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22 失礼


「済まんのう、フォリスちゃん」

「また迷惑かけちゃったのう、わし……」


 大丈夫ですよ、リスト爺ちゃん。


 終わりよければ全て良し、です。



 あの子たちを狙っていた外道誘拐組織を壊滅させられただけでも、


 お釣りが来るほどの大活躍ですよ、爺ちゃんのやらかし。


 さすがは"精霊王"様、


 なんだったらお礼に『七人の戦乙女』さんたちとのお食事会でも、全力でセッティングしちゃいましょうか。



「わし、全力で遠慮しちゃうっ」

「あの娘さんたち、本当に恐いんだもん……」


 おっと、リスト爺ちゃんにも苦手なタイプのお姉さま方がいたのですね。



「前にツァイシャちゃんの枕元に立ったとき、城内を本気で追いかけまわされたんじゃよ」


 あー、それは100%、爺ちゃんが悪いです。


 ちゃんとごめんなさいしました?



「もちろんじゃよ、ちゃんとひとりひとりの枕元に立ってごめんなさいしてきたぞいっ」


 うわっ、サイテーですね、ソレ。


 もうエルサニア城は生涯出禁でしょ、そんなの。



「こう見えてメイドさんたちに人気あるんじゃよ、わし」

「追っかけられた時もメイドさんたちが控え室にかくまってくれたんじゃっ」


 もう好きにしてください……



 ---



 余談ですが、"巡回特使"について。


 あの時の説明では今イチよく分からんかったので、


 イーシャさんに再度聞いてみました。



 で、よくよく聞いてみれば、


 なんてことはない、ただの"特使候補"、でしたよ。


 つまり、コイツは次の特使になるかも、っていう目安程度なもんなんです。



 当然、巡回特使制度自体には、実権も特典も、なんも無し。


 だって、本当にただの候補なんですもん。


 もちろん、社会的な影響力も認知度もまったく無し。


 むしろ、余計な忖度とか青田刈りされると後々面倒だから、できるだけそっとしとけってなくらいで。



 ただ、一部のお偉いさんの間では、念のためとりあえず覚えとくか、くらいの存在らしいのです。


 仮にも、特使選定できる立場にあるお偉い方が注目して候補に選んだ人材ですので。


 僕の場合は、なんかやらかさないかをツァイシャ女王様が常に監視してるぞってことですよね。


 なんだか迷子札みたいな……



 まあ、そんな程度のもんなので、あんな風に大騒ぎする必要は無かった、と。


 イーシャさん、本当にごめんなさい。


 でも、試食は週一回で勘弁してください。


 

 ---



 残念ながら、僕の"森の勉強会"の方は、しばらくおやすみ。


 まあ元々、シナギさんやアランさんたちによる、めっちゃ安全でスッゴく楽しい授業がありましたから、


 あの子たちが退屈することはないのです。




 さて、僕もそろそろ狩人としての活動、本格的に再開せねば。


 だって、今回の件のとばっちりでなしくずしに、


 巡回特使、ってか、僕担当にされちゃったレマリィさんが、


 ちょくちょく我が家に来るようになっちゃったし。



 お陰でどうにも落ち着かんのですよ。


 我が家なのに。



 いえ、訪問自体は構わんのですが、


 おみやげの手作りお菓子が、ね。



 あっちで試食もぐもぐ、こっちで実食ぱくぱくでは、


 さすがに胃が休まる暇も無いのですよ。


 あれ、"安まる"だっけ。



 …………おっと!



 今日もそろそろ襲来してくる予感が、脳内で警報音を。


 では、こっそりと別宅に雲隠れ。



 さすがにレマリィさんだって、


 ルルナさんの寝室にまでは探しに来ないでしょ。



 こう見えて、僕だってなかなかのベテラン狩人、


 必要とあらば、気配消しだってお手のものってね。



 それでは、失礼……



 あとがき


 やんわりとフォーマットが固まってきたような空気。


 つまりは、右往左往してるフォリスさんが古参キャラたちにお助けされて一件落着、というお話し。


 ただ、鈍感を理由に"参戦乙女増量系主人公"の立ち位置から逃げ続けるのは、


 そろそろ無理、かも。



 つまりは、これからもこんな感じでよろしくお願いします。



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