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その276 ドラゴンメイド(真)


「お姉さん、驚いてないで妹様と話さないと」

「えっ、あっ、そ、そういえばそういう段取りだったっけ!?」


 あまりにもあんまりな事態に自分の役割を忘れてしまった私だけど、そうだった、私は妹様を説得する役目があるんだった!

 ただ、この状況で私が言えることってなんだろう?

 もはやこの光景が私の多弁な口よりも多くを語っている気がするのだけど!?


「い、妹様!」

「わっ、な、なに? ラウラ」

「ええっとですね……」


 正直、私には荷が重すぎる役割だと思うのだけど、いつまでもお荷物なままでいるわけにもいかない。

 私も一つの荷物を背負う時が来たのだ。

 覚悟を決めて私は妹様に話しかけた。

 ただ、その話す内容は何も決めていないわけで……。


 どうしようか迷う私の脳裏に流れたのはメイド姿のトラコさんだった。

 そうだ、私の役目は可愛い女装メイドさんを取り戻すこと、それのみ。

 だったら話すべきは当然、トラコさんのことだ!


「と、トラコさんは!」

「トラコは……?」

「優しくて可愛くてお茶目な女装メイドさんなんです! ドラゴンなのも事実なんですが、1人でこの世界に来た寂しいドラゴンさんなので、その、怖くはないです!」

「え? え!?」


 目を丸くする妹様。

 流石に話が唐突過ぎたかもしれないと、ちょっと後悔していたのだけど……どうやら妹様の驚いているポイントはこちらの予想とは違っているらしい。

 妹様は声を張り上げてこう言った。


「と、トラコって──女装してるの!? えっ、男の人なの!?????!???」

「あっ、そっちですか?」

「いや、そ、そっちに決まってるでしょ!? おつきのメイドが男だったのよ! う、嘘でしょ? 信じられない。意味が分からない。理解が追いつかない! ど、どの辺が男の人なの!? 足の指から頭のてっぺんまで何処からどう見ても女の人でしょ!? それもかなり美人な部類の! 女子の容姿レベルで上位1%に確実に入っていると思うの! それが男!? 私の将来の理想としていた姿が男!? そ、そんなことある? それとも女装って女の人にも使う表現!? もしかして除草メイドとかの言い間違い? 確かにトラコよく草むしりしてるもんね!!!!!!!!」

「お、落ち着いてください妹様ー!」


 混乱し過ぎた挙句、最後はもうなんかヤケクソみたいなテンションになってしまっている!

 し、しまったぁ……女装のことを知らないの、完全に失念してた……。

 そうだよね、普段から仲の良い大人の女性が男だったら、ちょっと冷静じゃいられないよね。

 ちなみに私は興奮で冷静じゃいられないです。

 

 しかしながらここまで驚くと、もはやドラゴンの事とかどうでもよくなっていそうなレベルだった。

 あれ、この場合はトラコさんどうなるんだろう。

 チラッとドラゴンの方を見てみると……ドラゴンがあの図体のままでメイド服を着ているではないですか!

 いや、見た目ヤバすぎる!!!!


「あ、あのぉ……」


 ほら! 突如女装したドラゴンを見て、ジェーンがオロオロしちゃってるし!

 なんかごめんねジェーン! 特殊性癖な物をお見せしてしまって!


 擬人化なしのドラゴンにメイド服、これはなかなかハイレベルな光景だった。

 メイド服好きすぎて、ムキムキな成人男性が着たとしても、美味しくペロっと頂けちゃう私からみてもあのドラゴンの姿は────いや、悪くないかもしれないな。


 むしろギャップ萌え的にはムキムキメイド服と並び建てるポテンシャルがあるんじゃないだろうか。

 猫に服を着せると大変萌えることを考えると、ドラゴンに服を着せるのもおかしな話ではないかもしれない。


 考えれば考えるほど、この『ドラゴンメイド(文字通り』はアリなんじゃないかと思えてきた。

 ふむ、ドラゴンさんがそのいかつさをコンプレックスに感じながらも、精一杯メイドさんとして頑張る話はなかなか良いかもしれない。

 ……とか考えてる暇はなくてですねー!


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