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その285 大会編


 語るに落ちる今回のオチ。

 潰れ饅頭となった私は天蓋付きの豪奢なベッドで目を覚ました。

 まさに乙女の夢と言った感じのベッドだけれど、一体ここは何処だろう。

 

「よお、起きたか」


 ぼんやりしていると頭上から声がかかる。

 おや、私、グレンの目覚ましボイスをいつの間に設定したのかな。

 

「まだ寝ぼけてやがんのか?」

「わぁ、ボイスの種類が豊富」

「何言ってるか分からねぇが、寝てなくてもぼけてるから違いが分かりにくいな……体に痛い場所とかないか? 大丈夫か?」

「うん、大丈夫……あれ、グレン、本物!?」

「偽物にはお目にかかったことがねぇな」


 目を擦りながら体を起こすと、リアルグレンがそこにはいた。

 起床一番の光景としては朝日以上の輝きがあり、一瞬で私の頭の靄は消えた。

 グレンがいるということは、ここはお屋敷?


「お察しの通り、ここはうちだよ。お前は気絶してたんだ」

「それはそれは……ご迷惑おかけしました」


 どうやら結界から脱出した後、バランスを崩し押し倒された私はそのまま気を失ってしまったらしい。

 まあ、そうじゃなくても超疲れてたから、体力の限界だったというのもありそうだけど。


「この素敵なベッドは……?」

「妹のやつだよ。そこで寝てる」

「あっ、ほんとだ」


 目線を横に下げると、そこには私の膝に寄り掛かるように眠りについている妹様の姿があった。

 天使のような寝顔とはまさにこのことで、まるで起きる気配がない。

 うん、大変だったからそりゃ寝ちゃうよね。子供は寝るのがお仕事でもあるので、存分に寝て成長して欲しい。

 私はもうどんだけ寝ても大きくならないからね……! チクショウ!


「しかしお前も災難だったな。まさか大押し競饅頭大会の最中に事故っちまうとは」

「ええ、大押し競饅頭大会の最中に……はい?」


 ほっこりと妹様を眺めていると、何やらおかしな言葉が聞こえて来た。

 大押し競饅頭大会? なんです? その私の薄いお尻では1秒でやられてしまいそうな大会は。


「だから、大押し競饅頭大会だろ。優勝者はジェーンだ」

「はいぃ!?」


 唐突にとんでもない冗談を言い始めたグレンに私は目を丸くする。

 丸くなった目でグレンの鋭い瞳を見つめるけれど、しかし、彼の眼差しは真剣そのもので、冗談を言っている雰囲気にも見えない。

 ジェーン、押し競饅頭得意だったの!?

 確かに安産型ではあるけどね!?


「いや、あの、ど、ドラゴンは?」

「ドラゴン? ああ、確かにジェーンのヒップアタックの威力はドラゴンの如き迫力だったが……」

「そうなんですか!? それはちょっと見たい──じゃなくて! えっ、いや、トラコさんがドラゴンになった話は……」

「トラコがドラゴン? おいおい、そんなわけないだろ。ジョークが上手だな」

「ええええぇ……」


 まさかのこっちがジョーク扱いになってしまった。

 認識の違いに戸惑うけれど、ただ、この状況に心当たりはある。

 この何を言ってもまるで通じていない暖簾に腕押しな状況は……トラコさん特有の現象!


 確かこの世界にもうドラゴンがいないことから、ドラゴンという存在そのものを通常認識出来なくなってると聞いている。

 既に広く正体が知られたことで、その修正力のようなものは消えたのかと思っていたけれど……また帰ってきてしまったの?

 ……いや、だからって大押し競饅頭大会はよく分からないけどね!?


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