19 顛末
エルサニアに古くからはびこっていた組織、
『オルティネオラ』
実は組織っていうより世襲制の一族経営的な小規模集団。
ダニのようにこっそりと、大国エルサニアに寄生。
やってることはまさにダニ。
裏社会のそのまた裏で、目立たぬように細々と甘い汁を吸ってきた。
業務内容は、悪党たちの悪事がスムーズに進むよう、ちょっとだけ手助けするアドバイザー。
手広くやって手堅くおこぼれ。
一見セコいけど、古くからやってたおかげで、ノウハウ蓄積ハンパ無し。
溜め込まれた悪事のイロハは、悪党の皆さんのお役に立つことこの上無し。
要するに、悪党さんたちに大人気の、ダニ。
決して表に出ないことという家訓を守り、バレないように立ち回りさえすれば、
この先も安泰、のはずだった。
ほころびは、モノカさんたち特使の活躍から。
それまで上手いことやってきた大手の悪党組織が、
特使たちの大活躍で次々に壊滅。
このまま今まで通りに大人しくダニムーブしておけば、絶対にバレはしない、はず。
でも、寄生先の悪党組織が減れば減るほど、甘い汁も減っちゃうわけで。
今のうちになんとかしないと、この先一族先細り。
で、企んだのが、"児童誘拐組織"を利用しての特使揺さぶり。
特使たちの4人の子供たち、
普段はめっちゃガードが堅いが、チャンス到来。
つまりは、僕の"森の勉強会"
引率している狩人は、特使の仲間たちとは違って全くの一般人、
ってか、どう見てもなんの取り柄もない、
普通の若造。
こんなのを仲間にしてしまったのが、特使たちにとっての運の尽き。
てな感じで、連中本気で動き出した。
案の定、連中が王都内に張っていた警戒網に引っ掛かった、僕。
巡回司法省内の協力者が難癖つけて拘束したけど、
まさか女王秘蔵の手駒だったとは。
それからの顛末は、ご存知の通り。




