7.はじめのアミョー ヲホロ(二)
時間が足りず、読み返せてないので、後日修正を入れるかもしれません。
――ヲホロはヒナを迎えたぞ!(よくやったのじゃ!)ヒナにおさまりを教えたぞ。ヒナは茂みをこつこつ。こつこつ。ときどき、おさまり。ときどき、けー!
けー! と声が上がる。
やっぱり面白い。
――いまや動く丘に、アミョーはふたりぞ。(二人じゃ!)アミョーにアミョー。アミョーとアミョー。アミョーじゃさっぱり分からんぞ!(ぽはっ!)ヲホロは考えたぞ。名前ぞ!(その通りじゃ!)ヲホロははじめて名前を決めたぞ。ヲホロはヲホロ!
みゃう! みゃうみゃう!
――ヒナはカロカカ!
みゃうみゃうみゃう
後ろのアミョーたちが合わせてる。
……もしかしたらアミョー語で、それぞれ呼んでるのかも?
――それから、卵が落ちるとき、ヲホロは竜さまに道を聞いて、いつも探しに走ったぞ! ヲホロはたくさんを、動く丘に連れ帰ったぞ!(たくさん?)(たくさんではないのじゃ!)たくさん名前を決めたぞ!(たくさん?)(ヒナがたくさんなのじゃ!)
お骨さまとお屑さまの漫才までさしはさまってる。
――ヲホロが連れてきた卵から、出てきたヒナはカロカカ。大きくなるぞ。カロカカの足は長いぞ。フパシカようぞ。(立派な木なのじゃ!)羽はつやつやぞ。湿った泥ようぞ。(泥浴びをするのじゃ!)蹴爪は鋭いぞ。丘に落ちる雷ぞ!(危ないのじゃ!)カロカカはヲホロを好きだぞ! 尊敬ぞ!
みゃうみゃうみゃう、みゃうみゃうみゃう!
後ろのアミョーたちが頭を高く上げて、羽をバサバサしながら高く鳴く。
おお、恋の話が始まりますよ!
――カロカカは頭を上げて、羽を広げ、ヲホロの前で踊るぞ! みゃうみゃう! みゃうみゃう!
みゃうみゃうのたびに、他のアミョーたちも合いの手を入れる。
――ヲホロはカロカカの踊りに感心ぞ! カロカカを伴にしたぞ! ヲホロはヲホロとカロカカの卵をつくるぞ!
――めでたいのじゃ!
「おめでとうございます!」
拍手する。
アミョーたちは二羽一組で、首の上げ下げあいさつをしてる。
――卵はふんと同じに出るぞ! けれど、ふんより大きいぞ! 力が要るぞ! ぬん、ぬん、けー!
けー!
後ろのアミョーたちは羽を振りながら、こっちにお尻を見せてくる。
尾羽のそろったところがきれいだけど、ふんが飛んでこないかちょっと心配。
――ぬん、ぬん、けー!(ぽはっ! ぽはっ!)出たぞ! 卵ぞ! オホロは卵を産んだぞ!
「おおー!」
――よくやったのじゃ!
ストストはスキップで跳ね回る。
後ろのアミョーもスキップ。
お誕生日の歌を歌いたい気分。
――卵からヒナが出てきたぞ! アミョーが増えたぞ。(よいことじゃ!)ヲホロは卵を連れてくるぞ。アミョーが増えたぞ!(よいことじゃ!)
だんだん、ストストの周りにバックダンサーアミョーが集まってきて、押し合いへし合いし始める。
――動く丘は広くはないぞ。アミョーが増えたぞ。(むむ!)茂みは踏まれるぞ。(なんと!)アミョーが増えたぞ。(むむ!)おさまりは少ないぞ。(困ったことじゃ!)
ストストに集まったアミョーたちは一羽、また一羽とうずくまった。
――ヲホロは気づいたぞ。アミョーが多いぞ。動く丘はヲホロの故郷。けれど、いつまでもいられない。ヲホロは丘の端に走ったぞ!(おお!)竜さまと話したぞ。(地馳はなんと言ったのじゃ!)
立ってるアミョーはストスト一羽だけ。
他のアミョーは地面に伏せて、くったりしてる。
――なんと! 大変なことなのじゃ!
「大変なことですよ!」
長お屑さまとはらはら見守る。
――ヲホロは決めたぞ! ヲホロは飛ぶ鳥! 走る鳥! 動く丘を降りるぞ!
くったりしてたアミョーたちがぱっと起き上がって、ストストから離れる。
――ヲホロはみんなに言ったぞ! アミョーは走る鳥! 動く丘を降りるぞ!
「おお!」
――その通りじゃ!
長お屑さまはみょんみょんして、私は拍手する。
みゃうみゃう……みゃうみゃう……
でも、ストストから離れたアミョーたちは低声で鳴き交わしてる。
――ヲホロは走る鳥! 飛ぶ鳥! けれど、アミョーは走る鳥。動く丘から飛び降りるのは、恐ろしい。とても恐ろしいぞ!
後ろのアミョーたちは自信がなさそうにお互いの顔を見たり、小さくなったり。
――ヲホロは羽を広げたぞ! アミョーは走る鳥! けれど、大きな羽がある!(そうじゃ!)風をすべって、ゆっくり降りるぞ! 下は砂ぞ! 竜さまが、アミョーの降りやすい場所を選んだぞ!(地馳、よくやったのじゃ!)
後ろのアミョーたちが一羽、一羽と羽を広げる。
――ヲホロたちは、動く丘を飛び出したぞ! ヲホロは最初に飛び出した! 上手に風をすべったぞ! 次に若いアミョーが飛んだぞ!(おお!)風をすべったぞ! 動かない地面に飛び降りたぞ!(よくやったのじゃ!)ヲホロは動く丘に飛び戻るぞ。アミョーを励ますぞ!(がんばるのじゃ!)アミョーは走る鳥! 勇敢な鳥!
後ろで縮こまってたアミョーたちが、一羽また一羽と、走り出す。
私の頭上を軽々と飛び越えて、ひょいっと遠くに着地する。
地馳さまから次々飛び出していったアミョーたち。
……ちょっと感動です。
――上手く着地できずに死んでしまったアミョーもいたぞ!(むむ)ヲホロの伴、カロカカも、降りるときに死んだぞ!(うむむ)アミョーは悲しいぞ。ヲホロは悲しいぞ。けれど、アミョーは止まらない! 動かない地面に降りた喜びぞ!
ストストは首を高く上げて、大きく羽を広げた。
――動かない地面は、続く。続くぞ! アミョーはおさまりを探すぞ! アミョーは走る。走るぞ! 動く丘とどこまでも走るぞ!
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