脳消失事件簿 俺の場合
そいつらがどこから来たのか。誰も知らなかった。
異変はネットからはじまった。
人気のVtuberが更新しない。
人気のネット漫画が更新されない。
Web上の小説漫画イラストサービスに新規投稿される件数が激減。
連載漫画の病欠休載が多数起きた。
おりしも疫病流行で人に直接会わないで過ごすライフスタイルが推奨されていたから、本当に何が起きているのか皆分かっていなかった。
新作が生まれないなら旧作が掘り起こされる。人々が普段は読まないジャンルにまで手を伸ばし始めた頃、脳を持たない死体が全国で発見されたニュースが報じられた。
誰が、なんのために?
昨日まで元気にしていた家族が突然死を迎える。
変死ということで病理解剖に回された死体の共通点は脳の消失。
収縮ではなく消失。脳と呼ばれる大脳と小脳は確実に消失。
中脳や脳髄は残っていることが殆どで、頭蓋骨の内部、眼球後ろの視神経とならんで空洞になったスペースにへにょりと横たわっているらしい。
らしいというのは俺が見たネットニュースからの受け売りだからでこの怪事件に皆の恐怖が煽られてネット上では怪しげなものも含めて変死事件の情報で溢れた。
死んだ人の部屋で変な虫、ゴキブリじゃないバッタみたいな虫が居たとか。
夜道を歩いていたら人形の虫に出会ったとか。
なぜか虫、とくにバッタに関する怪しげな噂がネット上に溢れていた。
お読み頂きありがとうございます。つづきます