その281 推されて泣くな
私、ジェーン、グレン、イブン、トラコさん、妹様、ついでにエクシュが一か所に揃ったけれど、さてここからどうするべきか……。
「とにかくこの結界にこのままいたら何が起きるか分からない状況なので、いい案求む!です!」
私が第一に取った行動は他を頼りまくることだった。
ここに他力本願寺を建てよう!
優秀な推したちの知力を結集すれば大抵のことはどうとでもなるはず……!
「とりあえず全力で走ったら脱出できねぇかな?」
悲しいことに最初に出てきた意見が割とおバカだった。
い、いや、グレンはこういうのがいいところだから!
それに一考の価値はあるしね!?
「お姉さんの話では迷宮化してるらしいし、難しい気がする。むしろ全力で防御魔法使って一か所位固まるのがいいかも。まあ、気休めに過ぎないけど」
「結局何が起きるか分からぬから、なんとも言えないのである。主よ、情報を先に集めたい」
「そ、そう? じゃあ、ええっと」
イブンの案は試す価値があると思うのだけど、確かに今何が起きているのかが不透明すぎるきらいがあった。
これでは方法も何もないので、エクシュの言う通り、時間はないけれど少しでも助けになる情報が欲しい。
この状況に一番詳しそうな人は──彼だ!
「戻ったばかりで申し訳ないのですが、トラコさん! この状況について知っていることあるでしょうか!?」
私は振り返ってトラコさんに尋ねてみる。
この空間は正確にはトラコさんが生み出したものではないのだけど、一応ドラゴンの領域だし、そうじゃなくても結界については詳しそうな口ぶりをしていた。
そこに賭ける……!
トラコさんに全BET! ギャンブラーラウラです!
「正直に言うと何も分かりませんね」
「賭け失敗!」
賭けなんてするもんじゃない! 続けていると必ず損するように出来ているのだから!!!!
悲しいことに代償として貴重な時間を失ってしまった。
時は金と同等の価値があると言うのに……!
ギャンブルはクソ!
「分かりませんが、とにかく無事に済む方法なら一つ思い当たります」
「ギャンブル最高ー! 教えてください! その方法とやらを!」
10秒足らずで手の平を返す私だった。
メーリアン兄妹のビギナーズラックでギャンブルにハマって身を滅ぼしそうな方こと、ラウラ・メーリアンです。
「結界が消える際に何が起ころうとも、結局は結界の影響を受けなければ問題ないわけです」
「なるほど、それでその影響を受けない方法とは!?」
「それはですね──ラウラ様のそばにいることです」
「なるほど! ラウラのそばにいればいいんですね!? そうと決まればラウラの野郎をおしくら饅頭にして…………えっ、ラウラ?」
何やら大変聞き覚えのある名前だ。
具体的には数行前にフルネームを聞いた覚えがある。
まさか私か……? いやいや、まだそう判断するのは早計だ。
ここは慎重に行動しなくては……。
「そのラウラとは、あのラウラであっていますか?」
「どのラウラか分かりませんが、貴女です。貴女」
「…………私ですか!?」
「他にラウラを知りませんよ」
もしかするとローラの効き間違えかもしれないと思ったけれど(綴りが同じ)、どうやら私で間違いないらしい。
ちょっと待ってくださいよ……その場合、私がおしくら饅頭にされるってことであってますか!?
いつぞやの推し詰めな推しくら饅頭再び!!?!?




