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Q 子供をオタクにしない方法は? A オタクに育てさせない

早川さんは腐っている。俺を見て奇妙な行動を続けるこの人はきっと俺の事を知っている。

自慢じゃないけど有名人じゃない俺を知っているということはこの早川さんかなりのガチオタクだ。


母の友人が映画化アニメ化をなしとげた漫画家だったこともあり我が家には漫画が溢れていて。俺も姉も一般家庭の子どもたちが言われるお小言「漫画ばっか読んでるんじゃありません!!」は言われたことがない。


高校の時の同級生が自分の腕一本で億を稼ぎ出して来た姿を見てきた母は「好きを仕事に稼ぐ!!」に関して肯定的で我が家はどっちかというとクリエイティブな仕事につけるように英才教育をされてきたきらいがある。


そして母自身もコスプレという言葉が世間一般に認知される前からミシンと手縫いでコスチュームを製作、それをまとい推しキャラになりきるコスプレイヤーだった。つまりコスプレオタクだ。


俺と姉の七五三やハロウィンの衣装ががちょっと普通の家庭とは違うのに気づいたのは小学校に入ってからのことだったんだけど朱に交わればなんとやら。茹でガエルの法則なんて言われてしまうように世間一般とちょっとずれた常識で育った俺はご多分にもれずかなり濃い目のオタクよりに育った。


小さな頃は女の子によく間違われた外見の俺は母に付き合わされてイベントへ出かければ会場の人気者。物心ついて女装を嫌がるようになった頃はショタキャラのコスプレ。


背の伸びてきた高校時代からはイベントでスカウトしてきた事務所に所属して二次元と三次元をつなぐ2・5次元俳優として何度かちょい役で舞台にも出してもらった。


でも主役を張れるような歌って踊れる俳優さんと違ってちょっと顔がいい程度の俺を覚えている人はそんなにいない。


でも俺はいくつかハマりキャラってやつを持っていて。一部の腐ったお姉さまたちに撮影を頼まれたりしたこともある。一番リクエストが多かったのは舞台でちょい役もらったスポーツ漫画の準主役キャラで実際に演じた俳優さんよりイメージが近いなんて言われたりもした。


男同士で肩組んで顔寄せて写真を取ることに抵抗ないのかと言われればまぁ多少は?という程度。コンビニバイトよりは効率もいいしズラかぶってメイクしてキャラになりきるって楽しいから三つ子の魂百までってやつだろう。


だから腐女子という存在にもなれているんだけど……


改めて見てみるとこの早川さんかなり動きが怪しい。

俺を見て「ぐふぅ」と吹き出しては空を仰ぎそわそわそわそわ。

トイレを我慢しているのかと思ったけどそうではないらしい。

やたらと落ち着き無くドアの方向へちらりちらりと視線をなげている。



早川さんに戸惑っていたら背中の後ろのドアが開いて誰かが入ってきた。


「キタコレ!!」


早川さんの絶叫が白い部屋に響いた。


俺はその人物を確認して目を丸くした。




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