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14 夜営


 王都の東門を出て、街道をあてどなく歩いております。


 今まで通りに生きろって言われても、何が今まで通りなのか、わけ分からんって。


 周りの人たちこそが僕を変えようとしているのに、変わらないでいてほしいって、本当わけ分からんって。



 で、いつまでついてくるんですか、レマリィさん。


 お歳頃の可愛らしい娘さんが、今日初めて顔を合わせたよく分からん男にくっついてきちゃいけませんよ。



「……お供します」


 お好きにどうぞ。



 ---



 日が暮れてきたよ。


 えーと、うちに連絡入れなきゃね。


『Gふなずし』で、シュレディーケさんを呼び出してっと。



 はい、フォリスです。


 今日は夜営します。


 明日また連絡します。



 ……どうやら、みんなから連絡がいってるみたいだ。


 シュレディーケさん、普段通りに振る舞おうとしてたけど、声で分かっちゃうよ、心配してるって。


 でも、信頼してあれこれ聞いてこないところも、シュレディーケさんなんだよね。


 ……ありがとう。




 いつもの小テントを準備してっと。


 えーと、テントはひとつしかないんだけど。



「お供します……」



 どうしてみんな、そんなに信頼しちゃうんですかね、僕を。



 ---



 どんなにアレな精神状態でも、お腹は減るわけで。


『Gふなずし』の新機能、"食材チェッカー"


 ペンみたいな細い棒を調べたいモノに接触させると、


 食材として適してるかどうかが確認できるのです。



 そこの小川の水は『飲用可能(普通)』


 さっき狩った鳥は『食用(美味)』


 調味料はマジックバッグに常備してるので、今日の夕食はこれで。



「お料理、やらせてくださいっ」



 食材、調味料、お鍋に調理器具、それと食器、


 かまどは、こんなもんかな。


 はい、お願いしますね。



 草っ原に寝っ転がって、薄暗くなってきた空を見る。


 なんだか、ふたりで夜営してるって感じじゃない。


 ひとりで夜営していた頃よりも、ひとりぼっちな気分。


 レマリィさんのせいじゃないんだけどさ。



 ---



 うめぇ!



 レマリィさんは、めっちゃ料理上手でした。


 僕の食べっぷりを見てニコニコしてます。


 むう、なんだかちょっと悔しいですね。


 今日一日、周りから翻弄されっぱなしだったので、どうにも素直になれないのです。




 食後の片付けも終わって、ふたりで焚き火を囲んでいたら、


 それまで無言でニコニコしていたレマリィさんが、焚き火を見つめながら静かに語り出した。



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