10 勾留
えーと、ただ今の僕、留置所にて、勾留中。
場所は、エルサニア王都、巡回司法省エルサニア本部。
とても立派な建物ですので、当然留置所も、立派。
っていうか、めっちゃ頑丈な造りですね。
まあ、留置所ですし。
例のバッグを、調べてもらおうとしたのです。
この際だから、どんな能力なのかをしっかりと知っておきたいと思いまして。
魔導具の『鑑定』で定評のある老舗の魔導具屋さんが、エルサニア王都の中央噴水公園のすぐそばにありますよって、
アウド村の仮設冒険者ギルドの受け付け嬢ミュネさんに教えてもらいまして。
で、バッグを『鑑定』に出したら、あれよあれよと言う間に、留置所行きですわ。
僕、犯罪者、っていうか、前科持ちになっちゃうんですかね……
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「申し訳ありませんでした……」
いえいえ、頭を上げてください、レマリィさん。
この国での魔導具に関する法律を知らなかった僕が悪かったのです。
僕も生粋のエルサニア国民なんですけどね。
えーと、釈放? 解放?
どっちなのかはよく分かりませんが、
とりあえず外に出してもらえました。
どうやら容疑は晴れた模様。
で、レマリィさんから謝罪されているのですが、
こんな可愛らしくて真面目そうな娘さんから深々と頭を下げられると、困っちゃいます。
いえ、性癖的な意味ではなく、真面目に困ってるんですって。
ほらぁ、広い玄関ロビーにいる大勢の人たちから、めっちゃ注目されてますってば。
「ごめんなさい、私、こういう手続きとか本部ロビーの混雑とか、まだよく分かってなくて……」
うわっ、また頭を下げちゃったよ。
えーと、とりあえず、あっちのすみっこにあるテーブルに移動しませんか。
「はい、ありがとうございます、フォリスさんっ」




