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その264 ボ〇兵か?


「頑張ります……!」

「まあ、先にここから出て貰わないといけませんが」

「それはそうですね!」


 事情を把握した以上、後は行動を起こすのみなのだけど、そもそもここから出ないとお話しにならない。

 声の届かない場所から声を上げたのでは、何も言っていないのと同じなのだ。


「とはいえ、出る事自体はそこまで難しくはないはずです。捕まっているわけでもなく自分から入ったのなら、自分から出られるのは当たり前と言えます。ご経験がおありだと見受けますが、ラウラ様は普段どうやって脱出していますか?」

「普段ですか? そうですね、巨大ハンマーでぶっ飛ばされたりでしょうか」

「えぇ……」


 素でドン引きなトラコさんだった。

 そうだよね、おかしいよね! あのおじ様!

 でもそういう所が推せるんです! 許してあげてください!


「ハンマーはここにはありませんね……」

「この大草原の中にそんなものあったら違和感すごいですもんね」

「大砲はあるのですが……」

「なんであるんですか!?」


 トラコさんの視線を追って丘の上を見てみると、確かにそこには無骨な大砲が鎮座していた。

 こんな癒しの具現化のような空間に何故あんな争いの具現化のようなものが!


「ここは私の心象風景なのですが、大砲もその一部です」

「トラコさんの心象には大砲が鎮座しているんですか!?」

「メイドたるもの、心には常にナイフを隠し持っているものですよ」

「ナイフとかそういう次元じゃないのですが!」


 それともあの砲弾には刃物が詰まっているとでも言うのだろうか。

 市街戦では時折見られる戦法だとは聞くけれども!


「冗談はさておき、あれは竜を撃墜するためのものです。心象というものは、常に自分に都合がいいばかりではありません。ああして不都合も存在する方が、むしろ自然なのです」

「そういうものですか……」

「それでどうですか? あれで脱出できそうですか?」

「あっ、はい。大砲で飛ばされた経験もあるのできっと大丈夫かと」

「……何故経験しているのか小一時間問いただしたいところですが、今は頑張ってスルーさせていただきます」


 賢明な判断を下したトラコさんだった。

 おじ様について話していたら時間がいくらあっても足りないからね。

 特に私のようなオタク相手では小一時間では済まない! ドリンクバー付きのファミレスで三時間は欲しい!


「脱出方法は確保できたようですし、残る問題はジェーン……様と妹様を連れてくることです」

「二人一緒にいる可能性が高いのは幸いですが、何処にいるのか分からないのは困りましたね……」


 ジェーンと妹様はトラコさんを元に戻すための要だ。この二人無しでは何も始まらない。

 そんな重要な二人が一緒にいるのは鴨とネギ──いや、鴨建角身命が禰宜を背負っているがごとく素晴らしいことだけど、しかしながら現在迷宮となっているこのお屋敷から二人を探し出すのは至難の業だ。


「これに関しては任せてください。私がなんとかします」

「えっ、トラコさんはここから動けませんよね? どうするんですか?」

「ここは──炎の精霊に頼ります」

「精霊ですか!?」


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