11.夢に星が落ちる
夕方、目が覚めたお影さまと遊んだ。
途中からはお骨さまと竜さまが一緒に遊んであげたから、船やアミョーの群れからは離れちゃった。空を飛んだり地面を走ったり、とってもにぎやか。
狩りから帰って来て満腹なントゥが、お骨さまの様子を岩の上で毛づくろいしながら見てるのがちょっと面白い。
晩ご飯、アミョーミュージカルの話をみんなにして、それぞれが何をしてたか聞き、葉っぱのさじでご飯を食べた。
幅太お屑さまを頭からはみ出させたペロが食堂に帰ってきて、お屑さまを吐き出すと、ツボにうぞうぞ入る。
幅太お屑さまは食堂をふわーっとただよった。
――ぽはっ! 水玉に引かれて走るのは面白いことなのじゃ!
幅太お屑さまは愉快そう。
ペロ、一番大きいお屑さまを引っ張って走ったみたい。
「よく飛んでかなかったなー」
システーナがひょいっと幅太お屑さまを捕まえた。
「ホントにそうです! ペロえらい!」
ペロが、かちゃんとツボの蓋を閉めた。
寝る前に竜さまたちにあいさつして、寝床に向かう。
いろんなことがあった。
……明日になったら、はげちょびくちばしおばけは毛が生えてるかな?
*
ひとりぼっちで外にいた。
花畑がなくなってる。
山脈が見えて、広々した地平線が見える。
明るくも暗くもない。
……月の光かな?
世界が青っぽいから見上げてみる。
「おお!」
月はなかった。かわりに、きらきら輝く星が光ってた。
金星みたいに明るい。
「……お、これは夢ですよ」
きれいな星を眺めながら、歩く。
涼しくて気分が良いけど、地面には草一本ない。
何の気配もなくて、静か。
……星のまどろみどきかな?
今までほしのまどろみどきに来たときは、竜さまに会うことが多かった。
ぐるーっと周りを見渡してみる。
「……誰もいません」
もう一度、星を見る。
星が明るい。
八方にトゲが出てる星のマークみたいに、くっきりした星。
目を瞬いた。
だんだん、星が大きくなってる。
「おお!?」
星の後ろに尾が見えた。
星がどんどん大きくなるけど、その向こうにゆるいカーブでついて来る尾。
「星が落ちてきてます!」
視界いっぱいの星。
でも、不思議と優しい光で見ててもまぶしくない。
――
「わ?」
何か聞こえた。
でも、何か分からない。
キラキラした感じが通り過ぎる。
明るさがわっと押し寄せて、目を開けた。
*
窓から光が差しこんでる。
「朝です」
しばらく外を眺めてから、ぴょんっと起き上がる。
「おお! すごいですよ!」
寝床から飛び出て、システーナの部屋に駆けつける。
「シス! エーヴェ、星のまどろみどきから帰って来ましたよ!」
「んあー?」
システーナがもぞもぞ起き上がった。
壁に腕輪がかけられてて、お屑さまがぷらーんと寝てる。
「エーヴェ、りゅーさまが迎えに来ないのに、まどろみどきから帰ってきました!」
「ふーん、よかったなー」
システーナ、大あくび。
……分かってません!
「エーヴェ、まどろみどきから帰ってこられましたよ! 特性が使えますよ!」
自分でまどろみどきから帰ってこられるなら、ニーノも心配しない。
うぉほっほをしかけたとき、ぴこんっとお屑さまが頭を上げた。
――陽が真上に来るのじゃ! 間もなく、陽が真上に来るのじゃ!
「んー? それ、なんだっけ?」
システーナはあくびしながら、頭をかいてる。
「古老の竜さまですよ! 会えますか!」
古老の竜さまに会う場所について、お屑さまはいつも陽が真上に来る場所、しか教えてくれなかった。
――古老から知らせが来たのじゃ! 古老が着く場所が分かるのじゃ!
「おおー!」
両手を上げて跳び上がる。
……やっと古老の竜さまに会えます!
「まー……、とにかくニーノとジュスタ起こそーぜー」
システーナが廊下に出ながら、もう一回あくびした。
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