17 大ごと
人に歴史あり、
なんてひと言で言っちゃダメだよね。
でも、僕の周りには、そんな凄い人ばかり。
だからなおさら、僕が普通であることが目立つわけで。
みんな本当にスゴいなって思うけど、
だったら僕はどうすれば良いのか、なんて分からない。
当たり前だよ、だって平凡な、普通の狩人だっての。
ぷるぷるぷる
腕輪魔導具『コニタン』の未登録存在接近警報振動。
やっときたよ、
ようやく誘いに乗ってきた。
司法省ロビーで感じていた、嫌な気配。
エルサニア城を出てからも、ずっと後をつけてきてた連中。
『Gふなずし』で敵性判定を確認するまでも無し。
狩人舐めんな、悪意バレバレだっての。
気配は、ふたり、
弓の間合いに入ってきたから、
もちろん先制攻撃。
近接戦は御免ですよ。
『コニタン』の『収納』から出しておいた魔導弓、
魔素はチャージせずに、
構えて……狙って……
・ ・ ・ そいっ、そいっ、
命中×2
どれ、ご尊顔を拝見。
しっかり脳天ブチ抜いてます。
うん、ノーチャージ矢だから爆散してませんね。
僕は見覚えない顔だけど、
確認したレマリィさんが固まってる。
死体に驚いてるだけじゃなく、
顔見知りだったから。
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なんだか大ごとになってきちゃったよ。
あのふたりが、巡回司法官だったこと。
レマリィさん、困惑どころじゃ無い様子。
巡回司法省には連絡できないでしょ、
だって、組織内の誰が敵なのか分からんし。
とりあえず、あのふたりを僕のマジックバッグに『収納』
えーと、ごめんね、レマリィさん。
せっかくの『生き物生きたままオッケー』仕様のマジックバッグなのに、
生かしたまま捕縛できなくて。
『Gふなずし』で、シュレディーケさんに連絡。
うん、真っ先に家族に知らせることが大事、
僕も分かってきたよね。
でも、めっちゃ面倒ごとで、ごめんなさい。
駆けつけてきてくれたのは、
シュレディーケさんと、カミスさん。
カミスさんの『転送』バックパック『トラペゾ』は、
みんなが持ってる個人用『転送』魔導具『イッテラ』よりも高性能で、
シュレディーケさんを連れて、いっしょに『転送』できちゃうのです。
えーと、シュレディーケさん、ハグはできれば後回しでね。
急いで対処した方が良さそうな、わりと一大事な案件ですし、みんなが見てるし……




