影響されない。

 テーマイが早足になっても、布につかまれるから安心感がある。


 ぶふっふっ


 テーマイが足を止めた。


「重いですか?」

 ――重いのじゃ!


 本当は持ち手もつけたいけど、布で重いなら難しいかな。


「うーん。ちょっとマレンポーたちのところに行ってみようか?」


 ジュスタが来て、テーマイから降ろしてくれた。


「あ! 羽の布ですか?」

「そう。あの布はとても軽かったから分けてもらえたら役に立ちそうだ」


 いい考えです。

 さっそくマレンポーたちの家に向かう。



「なるほど、鞍を作りたいんですね!」


 話した途端、マレンポーはしきりに頷く。


「わたしもアミョーに鞍を着けてもらうことを考えたことがありますよ! ですが、アミョーは骨が弱いですから、締めつけが心配であきらめたんですよね」

「え! アミョーは骨が弱いですか?」

「鳥はみんな骨が弱いんですよ。アミョーは走ることに特化してる分、だいぶ強くなっていますけど、それでも骨は空洞です」

「竜さまも骨は空洞でしたよ。骨はだいたい空洞なんでしょうか?」

 ――そうじゃ! 飛ぶ者の骨は空洞で軽いのじゃ。


 ジュスタが首をかしげて、細お屑さまが応じ、話がそれる気配がする。

 慌てて、話を戻した。


「もしかしてマレンポー、鞍を作ったことがありますか?」

「ええ、あります。お役に立つなら、残骸ですが差し上げますよ」

「え? 今持ってるんですか?」


 ジュスタが目を丸くする。


「残骸ですけどね」


 マレンポーはカバンから、革みたいな紐みたいなごちゃごちゃしたものを引っ張り出した。

 丁寧に解きほぐすと、体に鞍を固定するためのベルトだと分かる。


「テーマイさんの体に合うか分かりませんが、役に立つなら使ってください」

「すごいですね。……ちょっと手入れはしたほうがいいけど、布を固定するのにいい形です」


 ジュスタがベルトのあちらこちらを確認してる。

 確かにこれなら、布をきちんとテーマイの体に固定できそう。


「でも、これ、座るところがありませんよ」

「一部は羽の布を使ったのでもう朽ちてしまいましたね。そうそう。この布は軽いですからテーマイさんも負担になりにくいでしょう。少し持って行ってください」

「いいですか!」


 マレンポーはにっこりする。


「せっかくここにあるものを使わないなんて変ですよ。どうぞ使ってください! いいものができて、よい旅ができますように!」


 マレンポーはとっても寛容です!

評価・いいね・感想等いただけると大変励みになります。

是非、よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
マレンポー、いいヤツだ。独特の間合いを持ってるので掴みどころのない人物だけどいいひとなのは確信できます。 エーヴェ、テーマイにはやっぱり重いかー。テーマイも大きくなった分、エーヴェも大きくなったから、…
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